保健室
部室棟から逃げ出してた。
が、その先に廊下で広がって話す女子達が居る。
一瞬引き返そうとしたが、
結局わざと足音を立てて近づく事にした。
1人がこちらに気付いた。
さあ、退いてくれ。
「どうしたんですか?」
頰に手が伸びる。
反射的に身構える。
「痛むんですか?」
最近はよく女子に打たれてる気がする。
だからそのせいだろう。
「いや、大丈夫。
だから退いてくれ。」
「いいえ、そうはいきません。
ここから先に行く事は私が許しません。」
「あっそう。」
話すと長くなりそうだから結局引き返す事にした。
「そういう訳にはいきません。」
肩を掴まれる。
「放っておいてくれ。」
その手を払う。
「そういう訳にはいきません!」
その手で手をとられる。
「!」
振り返って睨みつけてやろうとしたのに、
「私と来るまで離しませんから!」
悪態すら出てこない。
「逃げないから離せよ。」
「イマイチ信用出来ないです。」
「こっからどうやって逃げるんだよ。」
「失礼します。」
「ちっ」
「あれ、忘れ物?」
「お届けものです。」
「こんちわ」
「あら、こんにちは。
今日はどっち?」
「何がですか?」
「いや、それで何処を怪我したの?」
「んー、腫れはそんなに酷くないから、冷やしておけば大丈夫だよ。」
氷嚢を渡されしばらく顔につけているようにと。
別にここまでやるような事でもない気がするが。
「良かったですね。」
それもこれもこいつのせいだ。
「うるせぇ…」
ポツリとやっと出る、言い訳のような悪態。
彼女はその返事に満足しているようだ。
「失礼します。」
そこに例の転校生がやって来た。
俺を見た後そのまま近くに座ってた女子の荷物を持った。
「お疲れ様。」
「ああ、帰ろうぜ。」
「それじゃあ先生、失礼します。」
「気を付けて帰ってね。」
手を振りあっている。
そのまま俺の方にも手を振っている。
気のせいだから振り返さなかった。
その後ろにいる転校生がこちらを睨んでいるのも気のせいだろう。
今日は厄日だな。
氷嚢を返した。
「鈴本くん、無理してない?」
「無理って、こんな程度心配しすぎですよ。」
「そうかな?」
「確かにやらないよりはやった方がマシかもしれないですけど。」
「そっちじゃなくて。
病院から連絡受けてるからね。」
「…」
「誤魔化すのも無理するのもいいけど、
本当に苦しかったら誰かに頼る事。」
「…。」
「命は一つしかないからね。」
「眠くなったてきたんで帰って寝ます。」
「…気を付けて帰ってね。」
「失礼しました。」
そのまま帰って、そのまま寝た。
御鏡さんが居ないオカルト天文同好会の夢を見た。




