きき
やっと全部のテストが帰ってきて、学年順位も出た。
結果は、上がったのもあれば変わらないのもあった。
だが、下がったのは何一つなく、
それだけでも勉強した甲斐があったと思える。
苦手科目に焦点を当てたおかげで赤点はなかった。
久しぶりの赤点なし。
当たり前の事がやっと出来るようになった自分が少し情けなくなって反省した。
昼休み、みんなに自慢した。
「いやぁ、今回は赤点なかったぜ!」
「お、やるじゃん。」
「それが普通だけどな。」
「そういうお前は?」
「…補習回避。」
「はっはっは、俺の勝ちってことだな。」
「うるせぇ、今回は偶々だ。」
「必然だよ、俺は勉強したからな。」
「さすがにヤバイもんな。」
「周助もやっといた方が良いぞ。」
「いいよ、俺は卒業できれば。」
「卒業した後のために勉強するんだろ?」
「いいよな、元から頭いい奴は。」
「俺はちゃんと勉強してるだけだぞ。」
「次は秋悟も追い抜くからな。」
「期待してるよ。」
そうこうしてるうちに昼休みも終わり、眠い午後の授業が始まる。
なんとか、なんとか未来の自分に繋ぐために、ミミズを走らせながらノートを写しきり、後で絶対に直すと心に誓い放課後。
掃除も終わって帰る頃。
先生に呼び止められた。
「沖先生がお前がカンニングしたと勘繰ってるらしい。
気をつけろよ、そして、胸を張れ。
お前は頑張った。」
学年主任、補習担当の沖。
疑われる事は不思議じゃないが、
それ以上に今は先生が褒めてくれた事が嬉しかった。
「ま、まだまだだけどな。」
先生は優しく肩を叩いて職員室に向かった。
勉強して良かった、改めてそう思った。
「ん?あれは?」
中庭、人通りが多いようで少ないようで少ない。そんな場所。
「どこまで行くんだよ。」
何処かの教室から風に飛ばされた紙がここまで来た。
拾い上げて見てみると、テスト用紙のようだ。
別クラスの『田淵 杏夜』なる生徒のもの。
全く聞いた事も見た事もない生徒だ。
肝心の点数は28、ギリギリ赤点。
裏には落書きが書いてる。
謎の紋章のようなものの真ん中に微かに『沖』と読めるか読めないかの字が書いてある。
それを見つめていると声をかけられた。
「鈴木、こんな所で何してんだ?」
振り返ると、性格の悪い学年主任、沖が居た。
「沖先生。」
「ん?なんだそれは?」
俺の手に持ってる紙に興味を持ったらしい。
「あ、これは」
「ん!?赤点のテスト用紙?
お前今回赤点無かったはずだろ?」
沖の顔が醜く歪んだように見えた。
「なんでお前が赤点のテスト用紙を持ってるのかな?」
まずい。
非常に。
主人公の修也くんと周助くんはお察し。
秋悟くんは勉強も出来る演劇部部長。
そんな感じです。




