香とユウヤ 罰
そこには老人が1人いた。
当然の様に少年もいた。
そしてわたしもここにいた。
他には誰も居なかった。
病院のベッドで横たわる老人は聞き取りづらい声で語りかけていた。
それを私は聞き取れなかった。
わたしもベッドの上で眠っていた。
金縛りだろうか?
状況が、事態が飲み込めない。
少年にも老人にもわずかに見覚えがあった。
でもここにいたわたしは何も出来ない。
ただ、目の端に微かに映る彼らを視界に収める程度。
少年は言った。
「ごめんね、約束、
守れなくって。」
「いいや、
いや、
十分だよ。
仕方が ない 。
しょうがない。」
「ごめん、なさい。」
「責めないで。
責めないで。
あなたは十分、あたしの願いを、」
「うわぁああぁあぁああぁ!!」
少年は泣きじゃくった。
「ごめんぁさい!
ごめん、なさぃ゛!
ごっ、ひっ、、、めんんあさぃ!、」
泣き喚く少年の声に掻き消された老人の声。
少年の懺悔は謝るだけだった。
きっと少年にはそれしか出来ないのだろう。
それでしか償えない。
贖えない。
きっと老人は少年を許して、
少年は少年を許さないのだろう。
あぁ、なんでわたしはここにいるんだろう
めがさめると少年が眠っていた。
わたしのベッドの隣でパイプ椅子に座って。
外はまだ少し暗かった。
機械の音と時計の音だけが支配する。
少年は涙を流していた。
わたしの身体は動く。
動けたとして、動けない状況。
少年が本当に眠っているかも分からない。
動かない方がいい。
何故だかそう思ったから、
眠ったふりをするために目を瞑った。
だけども眠ってはいけない。
夢を見てはいけない。
夢の続きを見ようとしてはいけない。
何故だかそう強く、つよく思った。
思っていた。
次に目を開けると強い日差し。
眩しい眩しい光。
思わず目を閉じる。
それからゆっくりと目を開けると
一面に光だらけ
光ばかりが埋め尽くして
眩いばりの光と光と光。
そこら一辺に広がる光たちの先に
またも少年が居た。
光の中にある違和感。
光の中にあって異物。
異質な少年は何かをスクうように両の手を差し出していた。
「……。」
名残惜しそうな瞳の先の光。
それを見つめてただ涙をしていた。
そういえば老人はいなくなっていた。
いたのだろう温もりが流れてきて、
それは光だと分かった。
その頃には少年もこちらにやっと気づいた。
手から何もない光を零しながら、
「おはよう」
無理な作り笑いを浮かべて、
「よく眠れた?」
その光を突き出した。
「大丈夫、君は生きてるよ」
光
「鈴木さんはイってしまったけど、」
ああそうか
「忘れていいよ。」
消えない光
「目が覚めたなら君は」
彼は
「夢から覚めたら君は」
私は
「忘れたまま生きていく」
今
「それが僕たちの罰だから」
今際の夢をみる。




