ずっと待っている
「あー、それは『愛してる』っていう意味じゃない?」
「俺告られてたの?」
「それかそのまんまの意味。」
「これはどう見ても愛の告白だろ。」
「お前は黙ってろ。」
体育の時間、暇を見て俺と秋悟と望で固まっていた。
俺は昨日の事をボヤかしながら望に言ってみた。
「愛されてていいじゃん。」
「そうかな?」
「悪いことではないでしょ?」
「まあ、そうだな。」
「それが女の子だったらなお良かった、それだけのことでしょ?」
「まったくもってその通りだな。」
「どんまい。」
「くそ、ちくしょう」
「と、言うわけで、どうすればモテるのか?
もちろん女子から。」
「知らん。」
「それを考えるんだよ。」
「それをどうしてここで?」
望の祖母の家、もとい駄菓子屋に居た。
「どうせロクな案が出ないだろうから、口寂しさを誤魔化すために。」
「なんだそれ。」
「てか、お前部活はどうした。」
「サボった。
お前こそどうした?」
「忘れてた。」
「俺より立ち悪いな。」
「てへ」
悪びれずに言った。
「お前は部長だろ?」
「てへ」
演技っぽく言われた。
「2人とも悪質だね。」
何も言い返せなかった。
「そんなことより!」
「俺が知りたい。」
「同じく。」
「くそ、役立たずばかりだ。」
「モテモテの転校生に聞けば良いんじゃね?」
「モテモテの奴がどうしてここにいるんだよ。」
「本末転倒だね。」
「なるほどな。」
「自分で言ってて悲しくなるわ。」
「望や」
駄菓子屋の店主、望の祖母が話に入ってきた。
「気になる娘でも居るのか?」
「「気になる気になる」」
「えー、まー、居ないことはないけど」
「「おおー!」」
「ほんなら自分から、恥ずかしがらんと遠慮せんと、攻めていかなあかん。
なんだかんだ待ってるもんや、女っちゅうのは。」
聞き入る3人に続けた。
「1回ダメでも次は分からんもんや。
当たって砕けるな、諦めたらあかん。
いつまでもいつまでも待ってるんや。」
それぞれがそれぞれに感嘆を漏らした。
「で、結局誰なんだ?」
空気を読まない秋悟。
「僕だけ言うのは卑怯じゃない?」
「それもそうだ。」
何か巻き込まれてる気がする。
「俺は居ないから。」
「嘘はよくない。」
「なぁ、教室であんだけイチャつきやがって。」
「あれは…お礼みたいなものって言うか、」
「その気はないくせに誑かしてるのか?」
「外道だね。」
「いやいやいや、話せば長くなるけど、なんていうか…」
「向こうはその気かもしれないだろ?」
ああ、
考えたことなかった。
言われてやっと気づいた。
俺は覚えてないからって、
何も考えないようにしてたけど、
けど、彼女は何を思っているのだろうか。
覚えていない事を、
俺が俺じゃない事を、。
考つかなかった。
俺は本当にこのままで、忘れたままでいいのだろうか?
俺は何をして、何を忘れたのだろう…




