隠しごと
今日は何事もなく
朝に数田さんからお弁当を受け取って、
何事もなく
それを薫を含めた4人で昼に食べて、
何事もなく
授業も終わり部活が始まった。
「お、今日も来たのか。」
「よーっす。」
「こんにちは、悠也くん。」
「ちゃーっす。」
「お茶要る?」
「ぁざーっす。たっきゃーっす。」
「今日はやけにテンション高いな。
何かあったのか?」
「何にもねーよ。何にもなさすぎる。」
「まともに喋れるんかい。そして案の定何も無いんかい。」
「うるせーよ、お前よりも100倍はまともじゃい。」
「そして辛辣!」
「はいはい、2人とも喧嘩は廊下でやってね。」
「え、止めてくれる流れはじゃないの?」
「大丈夫、僕は杏くんを信じてるから。」
「金ちゃん!」
「弱いほうがレート高いからね。奇跡は起こるよ!」
「さ、特に理由はないけど廊下に出ようぜ。」
「2人とも酷い!こうなったら俺は絶対にここから動かないからな!」
「帰らないの?」
「もしもの時のためにお泊まりセットがあるからな。」
「ごはんは?」
「それくらい我慢する。」
「明日以降はどうするの?お風呂は?授業は?」
「やめてやめて!現実に引き戻すのはやめてよ金ちゃん!」
「まあお泊まりセットも結局は無駄だったけどな。」
「何でだよ?」
「穴空いてただろ。寝袋にも缶詰にも。」
「は?そんなわけ無いだろ。
第一、お前に見せたことあったっけ。」
「この前泊まった時だろうがよ。」
疑うなら見てみろよ。」
「そんなまさか。
それにいつ泊まったんだよ。」
「寒中水泳って言って俺がプールに飛び込んだ時。」
「そんな忘れるはずがないイベントあったか?」
「あぁー!あったねあったね、そんな事。
思い出したよ。」
「ですよね。
その後2人も飛び込んで、結局全員風邪ひいたっていう。」
「ほんと、バカだったよ。
ね、杏くん。」
「お、おう?ん?うん。」
「それでなんで寒中水泳と寝袋が関係あるんですか?」
いつのまにか未鏡さんが居た。
「あ、うん、夜にやったんだよね。
どこもプールやってないし、海まで遠いし、
じゃあ学校のプールで。って。」
「それでわざわざ夜に忍び込んだですか?」
「やー、未鏡の言う通りだったよ。」
「…だから言ったじゃないですか。
『バカは風邪を引かないけど、先輩はアホだから風邪を引く』
って。」
「!?」
「ほんとほんと、男子部員の全員がアホって証明されちゃってさ。
あっはっは。」
「それで次はどんなアホな事をするんですか?」
「アホは余計だけど、まだ何も考えてないなぁ。
部長どうします?」
「僕に振られてもなぁ。
ねぇ、杏くん?」
「俺の知らない所で話が勝手に進んでる恐怖。
なにも分からない。さっぱりだ。」
「まあしばらくは天文部の方の活動をすれば思いつくんじゃないの?」
「そうですね。」
「そうだね。」
「決まったか?」
「うん、じゃあ早速見に行こうか?」
「そうですね。」
「あ、2人で先に行ってて。はい、鍵。」
「分かりました。」
「え?俺たちは?」
「杏くんはちょっと居残り。」
「それではお先に。」
「後でね〜。」
「なんでやねん。」
「それでなんで、俺たちは遅れていくの?
あの2人出来てるの?」
「杏くんにしては珍しく当たってるじゃん。」
「え、嘘?本当に?」
「僕たちに出来てて杏くんに出来てないものってな〜んだ?」
「たち?金ちゃんもあいつと出来てるの?
うっそ!?」
「いい加減怒っていい?」
「理不尽だ。」
「しょうがないから大ヒント、さっきの会話におかしなところはなかった?」
「ん?あー、悠也が寝袋に穴が空いてるのを知ってた事?か?」
「当たり当たり。そこまでは分かってるんだね。」
「んで、2人の共通点か?」
「考えて考えて〜、杏くんはやれば出来る子だから。」
「あ〜、あいつの話に合わせてた事?」
「そう言う事。
この前彼自身が相談しに来た事を思い出して見て。」
「あ〜〜、なんか記憶がどうのこうの言ってたような。」
「そう。理由やら原因やら何も分かってないけど、今回の僕たちとの記憶のズレはソレだと思う。」
「なるほど。まあ、俺はここのところ風邪引いてないしな。」
「え、そうなんだ。」
「金ちゃんは引いてたの?」
「うん。
でも、これで悠也くんが言ってた事に矛盾が生じたよね。」
「うんうん。」
「でも、その矛盾にも対応した未鏡さんの発言。」
「あ〜、あー!!?」
「どうやら未鏡さんも絡んでるみたいなんだよね。」
「それで2人を先に行かせたのね。」
「うん、でもそれだけじゃないよ。」
「え、まだあるの?」
「杏夜、俺に隠し事してない?」
「え、あ〜〜、ん〜、し、してないよ?」
「本 当 に ?」
「えぇ〜、んぁ〜っと、実はこの前金ちゃんの部屋で遊んだ時に、冗談でベッドの下漁ったらお宝があった事…?」
「………。」
「…。」
「…他にはないんだね?」
「ないです!たぶん。」
「ふ〜ん…
じゃあ悠也くん、もとい修也くんのテスト用紙は偶然拾ったんだね?」
「なんで今その話?
わざわざあいつのテスト用紙なんて欲しくないけどさ。」
「よし分かった。
じゃあ僕たちも屋上に行こうか。」
「お、おう。」
「それと、その記憶は忘れるように。」
「はい。」




