これまでの過程
「はぁ…」
明日にはもうテストだ。
そう思うと、せっかく早く終わった学校もあまり嬉しくない。
早く帰れる喜びより明日からの不安でお腹が痛くなるくらいだ。
寒いからとポケットに手を突っ込んでボンヤリ歩いているとついつまずいてしまった。
転びはしなかったが、すぐに周りを見て誰にもこの光景を見られてないかを確認した。
どうやら俺を見ているもの、そもそも俺に興味を持っているものも居なかった。
と思って油断していたら、
「ププ、恥ずかしいやつだな。」
「!?」
振り向くとそこにはいつも連つるんでいる『周助』が居た。
「エロい事考えながら歩いてるから〜。」
「んなわけ無いだろ!」
「えっ!?お前頭打ったのか?実は転んでたか?」
「ただつまずいただけじゃい!」
「ほんとに大丈夫か?病院行くか?」
「しつけーよ」
この手のノリは無視するに限る。
「悪かった悪かった。」
結局は帰り道が一緒なので向こうが折れる。
「…それで他は?」
「ぶ・か・つ。みんなで集まって居残り勉強だってさ、俺たちとは違って真面目だからな。」
「真面目な帰宅部だっているぞ。」
「少なくとも俺たちは真面目じゃ無いだろう?」
「俺は至って真面目だ。勉強すると言う真面目な理由で帰宅部やってんだ。」
「"勉強しないとヤバい"んじゃなかったっけ?」
「教師側が勝手な事ばっかり言ってるだけ。」
「でも去年留年しかかったじゃん。」
「だが留年はしてないぞ。」
「いや普通は留年がかかった追試は受けないからな。」
「人と他人ひとの普通は相見あいまみえない時もある。」
「バカが難しい言葉使ってる。」
「バカって言った方が以下略。」
「はいはいループループ。
それじゃあまた明日な。」
適当な話を適当にしていたらいつの間にやら別れ道に。
早いのか遅いのか。
だがいつもの事だ。
「ああ、じゃあな。」
手を振り返して別れる。
なんでもないいつもが通り過ぎていく。
今はまだ振り返る事はない。
振り返ったて今は『今』はない。
もう少し、ゆっくり時間が経ってからでいい。
「あっ!」
起きた瞬間に携帯のアラームを止めた。
アラームは鳴るまでにあと1分を切っていた。
今の時間を確認して、制服に着替えた。
もう少し勉強出来るが、今から行けば学校が開く少し前に着く。
ちょっとコンビニで朝食や目覚まし食品を買えばちょうどいいくらいだろう。
財布の中身を確認して家族に気付かれないようにコッソリと家を出た。
学校に着いたら校門が丁度開くところだった。
用務員の人と挨拶を交わし、下駄箱へ向かうが昇降口はまだ開いてなかった。
「ああ、ごめんごめん。」
さっきの用務員さんが来た。
「あ、どうも。」
用務員さんは俺と一緒に昇降口から入りそこからやや早足で教室棟の鍵や渡り廊下の扉の鍵を次々開けて行く。
「あー」
呑気に教室棟に入ってから用務員さんが後から来た理由が分かった。
それと大変さも少し。
いつも下校際に学校の隅を掃除したりしてるだけじゃないんだ。
まあそれはいいとして、
当然教室には誰も居なかった。
一番乗りはやはり気持ちがいいものだ。
窓を少し開けて自分の席に戻る。
すると丁度『望』が教室に入らずに固まっていた。
「お、おはよう望」
「は?おはよう。え?なんで居るの?」
挨拶を交わすと望はやっと教室に入って来て自分の席に荷物を降ろした。
「居ちゃ悪ぃーかよ。」
望が驚いてる理由なんて分かり知ってるがわざと聞き返した。
「いやそんな事ないけどさ。ただ驚いてただけ。」
段々といつもの調子を取り戻してく望。
まあ最初のリアクションが面白かったから良しとしよう。
「おーっす、おはよう望!」
元気良く入って来たのはいつも駿介と俺と一緒に連んでる『秋悟』だった。
こいつは少人数の時に限って元気になる。
「おはよう。」
望はあえて俺を気にかけないように挨拶を返した。
秋悟は自分の席に着いてから違和感にやっと気付いた。
「ん?あれ?」
俺のところにやって来て顔を覗き込んで来た。
こっちは教科書読みながら笑いを堪えているのに。
「修也?」
「おう、おはよう。」
「あ、おはよう。え?なんで居るの?」
どいつもこいつも。
「今日はたまたま。」
「え、何読んでんの?」
「教科書、お前も持ってるだろ。」
「ひょっとして勉強してんの?」
「それが教科書の使い方だろ?」
「明日槍でも降るの?」
急に話を振られた望は、ニヤケながら答えた。
「さすがに無いんじゃない?ぷっ、まああまり邪魔しないであげて。」
「ああ、そうだな。」
じゃ、と言って自分の席に着いて自分の頬をつねってた。
教科書の内容が頭に入って来ないからやめろ。
その後も来る人来る人に驚かれたが説明は省いて、「悪いか」とだけ返した。
そんなこんなでもう先生が教室に入って来た。
思ってた半分も教科書を読めなかったが、要点は既に抑えてあるので大丈夫だろう。
昨日の夜の自分を信じてテストに臨んだ。
少し補足を。
主人公の修也くんと普段からお昼を一緒に食べたりして連んでるのが、周助と秋悟の2人。
望くんはたまに一緒に居るくらいのクラスメイトですね。
そんな距離感です。
思ったよりも大分間が空いてしまいましたね。
本編の方も考えてるとこっちに回す時間が減ってしまうので、本編の時間が減っているならなおさらですね。
お久しぶりです。
次回はそんなに空かないと思いますが、また思い出した時にでも更新されてるくらいの頃にを目指して。
それでは
今回もご閲覧ありがとうございました。