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今際の夢  作者: lycoris
今際の夢
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「いやー、情けないな。」

「そんな事ないよ。」

「いや、ある。」

「私は嬉しいよ。」

「俺は恥ずかしい。」

「そっか、じゃあ私は帰ったほうがいい?」

「気を付けて帰れよ。」

「送ってくれないんだ。」

「最近は物騒だぞ。」

「なら余計にじゃない?」

「それはそうだけど、今日はクリスマスだぞ?」

「私は別に誰に見られてもいいけど。」

「俺がよくない。」

「恥ずかしいの?」

「ああ。」

「今朝は三四五(みよこ)とデートしてたのに?」

「あれは、確か話ただろ?」

「まあね。でも、(みため)は変わらないでしょ?」

「それはそうだけど…」

「ふふ…ごめんね、困らせちゃって。

大丈夫、私は1人でも帰れるから。」

「そう言われると」

「いいよいいよ、本当に。

大丈夫だから。」

「それなら…まあ…

あ、また、何か困った事があれば力貸すよ。」

「うん、

ありがとう!」


「また、学校でね!」

「よいお年を。」

「よいお年を!」

晴れやかな彼女の笑顔に何故だか顔が火照っていた。

雪は降ってないが、以前寒い。

クリスマスに公園で一人ぼっちだ。

かと言って数田さんを送る程の度胸もない。


何はともあれ腹を満たしたい。

コンビニで肉まんを2つ買う。

ひとつは自分で食べて、もうひとつは入れ替わって汀が食べる。

結局は1人で2つ食べるのだが、今日は汀も頑張っただろうし、労いのつもりだった。

 ひとつを食べ終わって

替わるつもりだった。

それどころか今更になって気配を感じない事に気がついた。

「おい」

返事がない。

周りを見渡すが当然いない。

「おい!」

返事はない。

ここにいない事は分かった。

なら心当たりのある場所に行くのみ。


そのまま駆け出し、着いたのは学校。

周りに目もくれず侵入し、いつもの階段を目指す。

「汀!」


「陰府乃!」


「陰府乃!汀!!」


それでも返事はない。

階段を登りきり、残すは屋上。

何度ドアノブを回しても扉は閉まっている。

押しても引いても開かない。

『死んだ人間が居なくなる。』

理由は限られてる。

ただ、気に食わなかった。

そのまま後ろによろめき、階段を背中から転げ落ちた。


痛い、

そんな事よりも先に、

薄く開いた目で見えた汀に言った

「黙って居なくなるよ…!

せめて…」

せめて…


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