最低な君は
何かが破裂するかのような音がした。
「いい加減、離せよ…!」
本気で打たれた。
「…」
「何1人で盛り上がってんだ!
てめぇに私の何が分かる!!」
…
「鬱陶しいんだよ!
私に触るんじゃねぇっ!!」
…
なぁ
「ウザいんだよ!
もう関わんなよ!」
…
あんた言われっぱなしでいいのかよ?
「もう許しただろ!?今さら!
放っておけよ!!」
…
目の前で女の子が泣いてんのに、
あんたはそれでいいのかよ!!?
「そこどこよ、邪魔だ!」
…
あんたそれでもお「うるせぇっ!!」
「!?」
「さっっきっからごちゃごちゃうるせぇんだよ!
どうして俺がてめぇの言いなりにならなきゃいけない!」
お、おう、落ち着けよ。とりあえず俺より姉貴の方を。
「ちっ、逆ギレかよ」
「あ?お前がさっきから邪魔してるんだろ?」
「はぁ?邪魔なのはそっちだろ!?」
「「はぁ!?」」
「はーぁ、なんで俺がこんな目に…」
結局、大声で言い合ってる俺らを、通りがかった沖に止められ、「用事も無いのに、学校に残るな」「もう少し場所と声のボリュームを考えろ」など怒られた。
反省文は書かなかったものの8割方俺が悪いって事になった。
もちろん沖には経緯を省いて大体の過程だけを話したが。
同時に帰すとまた喧嘩しかねないから、1人が生徒相談室に残された。
レディースファーストだの、下級生だからだの、要はどう足掻いても俺は後になる。
その間に沖となんら面白味のない世間話をした。
どうして教師ってのは口を開けば勉強になるのか。
「それじゃあ、先生さようなら。」
「気をつけて帰れよ。」
前に比べれば確かに丸くなったような気はしなくもないが。
まあどうせこれ以上の関わりはないだろからいいけどさ。
それにしたってまだ腹の虫がイマイチ収まらない。
この怒りをどこにぶつけよう。
と、言ってもあまり物騒な事をする程の度胸もなく、菓子でも食って発散する事にした。
「こんにちわー」
と言っても、もうすぐ日は沈むけど。
「いらっしゃい。」
あれ?
望に教えてもらった駄菓子屋に行ったら望が店番をしていた。
「おばあちゃんはどうしたんだよ?」
「ばあちゃんは今飯作ってる。」
「ここのおばあちゃんってお前の家の婆ちゃんだったのかよ?」
「うん」
へー
「それよりもお前!」
「ん?」
望が漫画を読む手を止めた。
「とぼけんなよ、塾って言ってたじゃねーか。」
「言った気がする。」
「これは?」
「手伝い。」
「塾は?」
「行ってない、まだ。」
「はぁ…お前も金治さんに買収されたのか?」
「誰それ?」
「谷を4つ書いて金を治める人。谷谷谷谷 金治。」
「あー、あれって『やつや』って読むんだ。
ずっと『よつや』か『しぶや』か『たによ』だと思ってたわ。」
「てことは、知ってるんだな。」
「うん。ウチの学校で1番頭の良い人だろ?」
「そうなんだ。」
「知らないのかよ。」
「確かに良さそうではあったけども。」
へー、そうなんだ。
「まあ半年もしたら塾に行き出すだろうから別に嘘でもないよ。」
「それは屁理屈だろ。」
「悪かったって、負けてやるから。
「え、本当?」
「今日だけな。」
「ラッキー!」
やっぱ悪い事があった後は良い事が待ってるんだな。
「ちなみにどのくらい?」
「まぁ、1割かな。」
「1割ってどのくらい?」
一瞬、望の顔が引きつった。
「10%」
「100円のが10円になるのか!太っ腹だな、流石!」
「待て待て待て」
望が珍しく焦った。
「流石に10%引きだぞ?」
「分かってるよ、だから10%に引くんだろ?」
「分かってないって。10%にして引くんだよ。」
「は?」
?????????
「まあいいや、とりあえず欲しいの持ってこいよ。後で答え合わせするから。」
あからさまに呆れられたが、まあ負けてくれるんだから良しとしよう。
「ほい。」
せっかく10%に負けてくれるんだから普段は手を出さない様な物も含めて約1000円分。
いやぁ〜〜、お得お得。
「ふんふん…合計で、970円だから〜」
置いてある電卓を使わずに、わざわざ暗算する望。
「まあ切り上げてやるとして、870円な。」
?
「は?970円の10%だから97円じゃねぇの?」
「あー、そういえば。」
望が電卓を叩く。
「ほら。」
970と表示されている。
「これの10%は確かに97だ。」
×10%をする。
「んで10%引きだから、元の値段から97を引く。」
Cを押してまた970と打つ。
そして今度は-97をする。
「883で、端数切り捨てで880円。」
さらに-3をする。
??
「で?」
「会計が880円。」
???
それから何度も望と言い合いながらも何とかなんとなく理解した。
そんな訳で随分をガッカリはしたが300円まで減らした。
今食べたいものだけを厳選した。
「じゃあ380円で、引いて、35、340円だな。」
は?
「待て、おかしい。」
「何が?」
「300円だろ?そっから引いたら270円じゃね?」
「よく見ろよ、380円分あるだろ?」
あれ?本当だ。でも思ったよりチョコが多い?
「じゃあこれキャンセルで。」
「だって。」
「じゃあキャンセルのキャンセルで。」
?
しれっと居るけど誰だこの女の子。
いや、確か前に見たことある様な。
「だって。」
今度は俺に言う望。
「キャンセル、キャンセル、キャンセルで。」
「それぐらい出してやれよ。」
悪いが今は精神的にそんな余裕が無い。
「何で俺が出さなきゃならん。望が負けてやれよ。」
「丸々無料は流石に勝手には出来ないって。
それに負けてやってるんだからさ。」
「あーもうっ!出せば良いんだろ!!」
500円玉を叩きつけた。
「はぁ…毎度。はい。」
お釣りと袋を受け取りさっさと帰った。
「荒れてるな〜、無理もないけど。」
奢ってもらった少女は何事もなかった様に菓子を食べて帰っていった。
「あー、腹減った。」
また漫画を読み始めた。
ちょっと長くなってしまった




