ベッドの上
保健室の先生がベッドまでやって来た。
「これは何本に見える?」
さっきやった奴だ。
「じゃあここがどこだか分かる?」
さっきまでグラウンドで体育のソフトボールをしていた。
「生年月日と血液型は?」
さすがに忘れるわけはない。
「…あなたの名前は?」
忘れるわけも間違えるはずもない。
俺は
鈴木 修也だ。
「気が済むまで休んでていいよ。」
「え?なんでですかさっきは
「私は担任の先生に報告しに行ってくるから。」
「え、本当にいいんですか?」
「そんなに勉強が好き?」
「おやすみなさいです。」
すごく、いい匂いがした、そんな夢を見ていた気がする
「よお、起きろ〜」
「このまま寝かせておいた方がいいんじゃないか?」
「そしたらコイツ夜まで寝てるぞ。」
「さすがに、そんなわけ、…あるの?」
「ねーよ。」
「あ、起きた。」
起き上がると周助と薫がいた。
「ほらよ、荷物持って来てやったぞ。」
「ありがとう。今何時?」
時計を見れば分かるが面倒くさかった。
「16時前。痛みは大丈夫か?」
「特に問題ないよ。」
「あんだけイビキかいてたならグッスリだろうって言ったろ?心配しすぎだって。」
「俺イビキかいてた!?」
「て、数田さんが言ってた。」
「本当にごめん。」
「いいって、わざとじゃ無いなら恨まないから。」
「わざとだったら?」
「理由による。」
「え?わざとだったの?」
「周助、ちょっと黙ってて。
俺とお前でなんか因縁でもあったっけ?」
「ないよ。
ただの逆恨み。」
「恨みの理由は?」
「ないよ。
ただの逆恨みだもん。」
「…じゃあさっきのお前の謝罪も、
ここでもし俺が謝っても何も解決しないんだな?」
「そうなるね。
逆恨みだから。」
「違ったら恥ずかしいけど、
もしかしてそれって“嫉妬”って言わない?」
薫の顔がより一層強ばった。
「さあ、どうだろうね。」
「焚き付けるわけじゃないけど、
俺には全く心当たりがないんだが…?」
「気にすんなよ、本当にただの逆恨みだから。。」
「余計怖いんだけど。
もう体育出来ないんだけど。」
「同じチームになればいいんじゃない?」
「内野以外なら」
「ちっ」
「怖っ!」
「コイツにここまで恨まれるなんて、
本当にお前何やったんだよ?」
「それが分からないから余計に怖いんだが。」
身に覚えが無さすぎる。
「いつまで子供みたいな事言ってるの?」
隣から声がした。
「!姉さん!?」
「香さん!」
「誰?」
三者三様、とにもかくにも綺麗な人だった。
「いつもはあんなにカッコつけてるのに。」
どうやら薫の姉らしい。
「姉さん!」
「帰りましょう。
引き際が大事よ。」
「姉さん…」
なんとなく分かった。
薫はシスコンなんだろう。
それでも恨まれる理由は分からないが。
当人はそのまま姉の荷物を嬉々として担いで帰って行った。
「さようなら、鈴木くん、丘野くん。
「さよなら!」
ただ手を振った。
薫が睨んでる。
なるほど!
なるほど?
「やっぱ美人だよな〜香さん。」
やっぱお前は…
「よお!元気かー!?」
部活を抜けて来た部長。
「おう秋悟。さっきまで薫と香さんもいたんだけどな。」
「知ってる。さっきすれ違ったもん。」
「なるへそ。」
「見舞いはあるか?」
「元気そうだな。おしるこでいいか?」
「コーンスープがいい。」
「分かった、じゃあ買ってくるわ。」
「あいつ羽振りがいいな。」
来たばっかりなのに何の躊躇いもなく買いに行く秋悟。
「分かったか?あれが真にモテる男だよ?」
ハッとする周助。
「ふむ、ところで喉渇かない?何か飲みたい?」
「いやー、さすがモテる男は違うな!サイダーがいい!」
「お前は子供だな!」
「サイダーがいい!!」
「よし、待ってろ!行ってくるぜ!」
元気がいいな。
ま、今日ぐらい甘えても許されるよな。
そうして1人になって思い出した。
何か忘れてる気がする
気がするだけで、気のせいかもしれないが、
思い出そうとしてるうちに2人が戻ってくるのだった。
誰かが俺の頬をそっと撫でた気がした
その時にもいい匂いがしたと思う
「約束覚えてる?」
「私、待ってるから」




