明け渦
年が明けた。
ただそれだけで何故ここまで騒げるのだろう。
自分だけ冷静なフリをしても周りは何も変わらない。
誰かが決めた意味のない日に意味なんてないのに、
昔は自分も騒いでいたっけ。
そんな自分を棚に上げ、初詣の集合場所に着いた。
「遅いよ、杏くん。」
「ごめん、金ちゃん。」
いつもの事だ。
「あけましておめでとう。」
「あけましておめでとう。」
今日だけだ。
「じゃあ行こうか。」
「杏くんもお守りを買うの?」
「ああ、これから何が起こるか分からないから。」
「他のはいいの?」
そう言って恋愛と勉学のお守りを勧めた。
「今は要らないよ。
こんなにも素晴らしいモノがあるんだから。」
杏くんが買ったのは厄除けと健康息災のお守り。
自分は必要のない受験用のお守りを記念に買った。
それからお神籤を2人とも引いて、
結果は小吉と末吉。
内容も遠回しにほとんど同じ事が書いてあるだけ。
最後に参拝を済ませると杏くんがトイレに行った。
トイレの近くで待ってる間、人どりの少ない木々を眺めていた。
「離してくれ。俺はまだそっちにはいけない。」
声が聞こえた。
「いい加減にしてくれ。」
左手を上げ、まるでパントマイムでもしているような修也、もとい悠也がそこにいた。
声をかけるのを躊躇った。
何故だか今の自分では分からない。
「離せったら…!」
様子が変わった。
まるで何かに引っ張られるような。
悠也が重心をかけているのと逆の方向に少しずつ少しずつ、まるで引き込まれるように引きずられている。
1人では出来ないであろう動き。
表情も険しい。
それでもなお、声をかけるか迷っていた。
「おー!修也じゃん!」
「!!」
振り返ると用を足した杏くんが手を振っていた。
こっちに気づいた瞬間に悠也は転んだ。
まるで急に手を離されたかのように。
「おいおい大丈夫か?」
「ああ、ありがとう。
あと、修也じゃなくて悠也な。」
「悪い悪い。」
差し出された手を握る。
笑い合う2人を見て、
何かがどこかで渦巻いた。




