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今際の夢  作者: lycoris
今際の夢
39/140

またきた部室

「あ、れ、」

ここは何処だっけ?

トイレって事は分かるけど。

「…。」

いつもと変わらない自分が映っている。

「なぁ、ここどこだよ?」

きっとまた、意識がない間に(アイツ)が俺の身体を使っていたのだろう。

返事が無い。

ひとまずトイレから出て時間を確認した。

いつから意識がなかったかはぼんやりとしているが、

演劇を見ていたのは覚えている。

それから少し経ってお昼を過ぎていた。


さてどうしたものかと考えていると、田淵がきた。

「よう、探したぜ。」

「よう、何の用だ?」

「とりあえず部室に来いよ。」

「何でだ?」

「いいからいいから。」

この後は予定も無いし、あわよくば何か食べ物でも貰おうと、田淵について行った。



「砂糖は入れるか?」

「2個で。」

「悪いけど固形じゃないから2杯でいいか?」

「何でもいいよ。」

貰えるだけありがたい。

今日は財布を忘れて、時間は昼を過ぎている。

腹は空いてるし喉は乾いてる。

こういうのを渡りに船って言うんだっけか。

やはり糖は頭に良いんだな。

頭いい奴が糖を摂ってるのかと思ってた。

「僕が誘った時に来なかったのは何でかな?」

金治さんが不貞腐れた様に聞く。

そう言われても、覚えてない。

きっと汀が何かしたのだろう。

「あの時は…ちょっと他に用事があって…」

「それってどんな?」

「ちょっと人には…」

「学校で人に言えない用事…ますます気になるね。」

「それ以上はちょっと勘弁して下さい…」

「…ふふ、なんて、冗談だよ。」

この人、意外と面倒臭いな。

頭が良いからか?

とりあえずごまかせてよかった。

「それより、今夜は暇?」

「何でですか?」

「花火だよ。」

田淵からカップを受け取る。

「へぇー。何処で?」

田淵が高らかに天井を指出した。

「上さ」

「屋上ね。」

「へぇ〜。」

何気なく飲んだ紅茶はしょっぱかった。

「ぶぇっ!!おぇ!!っぇっほえっほ!」

当然思い切りむせた。

「何したの杏くん?」

「砂糖と塩を間違えちった、てへ」

「てめぇ、田淵ぃ!!!」

あれ?

「ほら、すごい怒ってるよ!」

「すまん!冗談だよ!ちゃんとしたのこっちにあるから怒んなよ。」

呼吸を落ち着けて今度は一口ずつ飲んだ。

普通に飲める。

「もう、飲食物で遊んじゃダメだよ!

それにここは理科室なんだから。」

「硫酸飲ませるぞお前。それくらいは俺でも分かるからな。」

「悪い悪い、ちょっと遊びだたくなって。

みんな自分で自分のを淹れるから、こういうのやって見たかったんだよ。」

「お前なぁ…」

「鈴木くんも物騒だけどね。

そういう薬品は先生の鍵がないと開けられないよ。」

「そうなんだ。」

「なあ、それより今夜は暇なんだろ?」

「よく、誘ってる相手に帰らせるレベルのイタズラしたね。」

「ああ、本当に。

それと決めつけんな。」

確かに暇は暇だ。

家に帰っても、毎年特にパーティをしたりするわけでもないし、

周助は用事があると言っていて、

秋悟は部活の打ち上げがある。

「暇はだけども。」

そいういえば今日はその為に来たんだった。

打ち上げには参加しづらいけど、せめて秋悟とは話をしなきゃならない。

「じゃあ決まりだな。」

「いつからやるんだ。」

「当然夜だ。辺りが暗くなって来てから。」

「6時半、7時くらいからかな。」

「それまでは何やるんだ?」

「遊「自習だよ。」

田淵の言葉を遮った。

「学生の本分は勉強。

休日でもわざわざ学校に来るくらいだから、それはもう勉強しかないよね。

その熱意は凄まじく、気がつけば夜まで。

そういう(てい)だよ。」

「わざわざ本当に勉強しな「課題。終わってるの?」ごめんなさい。勉強します。」

「鈴木くんも勉強する?教えるよ?

教科書とかは杏くんのを貸すから。」

…。

「あー、すみません。

一旦別行動でもいいですか?

夜までにはまた来ますんで。」

「おー?逃げるのかー?」

「もう、杏くんは…

それってさっき言ってた用事?」

「あー、まあ。」

特に否定しても意味はないし。

「俺にとって今は勉強よりも大事な事、かな。」

事実だけを伝えた。

「そう。

手伝える事があったらなんでも言ってね。

僕達はここに居るから。」

「はい。

それじゃあまた後で。」

「じゃあな。」

「また後で。」

_面倒臭いけど、良い人達だ。


これで逃げ道も、時間もなくなった。

「行くか。」

まずは一発、ぶん殴ってやろうか。

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