what I can do? 1
」おはよう。「
「…。」
」おはよう!「
「…。」
」どうしたんだ田淵?
元気ないぞ「
「…。」
」おーい!「
「何でここに居るんだ?」
」そんな事より、
早くしないと遅刻するぞ?「
「ん?ん!んん!?」
ベッドから飛び起きた杏夜は急いで身支度をする。
「どうなってんだ?」
」何が?「
「お前、幽霊なのか?」
」失礼な、勝手に殺すな「
「じゃあ説明してくれよ!」
」それは僕の口からは言えないな「
「じゃあ誰に聞けばいい?」
」そうやってすぐ人に頼る癖直した方がいいと思うよ。「
「うるせぇ!俺の頭じゃ理解が追いつかないんだよ。」
慌ただしいまま家を飛び出す杏夜。
「俺以外には見えてないのか?」
」まさしく君が待ち望んでいたシチュエーション。「
「まさかな、だからこそ整理出来ない。」
」なら、今の君に僕が語ることは無いかな。「
「おい、どういう事だよ。」
背後霊のように着いてきていた悠也は居なくなっていた。
急に枕元に現れて、
夢の様に居なくなった。
これがいわゆる狐につままれる。か。
考える時間も惜しい杏夜はとにかく足を動かした。
そうして始業にはぎりぎり間に合った杏夜が異変に気付いたのは、
授業が始まってからだった。
順番に名前を呼ばれ返されるテスト。
相変わらず褒められた点数ではないが、
何気なく子守唄に聴いていたテスト直しに違和感を覚えていた。
テスト勉強なんて碌にしてこなかったから、
気づくのが遅れた。
俺が望んでいたモノ。
部室に着くと杏夜が一番最後だった。
「ちゃーっす!」
「お疲れさま、杏くん!」
「こんにちは。」
「鈴木は今日も来てないか。」
「「?」」
「まあ、ちょうどいいか。
あのさ、金ちゃん、」
「何?」
「ぁ…いや、やっぱ何でもない!」
「どうしたの杏くん。
いつにも増しておかしいよ?」
「まあ、ね、」
今朝、言われた言葉が引っかかった。
今になって考え始めた。
何かを、『なにか』を、、
漠然としていて思考がまとまらない。
気が付けば違和感を覚えたテスト用紙で紙飛行機を作っていた。
先程まで眺めていたはずの、無意識のわりにはよくできている。
息詰まった気晴らしも兼ねて、窓から紙飛行機を飛びす。
この時間人通りは少なく、今日は風もない。
が、思ったよりもよく飛んだ紙飛行機は男子生徒に当たった。
振り返ってこちらと目が合う。
大袈裟に謝るジェスチャーをする傍ら思い出していた。
この後、彼は沖先生に鉢合わせて…
そこにたまたま通りかかった用務員さんと…
それから明日になって彼は俺を尋ねて強引な勧誘を受けて…、
それから、…
それから…、
それから、
最期に彼は、…
自分で、自分を、殺してしまった…、…。
俺は、何も知らず、
何も考えなかった。
そんな俺が、
田淵 杏夜が望んだシチュエーション。
今朝に悠也が言っていた回答。
これから俺には何が出来るだろう?
考えもしなかった事を考えながら、ただ呆然と立ち尽くした。




