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今際の夢  作者: lycoris
今際の夢
32/140

不確定な夢

明かりを点けたまま眠っていた。

起き上がると外は暗く、

俺は帰り道を歩いていた。

少女が手を差し出す。

俺はその手を握らない。

ただ少女を見つめていた。

そうしたら、彼女は闇から一歩出て来た。

少女は笑っていた。

その顔を血だらけに染め。

一瞬で身の毛がよだつ。

今すぐに逃げ出したいのに、その足は釘付けで、

今すぐにでも泣き出したいのに、その顔は綻ぶ。

 俺はその子の手を_


_「やめろ!」

「!?」

 目が覚めたら明かりは点けたままだった。

外は明るい。

「その手を取るな!」

体が重い。

「お前、分かってるのか?」

体が動かない。

「その手を取ったらお前はもう」

「!」

手に意識が集中し、途端に動かせた。

その手は何の変わりもない俺の手だった。

その手を明かりに(かざ)した。

薄っすら誰かが見えた。

それにさっきからのこの声は…

「お前は誰だ。」

段々と彼の姿が見えるようになって来てからは無意味な質問だが、本質は、

「俺は陰府乃 汀。まさか忘れたの?」

「いや、ひょっとしたらがあるかもしれないだろ?」

「はぁ?何があるっての?」

「実は双子の〜とか、実は生きてました〜とか、」

「あぁー…ないない、俺が死んだのは事実だし、俺は学校からあんたにツいて来た。」

「俺、なんか恨まれることしたか?」

「強いて言えば姉ちゃんに抱きついた事だけど、

まあ別に取り憑いてるってわけじゃないから。

勝手について来てるだけ。」

「そうなのか…(いや、それを取り憑いてるって言うんじゃ…まあ本人にその気がないのならそうなのか…?)」

その事は出来れば忘れていたかったけど…

少し体が楽になって来た。

「それより、学校に行くんだろ?」

「ああ、そうだったな。」

目的を思い出すと体はやっと動き出した。


着替えや食事を済ませ、制服を着る。

家の戸締りを確認して今日も学校へ。

その道すがら陰府乃弟に聞いてみた。

「なあ、あのまま手を掴んでたらどうなってたんだ?」

「さあ?」

「じゃあなんで止めたんだよ。」

「あのままじゃダメな気がした。」

「…なんだそりゃ…」

「ほら、よく言うじゃん、『帰らぬ人』って。」

「じゃあ、あのままだった俺は死んでたのか?」

「死ぬかどうかは知らないけど、確実に言えるのはそれだけって事。」

「それじゃああの子は?」

「きっともう帰らぬ人なんじゃない?

だからああやって、誰かを手招きしてる。たぶん。」

それじゃあ尚更!

 手を伸ばしてどうなってたんだ

「そんな不確定な…」

「まあ、なんとなくだけどさ。」

「じゃあお前はなんで助けたんだよ。」

「そりゃあ、なんとなく。

ってのは嘘で、自分が死んだばっかなのに、誰かが目の前で死んでいくのは、さ。」

言いたい事は半分わかる。

残りの半分は俺が生きているから分からない。


分からない

何故自分はあの手を掴もうとしたのか。

きっとあの子にまた会ったら、俺は手を取るだろう。

そんな気がする。

それが何故だかは分からない。

全てを投げ出してでも

その手を掴む


繋ぎがおかしいのも

場面が飛ぶのも仕様です。

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