またきた部室
「あ、れ、」
ここは何処だっけ?
トイレって事は分かるけど。
「…。」
いつもと変わらない自分が映っている。
「なぁ、ここどこだよ?」
きっとまた、意識がない間に汀が俺の身体を使っていたのだろう。
…
返事が無い。
ひとまずトイレから出て時間を確認した。
いつから意識がなかったかはぼんやりとしているが、
演劇を見ていたのは覚えている。
それから少し経ってお昼を過ぎていた。
さてどうしたものかと考えていると、田淵がきた。
「よう、探したぜ。」
「よう、何の用だ?」
「とりあえず部室に来いよ。」
「何でだ?」
「いいからいいから。」
この後は予定も無いし、あわよくば何か食べ物でも貰おうと、田淵について行った。
「砂糖は入れるか?」
「2個で。」
「悪いけど固形じゃないから2杯でいいか?」
「何でもいいよ。」
貰えるだけありがたい。
今日は財布を忘れて、時間は昼を過ぎている。
腹は空いてるし喉は乾いてる。
こういうのを渡りに船って言うんだっけか。
やはり糖は頭に良いんだな。
頭いい奴が糖を摂ってるのかと思ってた。
「僕が誘った時に来なかったのは何でかな?」
金治さんが不貞腐れた様に聞く。
そう言われても、覚えてない。
きっと汀が何かしたのだろう。
「あの時は…ちょっと他に用事があって…」
「それってどんな?」
「ちょっと人には…」
「学校で人に言えない用事…ますます気になるね。」
「それ以上はちょっと勘弁して下さい…」
「…ふふ、なんて、冗談だよ。」
この人、意外と面倒臭いな。
頭が良いからか?
とりあえずごまかせてよかった。
「それより、今夜は暇?」
「何でですか?」
「花火だよ。」
田淵からカップを受け取る。
「へぇー。何処で?」
田淵が高らかに天井を指出した。
「上さ」
「屋上ね。」
「へぇ〜。」
何気なく飲んだ紅茶はしょっぱかった。
「ぶぇっ!!おぇ!!っぇっほえっほ!」
当然思い切りむせた。
「何したの杏くん?」
「砂糖と塩を間違えちった、てへ」
「てめぇ、田淵ぃ!!!」
あれ?
「ほら、すごい怒ってるよ!」
「すまん!冗談だよ!ちゃんとしたのこっちにあるから怒んなよ。」
呼吸を落ち着けて今度は一口ずつ飲んだ。
普通に飲める。
「もう、飲食物で遊んじゃダメだよ!
それにここは理科室なんだから。」
「硫酸飲ませるぞお前。それくらいは俺でも分かるからな。」
「悪い悪い、ちょっと遊びだたくなって。
みんな自分で自分のを淹れるから、こういうのやって見たかったんだよ。」
「お前なぁ…」
「鈴木くんも物騒だけどね。
そういう薬品は先生の鍵がないと開けられないよ。」
「そうなんだ。」
「なあ、それより今夜は暇なんだろ?」
「よく、誘ってる相手に帰らせるレベルのイタズラしたね。」
「ああ、本当に。
それと決めつけんな。」
確かに暇は暇だ。
家に帰っても、毎年特にパーティをしたりするわけでもないし、
周助は用事があると言っていて、
秋悟は部活の打ち上げがある。
「暇はだけども。」
そいういえば今日はその為に来たんだった。
打ち上げには参加しづらいけど、せめて秋悟とは話をしなきゃならない。
「じゃあ決まりだな。」
「いつからやるんだ。」
「当然夜だ。辺りが暗くなって来てから。」
「6時半、7時くらいからかな。」
「それまでは何やるんだ?」
「遊「自習だよ。」
田淵の言葉を遮った。
「学生の本分は勉強。
休日でもわざわざ学校に来るくらいだから、それはもう勉強しかないよね。
その熱意は凄まじく、気がつけば夜まで。
そういう体だよ。」
「わざわざ本当に勉強しな「課題。終わってるの?」ごめんなさい。勉強します。」
「鈴木くんも勉強する?教えるよ?
教科書とかは杏くんのを貸すから。」
…。
「あー、すみません。
一旦別行動でもいいですか?
夜までにはまた来ますんで。」
「おー?逃げるのかー?」
「もう、杏くんは…
それってさっき言ってた用事?」
「あー、まあ。」
特に否定しても意味はないし。
「俺にとって今は勉強よりも大事な事、かな。」
事実だけを伝えた。
「そう。
手伝える事があったらなんでも言ってね。
僕達はここに居るから。」
「はい。
それじゃあまた後で。」
「じゃあな。」
「また後で。」
_面倒臭いけど、良い人達だ。
これで逃げ道も、時間もなくなった。
「行くか。」
まずは一発、ぶん殴ってやろうか。




