駄菓子1
眠れない。
そんな事を考えて居る内に眠っている。
寝すぎてしまって遅刻寸前だった。
が、間に合わなかった。
体が酷く怠い。
激しい運動をした次の日のような。
意識が普段よりもボーっとする。
確かな記憶に所々漏れがあるような。
さっきまで歩いていた所はとうの後ろ。
どうやってここまで来たかもあやふやだ。
普段は気にもかけない通学路なのに。
そして今やっと校門の前に着いた。
周りには当然他の生徒は居ない。
みんなあの校舎の中でひしめき合ってうごめいているのだろう。
自分もその内の1人だが、
今日は違う。
そうだ、今日はもう面倒だし帰ろう。
まだ朝だ。
だが、眠れない昨日から見ればもう朝だ。
帰って寝よう。
疲れてはいないが気怠いんだ。
今までサボったことは無かったけど、今はもうそんな事はどうでもいいや。
だが、ここに来て、帰るのも面倒になって来た。
ここまで来て学校に行くのも家に帰るのも。
そのちょうど間。
更には急いで家を出たので腹が減って来た。
持ち合わせはそんなに無い。
かと言ってこの時間にコンビニに制服で行くっていうのも。
なら、駄菓子屋にでも行くか。
「今日は学校休み?」
「はい。」
「そう。240円ね。」
「はい。」
まあ望が学校に行ってるなら嘘だって分かるだろうけど。
「お兄さん?」
店先のベンチで何も考えずに食べていると見覚えのある少女に声をかけられた。
「今日、学校はどうしたんですか?」
「そっちこそ。」
「私は、ほら、この目。」
左目に眼帯をつけていた。
「昨日からずっと見えないし、たまに痛むのでさっき病院に行って来たんです。」
「へぇ〜。」
「お兄さんは?」
「寝坊したから。」
「から?」
「から。」
「え?それだけですか?」
「今日は猛烈にやる気が起きないんだ。」
「学校が嫌いなんですか?」
「あー、いや、
学校ていうより勉強が嫌いかな。」
「まあ、ほとんどの男子そうですもんね。」
「女子は違うの?」
「ううん。ほとんどはみんなそうだよ。」
「だよね〜。宿題とか本当に嫌い。やってられない。」
「…」
「…君は違うの?」
「…うん。」
「珍しい、のかな?何で勉強が好きなの?」
「好きとか嫌いとかじゃなくて、やらなきゃいけないから。」
「真面目だね。」
「ううん。夢の為だから。」
「へぇ〜。どんなのか聞いてもいい?」
「先生になりたいんです。」
「へぇ〜。何で?」
「やっぱり親の影響ですかね。」
「へぇ〜。」
「後、人にものを教えるのも好きなので。」
「うん、似合うと思うよ。」
「ありがとうございます。
お兄さんにも夢はありますか?」
「うーん………。
夢か〜…。
あんまり考えた事ないかな〜。」
「そうなんですか?」
「うん。何が俺に似合うかな?」
「…さぁ〜?」
「だよねぇ〜。
そもそも卒業も怪しいかもしれないんだよね〜。
本当に勉強が嫌いになりそう。」
「勉強が出来なくても夢は持てますよ。」
「そうだよね。」
「勉強が出来ればもっと広がりますけど。」
「そうなんだよねぇ。」
かなしい未来に鬱になりそうだ。
「食べる?」
1人だけ食べてると大人気ないからな。
「ありがとうございます。」
駄菓子を挟んで少女が座る。
それから当たり障りのない会話をしながら駄菓子を食べる。
元は自分1人用だったからすぐに無くなった。
「ごちそうさまです。」
ゴミをきちんと捨てる少女。
「さて、帰るか。」
「はい。」
…。
「送っていこうか?」
「はい!」
…最近は物騒だからな。




