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今際の夢  作者: lycoris
今際の夢
70/140

はるの

体育。

男子はサッカーだ。

太ももに当たるとメチャ痛い。

適当に来たボールを運動神経のいい奴に返すだけの仕事。

走るフリをして、あんまりボールに触らずボールを追いかける。

女子はバレーだ。

もうバインバインだ。

なんだろうけど、

離れててよく拝めない。

と、周助が言う。

悠也(オレ)ではない。

断じてない。


クラス合同の体育。

時間制の交代で審判や球拾い、はやる気のあるやつがやって、平凡な俺たちにとってはあくびが出るほど暇な時間。

のはずが、何故か転校生が俺に接触してきた。

「なあ」

「〜?」

あくびの途中で呼ばれて、

口を開けたまま振り返った。

「悪い、やっぱり何でもない」

「ぉお」

何の用だったのか?

再びあくびをする。


終わった終わった。

着替え終わって飯だ!

今日は4人だ!

何故かまた転校生が居る。

周助が誘ったらしい。

「それが噂の弁当か。」

「噂?何の?」

「こいつがいつの間にか数田さんとデキてるって。」

「そうなんだ。2人は付き合ってるの?」

「いいや、違うよ。」

「どうだかな。」

「本当に違うって。」

「じゃあ何で弁当なんて作ってきて貰ってるんだよ。」

「俺が聞きたいよ。

昨日から貰うようになったんだ。

明日もくれるかいつまでくれるかも分からない。」

「餌付けされてるの?」

「かもな。」

「何があったらそういう関係になるんだよ。」

「俺が知りたい。」

「なあこの後暇か?」

部室に行こうとしていたら周助呼び止められた。

「何で?」

「みんなで遊びに行こうぜ?」

みんなとは転校生とその囲い。

部活というか同好会は基本は自由参加。

どちらでもいいが、

「部活があるから、またな。」

またからかわれるのは面倒だ。

「あれ?部活入ってたっけ?」

「同好会。」

「あー、この前言ってた。」

「前にもこんな会話した気がする。」

「そうだっけ?まあ、なら仕方ないな。

またな。」

「じゃあな」


部室の扉を開けると全員揃っていた。

「よーっす。」

「あれ?」

「え?」

「…。」

「こんにちは」

そこに例の女子生徒もいた。

「今日はどうした?鈴木。」

「鈴本だ。」

「ああ、そっか、ごめんごめん。」

「あ、谷谷谷谷先輩、俺にも紅茶お願いします。」

「あ、うん。ちょっと待ってて。」

先輩がいつもよりぎこちなく準備を始めた。

荷物を黒板の下に置いて、空いてるの席から椅子だけ拝借する。

4人がけの机の上には夜空の写真と人数分の紅茶とお菓子。


体験入部に来た例の女子生徒に活動内容を説明していたようだ。

「はい、お待たせ。」

「ありがとうございます。

あ、そういえば俺のグラス割ったままでしたね。」

「え?」

「新しいの買ってこなきゃな。

いただきます。


やっぱ先輩の入れるアールグレイが一番美味しいっすね!」

「お粗末様です。…。」

「それでこの人は?」

「先日こちらに転校してきた『春原 香』です。」


どこかで聞いた事のある名前。

どこか誰かに似ている気がする。



きっと俺たちは昔に


「弟の『薫』がお世話になってます。」


会ったことはない。

…。

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