空の絵
今日も今日とて授業を終えて、
解放された訳だが、
「帰ろうぜ。」
いつも通りの帰りを、
「悪い、少し残るわ。」
何故だか断った。
「そっか。じゃあな。」
「おう。」
段々と教室から生徒が減っていく。
「帰らないの?」
最後に教室を出るクラスメイトが俺に声をかけた。
「ん、そのうち帰る。」
「そう、じゃあね。」
「おう。」
「ん。」
寝てた訳では無いが、気が付けば時計の長針が1週していた。
通りで外がこんなに暗くなってきている訳か。
「よいしょっ。」
ただただ同じ姿勢でボッーとしていたので立ち上がって伸びをする。
「帰るか…」
荷物を持ってやっと教室を出た。
廊下に出て階段に差し掛かって、思い出した。
ふと、登ってみた。
きっとそこには泣いている女の子も、そこに寄り添う血だらけの男の子も居ないだろうけど。
「あれ?」
最上階に来たが、当然誰も居ない。
が、何処からか、おそらくこの扉の先から気配がした。
だから、試しにドアノブを回すと案の定扉は開いた。
その先は初めて見る光景。
泣いている女の子。
それを見た瞬間目頭が熱くなる。
言葉に出来ない感覚が湧いてくる。
それを何かにぶつけたいほどモノが。
泣いている女の子は絵を描いているようだった。
右手にパレットを持ち、左手に筆を持つ。
見た事ない生徒だった。
「おい、何やってるんだ!」
聞いた事のある声。
その声で女の子は俺の存在に気付いたようだ。
「勝手に屋上に上がるのは禁止だぞ。って何だ、お前か。」
声をかけて来たのは沖だった。
俺を見て少しバツの悪い顔をする。
「あ、すいません、開いてるとは思わなくて。」
「そうか、なら、もうすぐ閉めるから帰れ。」
「あ、はい。あの、あの人は何してるんですか?」
見れば分かる。
だが、何故ここで泣きながら絵を描いているのか、それが如何しても気になった。
「風雛は美術部のコンクールがあるから特別にな。俺が付くのを条件に屋上を開放したんだ。」
だから、関係無いお前は帰れ。と。
「待って下さい。」
大人しく帰ろうとしたが呼び止められた。
「何だ?」
沖が聞き返す。
「あなた、そのまま動かないで。
先生、少し離れてくれますか。」
風雛という生徒は俺を絵に加えるつもりのようだ。
沖は渋々邪魔にならない所まで離れていった。
俺は、何をすればいいのか分からずそのまま固まっていた。
「っ、はぁ〜…」
最後に、それまで丁寧に動かしている様に見えた筆が
一直線を勢い良く描いて止まった。
そして、気の抜ける様なため息とともに筆を置いた。
「はぁ…」
俺も 、やっと解放されてため息が出た。
「さ、撤収だ。撤収。」
自分まで固まってた癖に、沖が仕切る。
「はい。ありがとうござました。」
俺に言ったのか沖に言ったのか、女子生徒は立ち上がって一礼した。
「…」
俺よりも彼女の方がよっぽど絵になるな。
そんな柄にもない事を思いながらその場を後にした。
「やっぱり、
荒れてるね。」
何が荒れてるってそりゃあもう、近いうちに




