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今際の夢  作者: lycoris
今際の夢
77/140

鎬ナベ

「辛いのは好きですか?」

「食べれるよ。」

「好きですか?」

「どちらかと言えば、好きです。」

「ハッキリしない男子はモテないですよ。」

「はい、すみません。」

そんなわけで、

薄い財布の中身を心配しながらレストランに向かうものだと思っていたら、

今はどこかのスーパーにいた。


「着いて来てください。

そんなに遠くはないですから。」

そう言われてホイホイ着いて行くと、

スーパーで食材を漁っていた。

聞かれてたのは鍋の出汁をどうするか。

正直どっちでもいいんだが。

「じゃあ、こっちを持ってください。」

会計を済ませた後、比較的重そうな方を渡された。

「両方持つよ。」

「これくらいは私も持ちますよ。」


2人分にしては多めの食材を持って先を行く後輩の後を歩く。

目的地が近づくにつれ何だか既視感を覚える。

覚えてる気がする。

「着きましたよ。」

チャイムを鳴らすと少女が出て来た。

「いらっしゃい。」

「こんばんわ、おまたせ。」

「こんばんわ」


扉を閉められた。

結構な勢いで。

未鏡さんに(なら)って挨拶をすると、

少女と目があった。

すると少女は扉を勢いよく閉めた。


「なかなかいいリアクションだったよ。」

「やめてくれ。ほんとに。」

「サプライズだよ。嬉しい?」

「…心臓に悪いから、事前に連絡してくれって。

てか、材料足りるのか?

あ!だから買い出しを買って出たのか!」

「ご明察」

2人仲良く台所に立つ制服女子達。

いい眺めだけど、居心地が悪い。

家主は陰府乃さんだった。

学校やバイト中と違って普段は髪を結んでいない様で、最初は気付かなかった。

今は料理中なのでまた結んでいるが。


「ちょっと待って!」

 「ちょっと待て!!」

扉が少し開いて、そこから覗く少女の顔は恨めしそうだった。

「お前だけ入れ!」

そんな少女の視線の先には未鏡さん。

「じゃあ先輩ちょっと待っててね。」

少女とは裏腹に満面の笑みの未鏡さん。

そして少ししてから俺にも入室の許可が出た。

未鏡さん曰く片付けをしていたと。満面の笑みで。


そして2人分にしては多めの食材は形を整えられ綺麗に鍋に収まっていた。

「お待たせしました〜。」

「ほら、並べるのくらいは手伝って。」

陰府乃さんに促されるまま食器を並べていった。

ニコニコな未鏡さんとモジモジしてる陰府乃さん。

普段とは違う印象を受けつつも、

鍋をよそう陰府乃さんは絵になった。

「「「いただきます」」」


「美味しい!」

大袈裟な未鏡さん。

でも確かに美味しい。

「…」

が、すごく陰府乃さんに見られてる。

「ね、先輩?」

「そうだな。」

「ね、先輩?」

表情と声音が一致してない未鏡さんを見て嫌でも思い出した。

あ、これスーパーでやったヤツだ。

「美味しい!です。」

どうやら正解のようだ。

安堵してやっと自分の端を動かし始める陰府乃さんと、笑顔が戻って引き続き食べている未鏡さん。

「美味しい?七海ちゃん。」

「急に何だよ。

鍋なんてよっぽど不味くなる方が珍しいだろ。」

「まあこの私が作ったからね。美味しいのは当然だよ。」

「切っただけだろ。」

「選んだのは私ですー!」

うん、美味しい美味しい。

こんなにあったくて美味しい食事は久しぶりな気がした。

それに、楽しい。



「ごちそうさま。」

「お粗末さま。」

「あーお腹いっぱい!」

「先輩は足りたか?」

「うん、大丈夫。久々にお腹いっぱい食べたよ。

それに美味しかったし。」

「そ、そりゃあ良かった。

じゃあさっさと片付けようぜ。」

「今度は手伝うよ。」

「いいからいいから、座っててくれ。

そしてじっとしてろ!」

「「了解」」

「お前は働くんだよ。」

「いーやー」

少し申し訳ないが、言われた通りおとなしく座ってた。


と言っても暇は暇なので、

初めて来た女の子の一人暮らしの部屋の辺りを見渡してると、

飾られた写真に写っている少年と目があった。


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