ワカレノ 1
目が覚めるとベッドの上にいた。
記憶が曖昧で、頭が痛い。
眠りにつくまでを覚えていない。
体を起こし見回すと、自分の部屋ではない。
「あぁ…」
ぁあ…
外は明け方。
いつもの眠る時間。
帰ろう
ここにもう用事はない
ここにはなにも残らない
「さようなら」
誰に宛てるでもなく呟いた
それは、それだけは、私のケジメだった
今は見送る言葉
一二三が帰って行った。
もう朝だ。
起きて顔を洗って身支度をする。
まだいつもより早い。
それでも学校に向かう。
当然校門は閉まってる。
「おはようさん、えらく早いな」
用務員さんが挨拶をする。
「おはようございます。
桂さんこそ、いつもより早いですよね。」
「今日は、
…なんとなくな。」
「僕もです。」
桂さんの昔語りを聴きながらお茶を飲んでると、
いつの間にか他の生徒達が登校し出していた。
だんだんと騒がしくなっていく校舎内。
「そろそろ行かないとな。」
「はい。ごちそうさまでした。」
「じゃあな。勉強頑張れよ。」
「ありがとうございます。
、さようなら。」
教室に行くと望がいた。
「よう、今日は早いな。」
「おう。」
「まだテスト期間でもないのにどうした?」
「…今日で終わりだから。」
「何が?」
「また後で、分かる。
またね。」
「???」
教室を出てトイレに行くと、杏夜と遭遇した。
「ん?よぅ、奇遇だな。」
「おう、今日は早いな。」
「何だか目が冴えてな。
胸騒ぎがする、っつーか。
そんな所だ。
お前は?」
「まあ、似た様な感じかな。」
「そっか、お前もか。
今日は来るか?部活。」
「行けない。どうしても。」
「どうしても、か、」
「うん、悪いけど、代わりに先輩に謝っといてくれ。」
「何を謝るんだよ。
『どうしても』なんだろ?
俺が上手く言っといてやるよ。」
「 ありがとう、助かるよ。」
「おう!
それが終わったら来いよな。
明日じゃなくても待ってるから。」
「…じゃあね。」
教室に戻って周助と秋悟が合流した。
「おっす!」
「おはよう。」
「おう。」
周助と並んで秋悟の机を囲む。
いつも通りの周助が誇張した話を秋悟とともに茶化しながらじゃれあう。
今日までのいつも通り。
いつのまにかその後ろで二三四が手招きをしていた。
「呼ばれてるから行くわ」
二人と別れる。
同じクラスなのにわざわざ廊下に呼び出された。
「今日で最後だね。」
「…。」
「お姉ちゃんは知らないから、怒ってたよ。」
「……。」
「すごく怒ってた。
…でも、私は悲しいよ。
悲しい…
今日で、最期だからね…」
「ありがとう、
じゃあね。」
そう言って笑って弁当を渡された。
それを黙って受け取る事しか出来なかった。
そうこうしているうちにチャイムが鳴って
…
「先輩。」
帰り際、今となっては唯一の後輩に呼び止められた。
「部活は行かないんですか?」
「今日は…
ごめん、
用事があって休むんだ。」
「どこにいくんですか?」
「…。」
「誰と行くんですか?」
「…。」
「どうしても行くんですか?」
「うん」
「私を、私達をおいて、行くんですね?」
「ごめんね。」
「…。」
「これだけは…
「僕にとってこれだけは…
「俺は、それだけだから。 」
その為に僕たちは逝くんだよ。
「じゃあね。」
ふるえるなきごえをきこえないふりした




