猫と少女 1
「起きた。
大丈夫か?」
「…。」
ここはどこでこいつは誰だ?
何か大事な事を忘れている。
「大丈夫か?やっぱり病院に行くか?」
「…?」
どうなってるんだ。
体が思うように動かない。
痛い。
「ごめん。
飛び出して来たのはたしかにそっちだけど、私も不注意だった。」
「何の…話だ…?」
「…!
記憶が無いのか!?記憶喪失か!?」
「だか、ら…何の話だ…?」
「自分の名前は分かるか?」
「ああ」
「昨日までの事は覚えてるか?」
「たぶん。」
「今日の事は?」
「いや。」
「部分的な記憶喪失か?」
「分からない。とりあえず説明してくれ。」
どうやら俺はこいつに、
宅配バイト中の陰府乃七海に轢かれたらしい。
で、俺の体を汀が使ってここまで来たそうだ。
「前に俺が言ったこと、信じてくれるか?」
「うん、あの時はごめん。
汀も謝ってた。」
「あの猫はどうなった?」
「…あのまま置いてきた。
非常時だったから。」
「分かった…お前は悪くない。」
まだ体が痛む。
「起き上がって大丈夫か?」
「わざわざ運んでもらったのに悪いな。
ベッドありがとう。」
行かなきゃ
「どこに行くんだよ。」
「行かなきゃ。」
俺にできる事は
「もう死んでるんだぞ?
今更行ったって「死んだんだよ!!
俺の腕の中で!!
俺が!俺がもっと早く!!
気づいていたら!もっと!もっと!!」
「…」
「行かせてくれ…!」
「ダメだ。怪我させた私にも責任はある。
だから私が行く。」
「それじゃあダメなんだよ、
お前は悪くない、
そこを退いてくれ、」
「ならせめて、私もついて行く。」
「っ…
あんまりいいものじゃないぞ…」
「うん。
今のあんたを1人にする方が危ないから。」
「あ、あ…」
七海の肩を借りてなんとか公園まで戻った。
そこには膝をついて泣いている少女がいて
その腕の中に猫はいた




