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第37話 託された想い 後編(2)

「何だこれは…?」


 父さんがじっとその人形を覗きこむ。

 するとその人形から光が放たれた。

 その光は膨張しやがてこの儀式の間全体に広がった。

 大きくて優しいその光を浴びてオレは何故だか優しい気持ちになっていた。


「もしかしてこの光は…」


 オレはアサウェルに光の正体を聞いた。


「そうです、あなたのお母さん、かなこさんの力ですよ」


「これが…母さんの?」


 アサウェルは母さんに会いに行っていた?

 でも母さんはもうこの夢の世界には行けないって言ってたし

 アサウェルだってこの夢の世界から外へは出られないはず…。

 …この戦いが終わったらその辺の事、ちゃんと聞いてみよう。


「うおおおおおおお!」


 母さんの光を浴びて父さんが苦しみ始めた。

 あ、もしかしてこれで洗脳が解ける?


「お前ら全員ぶち殺すぅぅぅぅ!」


 あれ?父さん逆にブチ切れているんですが?

 これは一体どう言う事なんだってばよ!


「アサウェル!これって…」


「大丈夫です!これは必然的な事です。今タダシから悪いものが出て行くところなんです。ここを乗り切れば!」


 アサウェルはこの現象をそう説明する。

 つまり風邪を治すのに発熱が必要とかそんな理屈なのだろうか?


「ぐぉぉぉ!龍凰風雷砲!」


「虎皇水影撃!」


 キレた父さんと冷静なアサウェルの技が激突する!

 何だ…この技も初めて見る…父さんどれだけ技を持っているんだよ…。

 そしてそれに対応する技を即座に撃ち返すアサウェルも…それはまるで阿吽の呼吸のようだった。

 その攻防に他の誰も追随する事は出来なかった。そんな一瞬の出来事だった。


 そうして拮抗する力は儀式の間に内在する全ての気の力を巻き込んでやがて破裂した。

 大げさに言えばまるでそれはビックバンに匹敵するほどの破壊力だった。


 カッ!


 ドゴォォォォォン!



「うう…良かった…天井が崩れなくて」


「本当、崩れていたら私のシールドでも無事だったかどうか…」


 オレはレイの作った防御シールドに守られて何とか無事だった。

 天井が崩れなかったのはここが儀式の間と言う事で特別頑丈に作られていたからだろう。


「う…うう…」


「と、父さん!」


 アサウェルと父さんの力比べはどうやら両者相打ちと言った感じだった。

 強大なエネルギーが炸裂した後、爆心地にいた二人はそのまま仲良く倒れていた。

 オレ達は倒れている二人に駆け寄った。


「ア、アサウェルなのか…」


「やっと思い出しましたね…」


 あの強烈な爆発を経て、父さんは記憶を取り戻していた。

 ついに父さんに掛けられた洗脳が解けたのだ。

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