最後の晩餐 一二三
起きてしまえばなんて事ない。
時間は止まらない。
あと2日。
正確には40時間もない。
今日も一二三さんのおかげで時間を節約出来ている。
遅刻しないように学校に行って、
悔いのないように友と話す。
「何泣いてんだよ?」
「…。」
「目にゴミが入ったか?」
「そんなベタな。」
「…違いますよ。
もう終わりますから。」
「なんだ違うのか。
で、何が終わるんだ?」
「世界が。」
「「は?」」
「誰かの世界が、もう終わるんです。」
「いや、言い直してもやっぱわかんねぇよ。」
「何かの比喩?
それとも漫画とかの話?」
「ユメの話です。
…時間がないんで、
俺、行きますね。」
「おい、なんか困ってるんなら言えよ!」
その言葉に返事をせずに帰った。
「よお、今日は部活終わるの早かったな。」
「うん、そんなところ。
今日は蕨ちゃんいる?」
「ここんとこ来てないかな?」
「そっか…」
「何か用事?」
「…うん、すごく大事な…」
「そんなにか…
まあ、何か俺に協力出来ることがあるなら言ってくれ。」
「なら、…
それなら、忘れてくれ。」
「え?」
「それが、俺の願いだ、望。」
「え、あ、ああ。?
分かった?、」
「 ありがと う。」
望に願いを託して明日に備える。
「ただいま、です。」
家に帰ると一二三さんの靴があった。
「おかえり。」
料理をしながらの不愛想な返事。
俺に手伝えることはないので大人しく着替えて、皿を並べる。
そして、料理がテーブルに並ぶ。
心なしかいつもより豪勢な気がする。
「足りない。」
「え」
いつもだとこれで帰っていくはずの一二三さんだったのに、
今日は皿を余分に並べ始めた。
それも不思議と3人分。
「あの「明日なんだろ?
なら、今日が最後の晩餐だ。」
「…はい。」
「それに元は私が料理してるんだから文句を言うな。」
「いえ、
その、いつも、ありがとう、ございまし た。」
「私が自分でしてる事だ。
それに、これで最後だからな。」
「ごちそうさまでした。」
「…それで、明日の何時頃だ?」
食後片付けながらに聞かれた。
「放課後、くらい ですかね。」
「何処で?」
「言えないです。」
「どうやって?」
「それも、 言えないです。」
机を強く叩く一二三
「ふざけるな」
低く唸り、睨む。
「ごめんなさい。」
「謝って済むかよ!
じゃあ私は何の為に、今日まで甲斐甲斐しく世話を焼いてやったと思ってる!?」
「…。」
「あんたの死に様を見る為だよ!
目の前で妹達を見殺しにしたあんたを、
見殺しに、する、為に、!!」
感極まって泣き出す一二三。
「どうして!?
救えるんじゃなかったの!?
救える力があって、なんで救わなかったの!!」
「僕は
救わない、
救えない、
そういう約束だから、
です。」
「__!! !!」
押し倒され、
馬乗りの態勢でフォークを喉元に突き立てられる。
「なら生きているな!
死んでしまえ!」




