what I can do? 3 七海
「改めてようこそ、鈴本くん」
案の定、鈴木は入部した。
だが、入部届けには『鈴本 悠也』と書かれていた。
「お前、これ間違えてないか?
字が汚いだけか?」
「どこが?」
「名前のところ。」
「さすがに自分の名前は間違えないよ。」
「ちょっと生徒手帳見せて。」
「…はい。」
怪訝な顔の悠也から手帳を受け取る。
名前の欄には確かに『鈴本 悠也』だった。
何度見ても何度見ても。
「そんなに珍しい名前じゃないだろ?」
「そうだよね?
むしろどこが間違えてると思うの?」
「いや、…いや…
あぁ、俺の勘違いだったかも。」
生徒手帳を悠也に返す。
「変な事で騒いで悪いな。」
「別にいいけど。」
その日は部室内で軽いレクリエーションをして終わった。
時間になり解散した後、
「以前に会った事あるの?」
「え?」
金治との2人、いつもの帰り道で聞かれた。
「やっぱりおかしいよ杏ちゃん」
「ん、ん〜、
人違いだったよ。」
「…」
杏夜の言葉を待つ金治。
「俺が知ってるのは、
『鈴木 修也』って言う奴で、
あいつと似てるようでちょっと違う人間。」
「僕は会ったことあるかな?」
「覚えてないなら、ないんじゃない?」
「…そう、だね。」
「それよりも!
後1人で、同好会が部活になるよ!」
「僕が卒業して抜けるから実質は後2人だけどね。」
「部長がそんな事言っててどうするの!?」
「部長だから余計に心配なんだよ。」
「何はともあれ、これで同好会として存続は確約された。」
「うん、それは素直に応援するよ。」
「これからだな。」
これから…
次の日からは鈴本も加えた4人で今まで通りのアンニュイな活動が続いた。
1人増えても変わらなかった。
彼が鈴本だろうが変わらなかった。
ただ鈴木と比べると、鈴本の部活への出席率は良かった。
そんな中変わった客が来た。
『陰府乃 七海』
まだ1年生の彼女が1人でこんな部活を訪ねるなんて。
「どうぞ、座って。
今お茶を用意するから。」
金治が部を仕切る。
悠也への説明も兼ねて杏夜がお茶の準備をする。
不合はお茶菓子を出しながら椅子を並べる。
「ここってどう言う活動をしているんすか?」
「この同好会、もとい部活では、…は〜、
特にこれと言ってなんの活動もしてないね。」
「オカルト関連は?」
「正直名前負けしてるかな。」
「じゃあ他を当たります。」
「まあ待って。
用件を聞いてみないことには力になれるかも分からない。」
まさかの悠也が口を挟んだ。
「ここにはこんなにも暇を持て余した連中が居るんだ。
何かしらの助けにはなるかもよ。」
何で君がそんなに偉そうなの?と金治の顔には書いてあった。
「除霊を頼みたいの。
知り合いでもいいから除霊が出来る人を紹介して欲しい、です。」
「…確かにそれは、僕たちの手には負えないね。」
「…」
部内は静まり返った。
悠也が続ける。
「誰かに怨まれてるの?
心当たりはある?」
「…。」
自信なさげに首を振る七海。
「良かった。
じゃあ、除霊したいその誰かに心当たりはある?」
「 、
弟の『汀』、
です 。」




