旧友
「あ、知ってたんだ。」
「思い出しただけ。」
「姉ちゃんと知り合いなの?」
「まったく。」
「じゃあなんで?」
「何でだろうな。」
「あんた話にならないじゃん。」
「そうだな。」
「…帰らないの?」
「じゃあ帰るわ。」
最初の印象は面白いやつかと思ったけど、
話してみるとよく分からない奴だと思った。
「休み短いくせに課題はやたらと多いよな。」
「そうか?」
「だよな。」
いつも通りの3人。
「なあ修也、今日暇か?」
「何で?」
「カラオケ行こうぜ!」
「悪い、用事ある。」
「えぇー」
「俺も行きてーな。」
「どうせ部活だろ?」
「まあな。」
「ていうか、お前に用事って珍しいな。」
「まあな。」
「じゃあまた今度行こうぜ!」
「「おう。」」
と言っても用事なんてたいしてないけど。
また今日も階段に行って陰府乃弟と話でもしようかと思ってた。
「よう。」
「何か用?」
「お前こそ何の用でそこに居るんだよ。」
「…」
「別に地縛霊でもないだろ?」
「あんたこそ、霊能力者なの?」
「いや、別にそう言う訳じゃなくもなくもない。」
「俺を成仏させに来たのか?」
「まあそうだけどさ。」
「まあ身構えなくても今の俺にそんな力は無いよ。」
「…」
「まあ良く知らない奴を信用しろってのも無理だろうな。」
階段に腰掛ける。
「だから話をしようぜ。
それが俺の用だ。」
陰府乃弟は相変わらず警戒しているようだ。
「まずは、俺は鈴木 修也。
趣味も特技もとくにない。
お前は?」
「…陰府乃 汀。
趣味も特技もないよ。」
「俺と一緒か。」
「大体の人はそうでしょ。」
「まあな。
将来の夢とかってあったか?」
「弁護士にでもなって荒稼ぎしたかった。」
「金が欲しかったのか?」
「金は現代社会において全てだから。」
「確かにな。
俺はまだやりたい事とか特に決まって無いな。」
「つまんないな。
俺と変わろうぜ?」
「乗っ取りは勘弁。」
「貸すだけなら?」
「それでお前が成仏するならな。」
「俺、あんたに恨まれるようなことした?」
「いや。むしろ逆かもな。」
「俺に何かしたのか?」
「これからだな。
で、どうする?」
「何が?」
「俺の体を借りてまでやりたい事、いや、やり残した事はあるか?って。」
「…なくはないけど…それじゃあ意味が
「こんな所で何してるんですか?」
「「!?!」」
油断した。
そりゃあ俺だって元々そっち側だったってのに。
「御鏡さんこそ。」
「私は声がしたからですけど。」
「そうなんだ。部活は行かなくていいの?」
「同好会ですよ。今日はもう終わって、私は忘れ物を取りに来ただけです。」
「あ、そうなの。」
そういえばここは一年のフロアだったな。
「それで、先輩は何してたんですか?」
話を逸らせなかったか。
「あー…劇の練習だよ。友達に頼まれてさ。」
幽霊と話してた とも、独り言を呟いていた と言う
のも、なんとなく、
秋悟をダシに使った。
「木元さんにですか?」
「知ってるんだ。」
「彼ほどの役者は見た事ない、って部長が言ってました。」
「へ〜」
そういえばあいつの舞台は文化祭でしか見た事ないな。
そんなに凄かった記憶ないけど。
「台本見せてもらっていいですか?」
「え、あ、いや、
暗記して きたからさ、台本は置いてきた。」
「そうですか…」
少し残念そうだった。
「全部暗記したんですか?」
「え、ーっと、まあ大体はね。」
「凄いですね。じゃあまた今度見せて下さいね。」
あっぶねー、何とか押し通せた。
「苦しい言い訳だな。」
「うるせぇ」
今日はもう帰ろ。
「じゃあまた明日な。」
「明日も来るのかよ。」
「毎日来てやるぞ。」
「うぇー。」
「泣いて喜べ。」
「ま、暇潰しにはなるかな。」
相変わらず生意気だな。
「じゃあな。」
「じゃあ。」
空には星が見え始めていた。




