願い事を3つ
耳を劈く幼い絶叫
ふと我に帰る
目の前に悠也が居る
血を流している
それを見た悲鳴だったんだろう
後ろには蕨ちゃんが居た
逃げるように立ち去った蕨ちゃんを追うよりも、
ばあちゃんの顔を見に行った。
側で桂さんは祈るようにうなだれていた。
ばあちゃんの呼吸は恐らく止まっていた。
その顔を忘れないだろう。
ばあちゃんの部屋に入ってすぐのタンスの角に足をぶつけた。
「出てこいよ。」
あいつに語りかけた。
「居るんだろ?」
アイツの返事はない。
「願いを叶えろ。」
彼奴は現れない。
「出てきて願いを叶えろよ。」
もう一度小指をぶつける。
「最後の願いを叶えろよ。
残ってる願いを叶えろよ。」
決まったんだ願いが、約束だろ、叶えてくれよ。」
何度も何度も角に小指を蹴りつける。
右足のは折れて血だらけだった。
それでも出てこないのだから今度は左足をぶつけた。
「ずっと居るよ、ここに。
所詮俺はここから動けないんだからな。」
左足の小指の感覚がなくなってきた頃、見えた。やっと。
「やっとお出ましか。」
「居たんだよ、ずっとここに。」
「叶えてくれ。」
「出来ないよ。」
「何でだ?」
「全部叶えたから。
今更叶えられない。」
「約束は3つだろ!?
俺はまだ2つしか!」
「『1つ、現金100万。
2つ、春原 香からの好意。
3つ、叶えられる願いを1つ増やす。』
だったよな。
もう全部叶えた。
約束は果たしてる。」
「は?おかしいだろ!?
それならまだ残ってるだろ?」
「いいや、思い出せ。
俺とお前の約束は
『願いを3つ叶える。』
そうだろう?」
「だけどそれは増えたんじゃ「ああ、でも約束では3つだけだ。」
「だ、…」
言葉続かない。
絶句。
今の状況、俺にはもうどうすることも出来ない。
「俺のせいで…」
最初から無力だった。
最後まで何も出来なかった。
「…」
「なあ、望よ。」
「…」
「約束は、『願いを3つ叶える。』だったよな。」
「…」
「俺はお前の願いを3つ叶えた。」
「 」
「なら、お前は俺の願いを3つ叶えろ。」
「な、に、を、?、、」
「1つ!これまでの俺に関わる事を忘れろ。
2つ!もう二度と俺に頼るな。
3つ!目は、どうしようか…?
あぁ、もっと自分を大事にしろ。」
足は血だらけで畳にも染み込んでいた。
「これで約束ははたされたな。」
「そんなのでいいのか?」
「ああ、それで十分だ。」
「まだ半ばだが、約束ははたされるだろう。
信じてるぜ、望。」
「ああ…」
後にそれが呪いだと分かったが、
今は願いを叶えるしかなった。
修也は笑った。
「なら、続きだ。
願いの続き、約束は果たされたからな。」
「?」
「言ってなかっただけで、今の俺が叶えられる願いは5つだ。
あと2つ、何がいい?
願い事を増やす以外で。」
「…」
願ってもない願い。
何を叶えればいい。
ばあちゃんを助ける?
悠也を助ける?
俺の願いは…
祝、100話突破。
いつもありがとうございます。
シリアスをぶち壊したくはないのですが、
いつもいつもありがとうございます。
本当は50話くらいで完結予定だったのですが、
ここまで続くとは思ってもみませんでした。
今後とも不定期ですが、よろしくお願いします。




