ヒト違い
「えっ、あ、見てないよ。」
とりあえず誤魔化さないと。
「そうだよね。もう、行っちゃったよね…」
「朝から探していないなら、たぶんね。」
「ごめんね、せっかくのクリスマスにこんな暗い感じで。」
「ううん。気にしないでよ。
見つかるといいね。」
「…なんか、今日の鈴木君はいつもと違うね。」
「え?」
「やっぱりなんでもない。
変な事言ってごめんね。」
「いや、気にしてないよ。」
「それじゃあね。」
「じゃあね。」
危ない、バレたか?
それにしても修也数田の姉ちゃんとどんな関係なんだ?
まだまだ修也の事は全然知らないんだな。
今日は大人しく帰った方がいいか?
歩いているといい匂いがした。
匂いの先は食堂だった。
そういえば、修也はいつも弁当だったな。
今日は俺が急かしたから何も持たずに出て来たな。
時間も時間で腹が減った。
「修也!」
誰かを呼んでいる。
「よお、聞こえなかったか?」
肩を叩かれた。
「え?」
「飯食ったか?」
そう言えば今の俺は陰府乃汀じゃなくて、鈴木修也だったな。
「まだ食ってない。」
「今日の学食はスペシャルメニューだってさ。今日弁当は?」
「ない。」
「よっしゃ、なら行こうぜ!」
確かこいつは…誰だっけ。
「待って、今日は金もないんだよ。
財布家に置いて来た。」
「しょうがない奴だな。
今日だけは奢ってやるよ!
その代わり今度返せよな!!」
「それは奢りとは言わない!
と言うか今日は気前がいいな。」
とりあえず、飯には有り付けるようだ。
「だって今日は見知らない可愛い子達がたくさん来てるんだぜ!」
「そっちが目的か。
ロリコンめ。」
「さすがに犯罪になるくらいの年下には興味ねーよ。」
「怪しいなぁ…」
「いや、本当に興味ないからな!?」
!!?
修也の友達を話しながら食堂に来ると、
今度は数田が居た。
「おい、急に止まってどうしたんだよ。
気になる子でも見つけたか?」
「悪い!!」
「あ、おい」
逃げなきゃ!
数田に見つかる前に!
その場から逃げ出した。
とにかく別の階層の男子トイレに駆け込んだ。
ここなら数田はまず入ってこれない。
なんでアイツがここに居るんだ!?
まだ中学生のはずじゃ?!
息を整えると思考も落ち着いてくる。
いや、それよりも、
今さらどんな顔してアイツに会えばいいんだよ…
ふと、鏡を見上げた。
あ_そうか、そういえば俺は今、俺じゃないんだった。




