願いだけ
「待ってください!桂さん!」
「…」
少し離れた公園の前でやっと止まった。
「おばあちゃんとあなたは、一体、どういう御関係なんですか!?」
「…君はあの人のお孫さんだっけ?
さっきも言った通りただの教師とその生徒だよ。」
「昔の生徒…
ばあちゃんは昔、教師だったんですか?」
「知らないのか?」
「はい、自分が、物心つく頃には既にあそこで駄菓子屋をやってたはずです。」
「そうかぃ…」
いつのまにか公園のベンチに腰掛けて話していた。
「昔に話はしないのかい?」
「あんまり、ですね。
ばあちゃんの方からもしないので。」
「そうか。
昔、あの人に助けられたんだ、」
「…」
「俺ぁ命も心も救われた。
だのにあの人は忘れちまったってよ。
報われないとはこの事よ。」
「何があったんですか?」
「。っはは。
さぁなぁ。
あの人が話さないなら。
忘れたって言うのなら。
忘れるさ。おれも。
忘れてくれ。」
_「何があったんですか?_」
「お前も、か、
俺が年をとったのか、お前たちがそうなのか、
あまり年寄りを虐めないでくれぃ。」
震え声の桂さんは泣いていた。
それ以上は聞けなかった。
「俺ぁ…俺ぁ…
ただ…あの人に…」
肩を震わせて押し殺すように、
「忘れる、くらいなら、…。
生きてる、意味は。_は、
は、今際の際、
言ってくれた、、のに ̄はず」
発せられる支離滅裂な言葉の羅列。
「これが希望なのか?
絶望の先の、
いや、光が強すぎたんだ?
心だけを置いて、
この絶望は超えられない?
俺だけのものなのか、」
繋がらない。
繋げられない。
この感覚を知っている気がした。
知っているのに知らないのを知っている気がした。
何かがおかしい。
狂っている?
「あの人にはまだ?
見えているのだろうか、」
「誰を」
「修也を」
_「誰を!」
__「鈴木 修也 ̄を」
誰だ?忘れている、知っている。誰だ?
思い出せる、誰だ?を、聞いている。
「彼は」
「願いだけを」
「3つだけ」
「叶える神。」
「ただ」
「ただ「「願いだけを叶えるだけの神」」
神。
__,,,,そう名乗る男が俺の目の前に姿を現したのは、
冬休みが開けた頃、
タンスの角に小指をぶつけた時だった。______.,.,.,,,
たった3つ、3つだけ願いを叶えてやると、
男は言うと俺に付きまとった。
まるで本当の神かのように、
容易く俺の願いを叶えていった。
まるで本当の神かのように、
他の人間には見えていなかった。
疑いようはなかったが、
まるで本当に神なのか、彼は自分を『鈴木 修也』と名乗った。
狂ったのはきっとそれから。
狂っていたのはきっとそれから。
彼が狂っていたのは初めから。
だから彼は忘れて、
彼女は忘れたフリをしていた。
,,,,,,
「彼女が欲しい。」「金が欲しい。」
在り来たりな願いを叶えていった。
残る1つは、
「叶えられる願いを2つ増やす。」
それだけだった。
そうすればずぅっと願いを叶えてもらるから。
_
だから
_ここから狂い始めた。彼は。
そして。忘れてしまう、




