罪か罰か
「落ち着けよ」
「うるせぇ、答えろよ!」
「お前に言ったんじゃない。」
「はぁ?」
自分に言ってるんだ。
一息吸って
「忘れた」
一つ言う
「ふざけてるのか?」
二つ同じ
「忘れた」
一瞬宙体が宙を浮き、やがて床に着く。
殴られた痛みが遅れてやってくる。
「答えろ」
起き上がる前に薫が馬乗りにのしかかる。
三つ、何度でも同じだ。
「忘れた」
殴られる
「思い出せ」
「忘れた」
、
「嘘をつくな」
「忘れた」
、
「俺は、“忘れた”」
、
「いい加減、殺すぞ」
「……。」
「答えろ!このままだと姉さんが死ぬんだぞ?!
何でもいいから、思い出せ!
覚えてる事を全部言え!
じゃないと姉さんが!!」
「忘れ」
、
「じゃないとお前を、本当にお前を殺す」
外は秋悟が見張ってる。
ここには俺と薫だけ。
本当に死ぬのかも。
呆気なく。
劇的でなく悲劇的でもなく。
約束も守れずに死ぬ。
ああ、約束。
そうだ、約束。
約束を守って死ぬのだからしょうがないよな。
こればっかりは俺にはどうしようも
「先に死ぬのはお姉さんです。」
薫が振り向く先、声の先には御鏡さんがいた。
「どう言う事だ。?」
「今もこうしてる間に、あなたがその人を殺す前にあなたのお姉さんが先に死にます。」
「姉さんに何をした!?!」
相手が女子、しかも下級生である事も忘れ乱暴に掴みかかる薫。
そのおかげで俺はやっと体勢をなおせた。
「お姉さんの意思で、今屋上にいます。」
怯まずに答える御鏡さん。
「なんでそんな所に!?」
今にも殴りかからんとする薫。
「言ってるじゃないですか、死ぬ為に。
そのために。」
「っ!?」
「止めに行くなら早く行かないと」
「ふざけんなよ!!!」
御鏡さんが言い終わる前に薫は駆け出した。
「あなたは行かないんですか?」
「行く理由がない。」
「理由ならありますよ。」
「?」
「あなたは選ばなきゃいけないんです。」
「……」
「分かりませんか?
罪を償うか
、
罰を受けるか
、
」
「俺は…」
「自分が起こした問題の片付け。
まだ終わってませんよね?」
今日が初めて話した御鏡さんは、
狂気を纏っている様に感じた。
きっとこの子は…
おそらくこの娘は…
「罪を償うのなら今すぐ彼を追いかけて、
罰を受けるのならここに残って、 」
あぁ、どちらを選んでも
結末は
どちらにしても後悔するのなら、
俺は
「俺は…」




