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今際の夢  作者: lycoris
今はの夢
107/140

罪か罰か

「落ち着けよ」

「うるせぇ、答えろよ!」

「お前に言ったんじゃない。」

「はぁ?」

自分に言ってるんだ。


一息吸って

「忘れた」

一つ言う

「ふざけてるのか?」

二つ同じ

「忘れた」


一瞬宙体が宙を浮き、やがて床に着く。

殴られた痛みが遅れてやってくる。

「答えろ」

起き上がる前に薫が馬乗りにのしかかる。

三つ、何度でも同じだ。

「忘れた」

殴られる

「思い出せ」

「忘れた」

 、

「嘘をつくな」

「忘れた」

 、

「俺は、“忘れた”」

 、

「いい加減、殺すぞ」

「……。」

「答えろ!このままだと姉さんが死ぬんだぞ?!

何でもいいから、思い出せ!

覚えてる事を全部言え!

じゃないと姉さんが!!」

「忘れ」

 、

「じゃないとお前を、本当にお前を殺す」


外は秋悟が見張ってる。

ここには俺と薫だけ。

本当に死ぬのかも。

呆気なく。

劇的でなく悲劇的でもなく。

約束も守れずに死ぬ。

ああ、約束。

そうだ、約束。

約束を守って死ぬのだからしょうがないよな。

こればっかりは俺にはどうしようも

「先に死ぬのはお姉さんです。」

薫が振り向く先、声の先には御鏡さんがいた。



「どう言う事だ。?」

「今もこうしてる間に、あなたがその人を殺す前にあなたのお姉さんが先に死にます。」

「姉さんに何をした!?!」

相手が女子、しかも下級生である事も忘れ乱暴に掴みかかる薫。

そのおかげで俺はやっと体勢をなおせた。

「お姉さんの意思で、今屋上にいます。」

怯まずに答える御鏡さん。

「なんでそんな所に!?」

今にも殴りかからんとする薫。

「言ってるじゃないですか、死ぬ為に。

そのために。」

「っ!?」

「止めに行くなら早く行かないと」

「ふざけんなよ!!!」

御鏡さんが言い終わる前に薫は駆け出した。


「あなたは行かないんですか?」

「行く理由がない。」

「理由ならありますよ。」

「?」

「あなたは選ばなきゃいけないんです。」

「……」

「分かりませんか?

罪を償うか

罰を受けるか

 、

          」

「俺は…」

「自分が起こした問題の片付け。

まだ終わってませんよね?」


今日が初めて話した御鏡さんは、

狂気を纏っている様に感じた。

きっとこの子は…

おそらくこの娘は…


「罪を償うのなら今すぐ彼を追いかけて、


 罰を受けるのならここに残って、 」


あぁ、どちらを選んでも

結末は

どちらにしても後悔するのなら、

俺は

「俺は…」


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