落日
こんなに感情を露わにした御鏡さんは初めて見た。
「これはあの人達の問題だから。
私はそれに出来る、だけの手伝いを、したんです。」
「…」
「……。」
「ごめんなさい。私はこれで。
さようなら」
走っていった。
「大丈夫?」
「先に手を出したのはこっちですよ。」
「…。」
「先輩は分かりました?」
「イマイチ、かな。」
「そうですか。
じゃあ俺に分かる訳もないですね。」
「だって部外者ですし。」
次の日、全校集会が緊急で開かれた。
人が学校の屋上から飛び降りた。
未だ生死不明の状態を彷徨う重体。
数田 二三四 17歳。
その日一部の生徒達を除いて授業は行われた。
俺はその一部だったようで、視聴覚室に呼び出されていた。
進路相談室や校長室では狭かったようだ。
「呼ばれた理由は分かってるな?」
全員が沈黙していた。
「人が1人死んでるんだぞ!!」
黒板を叩きながら声を荒げる。
「まあまあ 先生。」
「いいえ、冗談じゃありませんよ。
遊びじゃすまないんですよ!!
だから、知ってる事があるなら話せ!!!」
再び沈黙。
「何か隠してるのか、お前ら。
最後に会ったのはお前らのはずなんだ!」
三度の沈黙。
「イジメですか?」
御鏡さんが1人だけ首を横に振った。
「担任からはそのような事は無かったと聞いています。
それは本当ですか?」
黙って頷く同クラスの周助、秋悟、望。
「じゃあ何があったって言うんだ!」
どのくらい経っただろうか?
退屈な授業よりも長い永い沈黙。
「では、これが最後の質問です。」
日が落ちきった頃。
「御鏡さん、最後に屋上の施錠を行なったのはあなたですよね?
その時、数田さんは居ましたか?」
「いいえ。」
毅然と答える。
「…」
「…」
「そうですか…」
「長時間、ご苦労様でした。
そして、すみませんでした。
こんな遅くまで拘束してしまって。」
やっと終わった。
そう思っていた。
「外も暗いから、皆さんを送っていきますよ。」
そうしてわざわざ一人一人を別々に送った。
「君は何か知っているかい?」
「…」
「君にしか、屋上の鍵を貸し出してないんだろう?」
「…」
「じゃあ君が何か知ってるはずだ。」
「…
……
鍵を借りたのは僕ではないです。」
「…ふむ。」
「知ってるんですよね。」
「…」
「僕は、本当に、何も、知りません。」
「……」
「あなたは何を知っていますか?」
「。ははは、まいったな、
分かったよ。君は何も知らないんだな。」
「はい。」
「悪いね、尋問みたいな事をしてしまって。」
「いいえ。」
「なら、今日の事は忘れて
「いいえ。
「教えて下さい、悪いと思うなら。」
「…。
ダメだ。」
「教えて下さい」
「…いずれ、時が来れば分かる。
その為に今こうして調べてるんだ。
待っててくれ。
今は言えない。」
「…。」
「これで満足か?」
「いいえ。」
「あー、そうかい。
なら、
自分で調べてみればいい。
俺は教えないけどな。」
言動とは裏腹に名刺を差し出された。
「目的は同じはずだ。
もう大人だろ?
決めるのは君だ。
」
名刺を受け取った。




