の外に
「秋悟」
「いつかやった演劇のセリフ」
「終わりはない…か…」
「ところで、何の償いだ?」
「それを言えないのが償い。だから。」
この俺を相手に演技をしようたって。
口に出さずに飲み込んだ。
「元気そうだな修也。」
「おかげさまで、助かったよ。」
「本当に感謝してほしいぜ。」
「何で分かったんだ?」
「御鏡さんだと。
まるで予知してたようだった。」
「わざわざ引っ張ってきたのか?」
「ああ、陸上部の連中に使ってない時にたまに借りてたのが功を奏したよ。」
「本当に演劇バカなんだな。」
「お前ほど馬鹿じゃないさ。
誰かのためにはれる命を持ってない。」
「…俺も同意見だ。」
「俺は…
俺はそんなんじゃないよ。」
「俺は」
かすかに声が震えてるのが分かった。
「今際の夢は」
きっと泣いている。
「誰かの為じゃない」
それは演技ではなく。
「 … 」
押し殺すようにないてしゃくりあげる修也を置いて、
俺と望は保健室を出た。
タイミングよくみんなの荷物を持ってきてくれてた周助、田淵、谷谷谷谷先輩と合流した。
「鈴木君はどう?」
大げさに首を振った。
「今はひとりにしてやって下さい。」
「そう…」
「上で一体何があったんだよ!?」
みんなの視線が望にあつまる。
「今すぐじゃなくたっていい。
俺が語るよりは本人達から聞いた方が誤解もないでしょ?」
「確かに」
「じゃあ、君が知ってるだけでいいから、
知る限りを今、教えてよ。」
強情なヤツヤ先輩。
「それくらいの報酬はあってもいいんじゃないかな?」
周りを味方につける様に言い回す。
「これは2人に問題で「それは分かったよ。
だから、君が言えるだけでいいから、さ。」
観念する様に望は場所を指定した。
「…部室ってまだ、開いてますか?」
「『今際の夢』
彼が、おそらく彼だけが見る事が出来る夢があります。」
「…」
場所はオカルト天文学部の部室。
4人しかいない部室で望だけが語っていた。
「条件は詳しく分かりませんが、
言葉と状況を合わせて考えれば恐らく
死に際が関係してるはずです。」
「今際の際に見る夢、、」
何か引っかかるような田淵。
「それを見る為に、彼女は飛び降りたのかい?」
「…それは本人にしか分からないですよ。
俺が分かってるのはここまでです。」
「ありがとう。
ついでに一つ聞いていいかな?」
「嫌です。」
何かを察した望。
「何んで君はその『今際の夢』を知っているの?」
さながら探偵のように望を追い詰めるヤツヤ先輩。
「…そ、。お…、…」
「やめなよ、金ちゃん!
そんな事聞かなくたって!金ちゃんならもう分かってるんでしょ?」
「杏くん、でもこれは「うるさい、うるさい!聞きたくない!約束は果たしたんだからそれでいいでしょ!?」
意外にも口籠る望を田淵が庇った。
「行こうぜ!えっと、、望!」
田淵に引っ張られて望はそのまま部室を後にした。
「君も僕が悪趣味だと思うかい?」
「いえ…」
「ありがと、
じゃあ、僕らも帰ろっか。」
部室を施錠して先輩はそのまま鍵を職員室に返しに行った。
俺の方は既に副部長に'もしも"の時の指示を出してあるので、何となく先輩に後について行った。
「おう、ヤツヤか。ご苦労さん。」
「はい。」
先生に鍵を手渡し去ろうとするのを呼び止められた。
「おい、屋上の鍵はどうした?」
「え?」
「御鏡がお前に頼まれたって言ってたが。」
「え…あ〜!
うっかりしてましてました。」
「しっかりしてくれよ。」
「すみません、返してもらって来ます。」
「鍵ならここにありますよ。」
いつの間にか後ろにいた御鏡さん。
「すみません、私もうっかりしてました。」
「まあちゃんと帰って来た訳だから文句は無いが。
んじゃまあ、気をつけて帰れよ。」
「はい。」
「「失礼します。」」
「屋上の鍵を開けたのは御鏡さん?」
「はい、閉めたのも私ですよ。」
「何で僕の名前を勝手に使ったのさ。」
「すみません。そっちの方が早いかと思って。」
「それで、何をしていたの?」
「…」
「俺や秋山くん、みんなを巻き込んで、
それに、危うく人が死んでいたよね?」
「…そこまでは想定してました。
でも、だから死ななかった。
それでいいじゃないですか?」
「わざわざあんな危険を冒す必要はあったの?
僕たちが君の話を信じなかったら?」
「その時は…、死んでましたね。」
「君は!」
秋悟が御鏡の頬を叩いた。
「!?」
「命を何だと思ってる!?」
「…はぁ…」
頬を抑えた御鏡は落胆した。
「死んだまま生きるのと、
生きたまま死んでる。
命を賭してそれを選んだのはあの人達。」
「部外者は黙ってて!」
何かが破裂したような音。
御鏡が全力で秋悟の頬を叩いた。
おれ、いきてるんだよな
おれだけ、また
いきのこった
ゆめをみるために




