第8話 イチゴの国(2)
イチゴの国の国王は背は意外に低くて身長150cmくらい?
もしかしたらイチゴとかけているのかも知れない。
前にアサウェルに聞いた話だと夢の国の人間はある程度自分の願望で見た目を変えられるらしいから…。
丸っこい体型で真っ赤な服でまるでイチゴを擬人化したみたいだった。さすがイチゴの国の国王。
丸い顔に可愛ひげがアクセントになっていて人懐っこそうな愛される顔立ちをしていた。
「そちらは?」
アサウェルトの再会を堪能した国王がオレに興味を示した。
「え、えーと…」
「彼はタダシの息子です」
「おお!タダシの!父君には世話になったぞ!」
国王はそう言って今度はオレをハグして来た。
オレは何かしても失礼に当たると思い王からのそのハグをただ受け入れていた。
ハグから伝わる王の体温は暖かくて不思議と優しい気持ちになっていた。
そして王から漂うこの香りは…イチゴの香りだった。
「それで今回は何をしにこの国に?」
ひと通りの挨拶を終えて王はアサウェルに入国の動機を聞いた。
ふぅ、やっと本題に入ったよ。
「タダシが行方不明になったのは知っていると思いますが…」
「そうだったな…君も一時はそんな状態だった」
「何か情報が入っていないかと…」
「私も気になってそれとなく探りは入れているが…」
アサウェルと王との会話、最初の挨拶のテンションと違ってかなりのシリアスモードだ。
けれど、どうやらこの国で得る情報はなさそうだった。
「とにかく、気を落とさんでくれ…今後何か情報を得たら必ず知らせよう」
「はい…よろしくお願いします」
王との謁見を済ませてオレ達は城下街へと戻って来た。
城の中もかなりのものだたがやはり街のイチゴ臭は際立っている…。
あまりにイチゴの匂いが強すぎて少し嫌になりそうだ。
やっぱりこう言う匂いはさり気なく香るくらいがちょうどいい。
どんないい匂いも度を越すと悪臭と変わらなくなる…。
「これからどうするの?」
「政府がダメなら民間での情報収集、これは常識です」
アサウェルはそう言ってお約束の酒場へと向かう。
オレ未成年なんだけど…まぁ夢の中だからいいのかな。
「君はノンアルコールですね」
「あ、はい」
釘を刺されてしまった。
ま、飲む気もないけどさ。
イチゴの匂い漂う街でも一番それっぽい酒場へと向かう。
どうやらそこはアサウェルがいつも使う情報収集の場らしい。
そこはその手の情報通がよく通っているのだそうだ。




