今際の夢 杏夜6
「話したところで何かが変わる期待はしなてなかった。」
「今までに打ち明けた事は何度かあった。」
「だから。」
金治が帰った後に1人呟いた。
「『鈴木修也の願いを叶える』
不確かだけど、それがこのループの鍵らしい。」
「その願いって言うのは?」
「全然分からない。」
「そうなるよね。」
「分かってたら苦労してない。」
「そうだね。」
屋上で金治と会議をする。
現状屋上は使用禁止になったが、どうやってか鍵を持って昼休憩に訪ねてきた。
「前に部活中に聞いてたのはこの事が関係してるの?」
「あとどのくらいで終わるの?」
「このまま何もしなければ1週間だと思う。」
「タイムリミットは7日…時刻は何時くらい?」
「ほとんど夕方だったはず。
場所は駄菓子屋の中。
夢を見る為に。…」
「大丈夫?」
「じゃない、ちょっと、
ちょっと待って。」
目がぼやける。気がする。
頭が痛い。ような。
胸が軋む。過去にあった。
今の自分が分からない。
自分が分からない。
自問は問いを得ずに嵩む。
その重さに息が苦しい。
自分が無いから立っていられない。
それでも、ここでとまれば先へは行けない。
夢からは醒めない。
「ほんとに大丈夫?」
「っ…、ぅ、ん、…、」
声が出ない。
代わりに目で訴える。
「僕はどうすればいい?」
手を差し伸べられる。
それをとる。
「ん゛、う゛っ、
止め る ぞ、
あいっ、の、 自さ、っつをっ、!」
疼く
疼く
疼いて止まらない
痒み。
自分の輪郭を掻きむしりたい。
鎮まらない炎に抗えていられるのは金治が見ているから。
今すぐにでも描き壊したい衝動を。
金治が見下ろす限り俺がオレである事が嫌でも分かる。
それを睨み返すだけで、歪な自分が確立する。
「昨日は大丈夫だったのに…
どうして?」
「っ、…
たぶん、 、自分から、思い出そ、うと、すると、
」
「無理は、してでも、
止めないと だもんね。」
「うん」
「頑張れ」
「う、ん」
乱れる息と制服を雑に整える。
「とりあえず、『今際の夢』について探ろう。
確証はなくてもいいから、概要だけでも掴みたい。
それがもっとはっきりとすれば、
方法も浮かんでくるはず。」
「そうだね。」
「二手に別れようか、せっかくだから。」
「うん。」
「…何か分かったら共有しよう。」
「うん。」
「君は見た事がある?」
「これが、今際の夢かもしれない。」とは言えなかった。
そう、確証がないから。




