散華と懺悔
胸元に滲む血。
溢れて溢れて赤い
朱い緋
目の前は紅に染まっているのに、
目が覚めると夢の中だった。
目の前は真っ暗。
染まらない黒。
曰く今際の夢の中。
悠也の声がした。
目の前にいるはずなのに、後ろから。
振り返ると光。
眩いばかりの。
目が慣れてくると、隣に悠也が居て、
目の前の壇上には、女性と桂さんに似た人が居た。
どこかの教室、見覚えのない教室。
「こんな所に呼び出して、やっと逝けると思ったのに」
「ごめんなさい。」
不機嫌そうな女性に謝る男性。
「あの2人って?」
「?
…ああ、見覚え無い?」
「なんとなく。」
「なら、黙ってみてれば分かるさ。」
「それで、何の用?」
「…」
「終わった事を蒸し返してもしょうがないでしょ。
私は気にしてないって言ってるじゃない。」
「…」
「桂さん!コレが最後なんですよ。
コレで最期なんですよ!!」
悠也が野次を飛ばす。
「…それでもさっき、
言いかけたじゃないですか!」
「…」
「俺、俺があんな事を」
言葉は遮るように桂の頬を叩く女性。
「それに何の意味があるの!?」
泣いている女性。
「今更、生き返るでもなし!
しょせんあんたの自己満足よ!」
「…」
そのまま泣き崩れる女性。
「お願いだから…もぅ…逝かせてよ…
私の願いを叶えてよ。
たった、これだけの願いを…
願い…」
力なく座り込む。
その姿を見て今更やっと思い出した。
「謝っても許されないのは分かってます!
でも、俺には謝ることしか出来なません!」
「だから、私はあなたを許したの。
償いなんて求めてない。
もう一度言うわ。
_あなたの絶望をわたしに押し付けないで」
「もう忘れてしまったあの人にもう一度会いたい」
「顔も 名前も 思い出せない彼に
ただもう一度
」
「あなたもわたしも、もうじゅうぶんにくるしんだはず。
これだけながいきしても、わすれられないのならなおさら。
ながいきなんてするものじゃないわね。」
そう言って女性はおばあちゃんになって、
おばあちゃんは光になった。
それから教室は用務員室に変わった。
「…お前は、あの人の願いを叶えたかったんだな。」
「ごめんなさい、桂さん。」
「謝るなよ。
返って救われた。
いいや、もともと俺なんかは救えない人間なんだ。」
「順番が逆だったら…」
「あの時違ったら、やり直せたら、
そんなものは『今』になんの関係も無いんだって、
最後に先生は教えてくれたよ。」
「ありがとう、すまない。」
「俺が勝手にやった事ですよ。」
「…」
「それでは、お元気で」
「ああ、お前も達者でな!」
桂さんが居なくなって、目の前が真っ暗になった。
それから悲鳴が鳴った。




