今際の夢 ; 杏夜
噂も何もない、
静かだった。
昼休み、悠也の教室を覗きに行くと数田さんは居た。
金治が嘘を言ったとも思えない。
あぁ、鈍いんだ、自分は、
言われるまで気付かなかった。
その目で見るまで分からなかった。
亡くなったのは妹さんの方だった。
「どうかした?」
呆然と固まってる杏夜に声をかける悠也。
「あ、…
部活終わった後、
話がある 。」
…夕刻、
部活が終わった後、駄菓子を買ってから公園に集まった。
「それで、何の話?」
「今際の夢、って、知ってるか?」
「いいや、」
「じゃあ、お前は誰だ?」
「…鈴本悠也」
「じゃあ、誰なんだ?
俺は知らないぞ」
「…。」
「…答えてくれ。」
「鈴本悠也だってば。」
「鈴木修也はどこに行った?」
「さあ、な。」
「何処にやった?」
「目の前に居るだろ?
俺が鈴本悠也だ。」
正面に立って目を覗き込む。
「な?」
ふざける悠也の肩を揺さぶった。
「お前なんかじゃない!
お前は鈴木じゃない!そうだろ!?」
「俺だってば
「「お前にアイツの何が分かる!?」。」
唖然とする杏夜の手を払いのける。
「そっくりそのまま返すよ。そのまんま。
今更気付いたか。
あの痛みをすら忘れたか?」
膝をつく杏夜。
「それでも、今までで一番早かった。」
杏夜の肩を叩く悠也。
「それでも、遅かった。
願いは分かったか?」
「分かるかよ!
お前は修也じゃないんだろ!?」
「そうやって諦めるのか?
また。」
「俺は…俺は…」
「何にせよ、まだ時間はある。
何しろ今回は気付くのが早かった。
諦めるなよ。
それが、俺のお願いだ。」
「そんなもん、俺だって、…」
「分からないんだよ。
修也の願いが。
そもそも俺はアイツの何も知らない。
お前がいくら、真似ようとそれは、
修也じゃないんだろう?
「それなりに似てる自負はあるが、
言葉の通りならそうだな。」
「それで何が分かるんだよ。」
「…分かる必要はない。
ただ叶えるだけでいいんだ。
アイツの願いは別に大それたものじゃない。
ありふれた独りよがりだ。
ただどうしようもなく人任せなんだ。
……」
「……
わかんねぇよ…。」
「そうか、
ま、分かったら、
その時はまた呼んでくれ。、」
呼び止める言葉を飲み込む。
現状は変わらない。
願いは分からない。




