とおくに
「転校!?」
「弟さんが事故にあったんだから、当然親としては一人暮らしの娘が心配で心配でしょうがないはずですよ。」
「…なるほど。
それによく従ったな。」
「事が事だからって言ってましたよ。」
「ふーん…」
「七無、泣いてましたよ。」
「そうだな。」
「追いかけなくていいんですか?」
「いいよ。」
「あの時は飛び出していったのに。」
「取り返しに行かないんですか?」
「それは僕じゃないから。」
「そうやって彼女を救わないんですか?」
「俺じゃ救えないから。」
「そうですか」
「ここまででいいですよ。」
「ん。」
「送ってもらってありがとうございます。
先輩も夜道は気をつけて。」
「ん。」
「それじゃあまた。」
「ああ、またな。」
夢はみなかった
「おはよう。」
「おはよう。」
まだまだ肌寒い今日この頃。
「はい、これ。」
「ありがとう。」
理由は簡単。
「暑いの?」
「寒いよ。」
「なんで着ないの?」
制服のボタンが取れてるから。
「縫ってあげよっか?」
「いいよ。」
「私、裁縫得意だよ。」
「知ってる。」
「え、話したことあったっけ?」
「聞いたんだよ。」
「そうなんだ。誰から?」
「…。」
「もしかして言えないの?」
「まあそういう事で。」
「気になる…
それよりも今日は集会があったはずだから着ないとダメじゃない?」
「あ、そっか」
「ね、遠慮せず縫ってあげるよ。」
「じゃあ頼むわ。
悪いないろいろして貰って。」
「私が好きでやってるから気にしないで。」
「ありがとうな。」
「どういたしまして。集会までには直しておくね。」
そのまま嬉々として制服を持っていった。
「はっ、くしょん!!」
「お前今日くしゃみ多いな。」
「寒いからな。」
「じゃあなんで上を着ないんだよ。」
「ボタンを取られたからな。」
「それだけで着ないのか?」
「ボタンが取れたからな。」
「何か隠してるな?」
「そんなわけ「お待たせー!」
「どうしたの、数田さん?」
「みてみて〜、これ結構上手くいったと思うんだけど〜」
「それは悠也のか?」
「そうだよー。」
「なるほどなぁ。」
「何だその顔は!」
「お邪魔みたいだから先に行ってるわ。」
「ありがとな。」
「どういたしまして〜。」
「今度俺に出来る範囲で何かお礼するよ。」
「それは期待していいのかな?」
「何を?」
「じゃあ、期待してるね!」
「何でみんな俺の話を聞かないんだ?」
「て、事があったんだけど。」
「それを私に話すんですか。」
「何がいいかな。」
「それを私に聞くんですか。」
「先輩も大概人の話聞かない方だと思いますけど。」
「いや、そんな事ないよ。聞いてる聞いてる。」
「じゃあ自分で考えて下さいよ。」
「それが思いつかないから聞いてるんだよね〜」
「考えてない人の発言ですよ。」
「そんな事なくないけど、ほら、何か参考にならないかなってさ。」
「それを考えるのも踏まえてお礼じゃないですか。」
「なるほど、深いな…」
「それじゃあこの話はここで。」
「後輩が薄情だ。」
「先輩がヘタレだ。」
「酷い」
「自分は良いんですか?」
「俺はヘタレだから。」
「じゃあヘタレなりに頑張ればいいんじゃないですか?」
「結局そうなるよね〜。」
「それじゃあ私はこれで。」
「お疲れ〜。」
「さいなら〜。」
未鏡さんは用事があるそうで、今日は早上がり。
おそらく陰府乃さんのところだろう。
「でよ、お前らそんな仲良かったっけ?」
「何が?」
「お前と未鏡さん。」
「そうだよ。」
「あれ?てっきりとぼけるのかとおもったけど。」
「別に普段からとぼけてはいないけど。」
「うーん、何かあったのか?」
「何もないよ。同じ部活のよしみじゃん。」
「うーんそんなものか…」
「ひょっとして未鏡さんの事好きなのか?」
「まあ嫌いじゃないがな。」
「「おやおや」」
「2人して勘弁してくれ」
田淵は逃げ出した。
のこったのは俺と部長。
何故だか少し気まずい雰囲気。
よし、帰ろう!
逃げ出そうとした時だった。
「ねぇ、鈴本くん。」




