最後の晩餐 一二三 その二
「ここでは死ねない、です。!」
フォークを握る手を強く掴む。
「どうして?!なんで!?
お願いだから!私の手で殺されて!!
今!殺させて!!」
髪を振り乱して叫ぶ一二三。
「仇をぉ…!
妹達のぉ!…
二三四の、三四五の、
カタキを、!…!」
「死ねない!
まだ、!ここで、!
こんな、ところで、」
爪を立てて力の限り一二三の手を握りこむ。
「うぅ、ぁ…っ!…」
酸欠寸前でやっと手が離れた。
咳き込んでむせる。
酸素を必死に取り込みもがく。
「どうしてそんなことを言うの?」
一二三は泣いていた。
「こいつは見殺しにしたのに?
「こいつは救わなかったのに?
「私はあなた達のためを思って。
「どうして?
「
どうしてあなた達がコイツらを庇うの??」」」」」」
「はぁ…、はぁ…、、
一二三さん、
僕は。ぁ。、…
ごめんなさい、…、救えなくて、…」
「ぁ、ぁぁぁ、、…ぁ。」
堪えられずにえづく一二三。
「救えなくて、。」
「お前さえ居なければ、
お前さえ居なければ、
前、
さえ、
ければ、
」
「それを、!
幸せと、呼ぶな!
そんなことは!、
救いと、言わない!!
何も、何を、何もかも、!
私が今まで救ってきた、
私は今の今までで救いを
最後に幸せを、それが幸せと、、
願いだと、
みんな、 言っていた。
言われてきた。
あなた達は………。
どうして…………?」
「それが、
彼女達の、僕の、
願い、、
だからです。」
「だから、
僕には、 僕じゃあ、 救えない。」
滴る血の赤に写る少女達。
反射する屍は彼を抱き、
それはまるで道連れの様に、
彼を覆い隠そうとしている累々。
積み重なった業が
足枷の様に連なって
終わりの見えない地獄を引き連れて
彼はまだ生きようとしていた。
結果として彼を守ろうとした
彼女達に、私は守られた。
それが絆なのか嫉妬なのか。
その赫は誰の血か
そこに見えないはずの人
震えない鼓膜に響くの声
その手は冷たく
その声は冷たく
その顔は忘れない
その顔を忘れない
醜く歪んだ
愛おしく微笑んだ
死者
二人
『『ごめんね、お姉ちゃん。』』
「あなたは救う側の人間だから。
救えない人間の心は分からない。
救われない人間なんだ、
どうやったって、
だから、
せめて、せめて貴女だけは、
最後まで救いであって欲しい、です。
貴女は彼女達の誇りです。
僕たちは救えないから… 」
嗚咽を漏らし、
涙を零し、
悶える。
「 ̄ ̄ ̄!!!!!
!!!!! ̄ ̄ !!' 」
耳を劈く絶叫。
声にならない慟哭は、
胸に強く、鈍く響いた。
やがて電池が切れた様に
一二三がその場に崩れた。
その顔はいつかの二人を彷彿とさせる。
一二三をどうにか寝室に移動させ、後片付けを再開した。
今日はどうにも眠れる気がしないので、
その後、身辺整理に没頭した。
悉く、この家にある物は不要になるから。
…




