ターン
「あれ、」
ここどこだ?
周りを見渡すと見慣れない角度からの見慣れた校舎が目に入る。
「学校か?」
おそらくここは屋上だろう。
「どうやって入った?」
そう、気がつくと俺は屋上にいた。
「あ〜れー、あれ?」
立ち上がって振り返ると見知らぬ2人と御鏡さんがいた。
「何で?」
「?」
「何が?」
「…」
「ここで何してるの?」
「は?いや、こっちのセリフだけど。」
「ふむ。」
「まあ、いいや。」
荷物も無い様だし、このまま帰ろ。
「何処に行くんだい?」
「寒いから帰る。」
「その前に1つ聞いていいかな?」
「何?」
「君は誰だ?」
表情や声音は優しかった。
それなのに、冗談では無く本気で何かを疑っているとハッキリ分かる。
「僕は鈴本 悠也だよ。」
「?」
「ふむ…」
「!?」
俺の答えを聞いて三者三様の反応。
2人は大して変わらないが、御鏡さんは一瞬目を見開いた。
「あれ、お前『修也』じゃなかったっけ?」
「は?『悠也』だけど。
今言ったじゃん。」
「悠也くん、今生徒手帳は持ってる?」
「ん?あるよ。」
内ポケットから取り出した。
「あ、名前間違ってるじゃん。」
渡す際に自分の名前をチラッと見た。
「しつこい様でわるいけど、
君はここに書いてある『修』也じゃなくて『悠』也なんだね?」
「そうだよ。
字が汚いからよく間違えられるんだよね。」
「ふむふむ…」
「それで結局、僕の名前がどうしたの?」
「いや、なんでもないよ。
引き止めて悪かったね。」
ありがとう、と生徒手帳を返して貰った。
これでやっと帰れる。
「じゃあ、僕は帰るよ。
「またね。」
「じゃあな。」
「……」
「さて、どう思う?御鏡さん。」
「…まるで人が変わったよう。
名前までもが違う人間に。」
「だよね。」
「え?何々?」
「それにさっきの挙動もおかしかった。
遠くを見つめながら何かに追い縋る様に、
…あのまま止めなかったら、彼はフェンスを越えていたかな?」
「そう思ったから止めたんじゃないんですか?」
「少なくとも御鏡さんはそう思ったんだね?」
「…
…はい。」
「質問に質問で返してよく会話が出来るなぁ。
俺はこんがらがって訳わからん。」
「彼は今、正常じゃないって事。」
「あ〜、確かに。
自分の名前を間違えてたしな。」
「…」
「…それも間違いじゃないかもしれないけどね。」
「どういう事?」
「今すぐにハッキリする訳じゃないから、また明日調べよう。」
「そういう事なら俺たちも帰るか。」
「…はい。」
「ついこの間ここでみんなで花火をしたって言うのに、また一段と寒くなったね。」
今日のオカルト天文同好会の活動はここまで。
続きはまた明日の部室で。




