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今際の夢  作者: lycoris
今際の夢
61/140

夢は夢の中

きっと僕の夢のはここで終わる。

そう思っていると、誰かが手を差し伸べた。

だから僕もそうしようと思った。


最初から分かっていた。

手なんて届かない。

これは夢だから。

夢はいつだって望まない結果を選択し続け、

それでもなお結末を知っている。

これは夢。

ただの脳による記憶の整理。

死んだ人間が生き返る事はない。

だってこれは夢だから。


奇跡は一度しか起きないから奇跡だ。

何度も起きるような落ちぶれた代物じゃない。


目覚めはともに(おもいで)()していく。

誰かの夢を見ていたんだ。

それでも起きなきゃ思い出せないモノもある。

消したくない

消えたくない

それでも生きているのであれば

ずっと眠っていることは許されない

それは夢なのだから。



彼女の言葉も

願いも

顔も

名前も

最後の笑顔ですら


僕の中で誰かが溶けて消えた。

「おはよう。」

「、ょぅ…」

前にもあった気がする。

誰だっけ?

「何か欲しいものはある?」

欲しいものはあった。

結局俺は今ここで何をしているんだ。

「…。」

起き上がろうにも体が上手く動かない。

頭を持ち上げるだけで精一杯の俺に気付いて彼女が起こすのを手伝ってくれた。

そのとき触れた手を覚えてる気がした。

「君は?」

「忘れた?」

「うん。」

「何も覚えてないの?」

「ごめんね、全部忘れたよ。」

「何で謝るの?」

「君には謝らないといけない気がしたから。」

「何で」

「忘れちゃった」

焼き付けたはずの笑顔も思い出せない

どんな顔でどんな声でどんな言葉を最後に笑っていたのか思い出せない。

「なら、私の事は忘れたままでいいよ。」

「どうして?」

「何も思い出さなくていいから。ね、

また学校でね。」



彼女と入れ替わりで白衣の男が入ってきた。

「よう、目が覚めたみたいだな。」

「おはようございます。」

「もう夜だけどな。」

「じゃあ、こんばんわ。」

「これは何本に見える。」

男は2本指を立てた。

「2本?」

「俺は誰か分かるか?」

「名札を見れば。」

「自分が誰か分かるか?」

「カルテを見れば?」

「…帰り道は自分で分かるか?」

「たぶん」

「俺はこの後も片付けがあるから、代わりの者に送らせる。」

「ありがとうございます。」

「くれぐれも安静に、明日1日は学校に行くなよ。」

「何でですか?」

「何でもだ。医者の言う事はちゃんと守れ。

な?」

「はい。」

「今日は悪かったな。」

「何がです?」

「さあ、車が待ってるから早く行け。」

「?

じゃあ、失礼します。」

男は軽く手をあげた。



案内板に沿って正面出入り口から出るとそれらしい車と傍らに女性が立っていた。

「あ、こっちこっち。」

どこか誰かの面影がある女性はこっちに気付いて手を振った。

「おはよう。」

「もう夜ですよ。」

「知ってるよ。

じゃあさっさと帰りましょう。」

「よろしくお願いします。」


そのまま特に話す事もなく、

気付かれないように女性の顔を見ようとしていたら家に着いた。

「忘れ物はない?」

「たぶん大丈夫だと思います。」

「そう。

それじゃ、お大事にね。」

「はい、ありがとうございました。」


「次に妹を泣かせたら許さないから」


確かにそう聞こえた。

聞き返す前に女性は車に乗った。

とりあえずその場で頭を下げた。

 次はもっと上手くやる。

そう呟いて。


友情に終わりはない。

それが友情なら


愛情に果てはあるのか。

いつまでも死んだ人間を愛し続けることが出来るのだろうか

なら憎しみなら


憎しみは愛していた証拠?

醒めるまでの間に


彼が起きるまでの間に聞いた。


「いつか私の夢も見てくれる?」

彼女は涙を拭った。

あけましておめでとうございます。

目の回るような目まぐるしい年末年始。

もっと休みを下さい

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