不確定な夢
明かりを点けたまま眠っていた。
起き上がると外は暗く、
俺は帰り道を歩いていた。
少女が手を差し出す。
俺はその手を握らない。
ただ少女を見つめていた。
そうしたら、彼女は闇から一歩出て来た。
少女は笑っていた。
その顔を血だらけに染め。
一瞬で身の毛がよだつ。
今すぐに逃げ出したいのに、その足は釘付けで、
今すぐにでも泣き出したいのに、その顔は綻ぶ。
俺はその子の手を_
_「やめろ!」
「!?」
目が覚めたら明かりは点けたままだった。
外は明るい。
「その手を取るな!」
体が重い。
「お前、分かってるのか?」
体が動かない。
「その手を取ったらお前はもう」
「!」
手に意識が集中し、途端に動かせた。
その手は何の変わりもない俺の手だった。
その手を明かりに翳した。
薄っすら誰かが見えた。
それにさっきからのこの声は…
「お前は誰だ。」
段々と彼の姿が見えるようになって来てからは無意味な質問だが、本質は、
「俺は陰府乃 汀。まさか忘れたの?」
「いや、ひょっとしたらがあるかもしれないだろ?」
「はぁ?何があるっての?」
「実は双子の〜とか、実は生きてました〜とか、」
「あぁー…ないない、俺が死んだのは事実だし、俺は学校からあんたにツいて来た。」
「俺、なんか恨まれることしたか?」
「強いて言えば姉ちゃんに抱きついた事だけど、
まあ別に取り憑いてるってわけじゃないから。
勝手について来てるだけ。」
「そうなのか…(いや、それを取り憑いてるって言うんじゃ…まあ本人にその気がないのならそうなのか…?)」
その事は出来れば忘れていたかったけど…
少し体が楽になって来た。
「それより、学校に行くんだろ?」
「ああ、そうだったな。」
目的を思い出すと体はやっと動き出した。
着替えや食事を済ませ、制服を着る。
家の戸締りを確認して今日も学校へ。
その道すがら陰府乃弟に聞いてみた。
「なあ、あのまま手を掴んでたらどうなってたんだ?」
「さあ?」
「じゃあなんで止めたんだよ。」
「あのままじゃダメな気がした。」
「…なんだそりゃ…」
「ほら、よく言うじゃん、『帰らぬ人』って。」
「じゃあ、あのままだった俺は死んでたのか?」
「死ぬかどうかは知らないけど、確実に言えるのはそれだけって事。」
「それじゃああの子は?」
「きっともう帰らぬ人なんじゃない?
だからああやって、誰かを手招きしてる。たぶん。」
それじゃあ尚更!
手を伸ばしてどうなってたんだ
「そんな不確定な…」
「まあ、なんとなくだけどさ。」
「じゃあお前はなんで助けたんだよ。」
「そりゃあ、なんとなく。
ってのは嘘で、自分が死んだばっかなのに、誰かが目の前で死んでいくのは、さ。」
言いたい事は半分わかる。
残りの半分は俺が生きているから分からない。
分からない
何故自分はあの手を掴もうとしたのか。
きっとあの子にまた会ったら、俺は手を取るだろう。
そんな気がする。
それが何故だかは分からない。
全てを投げ出してでも
その手を掴む
繋ぎがおかしいのも
場面が飛ぶのも仕様です。




