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今際の夢  作者: lycoris
今はの夢
85/140

駄菓子屋にて 1

数田さんの家を出て、

急いで近くのコンビニのトイレに駆け込んだ。

自分でも驚くほど吐いた。

そんなに飲み食いしたっけかと。

胃に穴が開かないか心配だが、

あれは

その告白は誰でも好きになるだろうが!

あの時の俺はこんな気持ちだったのかよ!


るいが人いなけいゃきなわ救はに俺もでれそ


うがいも兼ねて普段買わない水を買った。

駐車場では周助がピザまんを食べていた。

「よお、周助!」

「ん?

いっっ゛っっ!!!?」

ムカついたのでスネを蹴ってやった。

それから数回うがいを済ませた。

「何で蹴られたんだ俺!」

「帰るんじゃなかったのか?」

「ああ、でもやっぱり気になってな!」

俺の肩に手を回して、片足立ちになってもたれかかって来る。

「で!どうだった!!?」

もっと思いっきり蹴ってやればよかった。

その分俺も痛い思いをするのだが…


「何だよ秘密ばっかって!」

「俺だって恥ずかしいんだよ」

「恥かしい何かがあったのか!?」

「お前の思ってるような事はないからな!?」

「じゃあ俺が思いつかないような恥ずかしい事が起きたんだな!?ちくしょう!」

「声デカいって!違うから!」

「あー甘ったりぃ!!俺もそんな恋したいぃいい!」

「はいはい、落ち着けって。」

「あっ、そうだ、駄菓子屋寄ってかね?」

「望の家の?」

「え、そうなの?」

「あれ、別の店だった?」


「そーだよ、ここだよ。

望の家なの?」

「正確にはおばあちゃんがやってるんだってさ。」

「へー。」

「いらっしゃい」

「こんにちは」

「こんちゃーっす」

「こんにちわ」

眼帯を付けた蕨ちゃんがいた。


「あれ、確か先生の…」

「宮下 (わらび)です。」

「あー、そうそう久しぶりだね。」

「はい。」

「へー、この娘が先生の…」

「ん?」

蕨ちゃんはお菓子を差し出した。

「はい。」

「くれるの?ありがとう。」

そして周助にも同じものを差し出した。

「はい。」

「俺にも?ありがとう!」


「「いただきます」」

一口噛むと中から液体が漏れて、

「すっぺ!」

すごく酸っぱいガムだった。

「ふふふ」

悪戯が成功して無邪気に喜ぶ蕨ちゃん。

「俺のは普通だわ。」

「ちくしょう」

「ま、普段の行いだわな。」

偉そうに肩を叩く周助。

「納得いかねぇ…」


ほどほどに空腹も紛れ、

外はもう暗くなっていた。

「よかったら送ってくよ?」

首を振る蕨ちゃん。

「ううん、大丈夫。」

「本当に大丈夫か?」

何かあったら俺らが先生に怒られると周助が言う。

「ありがとう。私は大丈夫だよ。大丈夫だから。」

「そっか。

ま、気をつけろよな。」

周助と俺は後ろ髪を引かれる思いだが、それでも念押しに『大丈夫だ』という蕨ちゃんを後にした。


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