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童話・児童小説風

楠は春に葉を落とす

作者: 霧島まるは

「んじゃな、ババァ。あと5年くらいは、おっぬんじゃねぇぞ」


 ヤールという赤毛の少年は、12歳の時にそんな捨てゼリフと共に森の家を出て行った。


 彼がババァと呼ぶローブを着た老女の横には、ひとつ年上のミシイがいたというのに、彼女にはちらと視線を投げるだけ。


 そのまま背を向けて歩き出してしまったため、ミシイは頭にかっと血が昇ってしまった。一言くらい、別れの言葉を言ってくれてもいいではないか、と。


「あんたなんか、二度と帰って来るな!」


 だから彼女は、つい心にもないことを言ってしまった。


 そんな罵倒に、最後まで彼は振り返ることはなく、次第にぼやけていく視界の果てに、全て消え去ってしまう。


「ヤールの、バーカ! バーカバーカバーカ……バー……」


 もはや、その声は決してヤールには届かないと分かっていながら、彼女は叫び続けた。


 老女に、ぽんと肩を叩かれ、ミシイは自分の顔が涙と鼻水でびしょびしょであることに気づいた。


「お……おじじょぉざまあああああ」


 もう13歳にもなっているというのに、彼女はそんなみっともない顔で老女に抱きついて、ローブへと顔を埋めるのだ。このローブを洗濯するのは、ミシイの仕事だというのに。



 ※



 ミシイは、みなしごになった4歳の時、師匠である魔女カカラに拾われた。


 カカラは、黒いフードつきローブを着た背の高い痩せた魔女だ。魔法でもごまかしようのない年齢のせいで、彼女を拾った頃には既に、杖をついてしか歩けなくなっていた。少し離れたところにある村までは魔法陣で飛べるため歩く必要はないが、日常生活ではいろいろ不便そうだった。


 カカラは、「村魔」と呼ばれている魔女である。魔法使いにはその能力により、国に格付けがされている。


 上から、「国魔」「都魔」「町魔」、そして「村魔」である。


 それぞれ、魔法使いが働くことの出来る場所を表している。彼らはみな魔法の力と深い知識を持っているので、地域の知恵袋として、医者として司祭として、その地のおさと共に地域を支える一本の柱となっていた。


 魔法使いたちは、国に認定されると、自分のつい棲家すみかへと居つく。


 『村魔』に育てられた弟子で村魔になった者は、そのまま後継者として、同じ村を引き継ぐ場合もある。村魔が跡継ぎを残さずに亡くなった場合は、村の長が中央に連絡をしておけば、認定を受けた別の村魔を斡旋してもらえる。


 村の数の方が圧倒的に多いので、村魔は引っ張りだこだった。斡旋を願い出ても、長い間順番待ちをしなければならないこともある。だからこそ、村人は自分の地域の魔法使いを大事にする。


 たとえ、能力的には一番下だと言われていても、魔法使いがいるのといないのとでは大違いだった。畑を病害虫から守り安定して豊作に導くのは、村魔の大事な仕事だった。また簡単な怪我や病気の治療や薬の作成は、魔法使いの得意分野だった。


 そんな魔法使いが、自分のテリトリーとして感知できる領域の広さ──それが、魔法使いの実力分けの基準のひとつだった。村魔は、大体村の範囲程度。そう考えると、国魔の力の恐ろしさは推して知るべし、である。


 村魔であるカカラに、ミシイは身の回りの世話をする子として育てられた。長い間、近くで魔法使いの才能のある子が生まれず、魔女は弟子を得られずに、日々の生活に困っていたのだ。だから、ミシイは拾ってもらった恩返しとして、カカラに心から尽くした。魔女もまた、彼女を可愛がってくれて、学問や薬草の知識を教えてくれた。


 ミシィは、ありきたりの重たい黒髪を持ち、ツリ目と上を向いた鼻の、少しキツイ顔をしていた。ただ、この森の主である樹齢千年の楠の葉と同じ色の瞳だけは、いい色だと師匠であるカカラに褒めてもらえて、彼女も嬉しかった。


 そのおかげもあって、彼女は楠が大好きだった。葉には防虫効果もあり、樟脳しょうのうの材料にするためによく彼女は拾いに行く。


 そんな女二人の生活が、ある日を境に変わった。


 ついに、この村で魔法使いの素質のある子が生まれたのだ。その子が、魔法を発症させたのは、5歳の頃。魔蔦と言われる、緑の蔦のようなものが全身から生え、その身体をがんじがらめにしたのである。


 魔力が肉体を食い破って飛び出し、逆に本体を取り込もうとしていたのだ。この魔蔦の大きさは、魔法の力の大きさの目安になるという。村魔のカカラが、駆けつけた時には、子供は蔦の繭の中に完全に閉じ込められていた。


 魔蔦は、厄介なもののように思えるが、魔法の力で軽く触れるだけで、粉々に砕け散る。だから、どれほど大きな魔蔦であろうとも、村魔ひとりいれば、簡単に解放出来る。もしも村魔さえいない場所で、運悪く発症してしまった場合は、本体が崩壊するまで魔蔦は活動をやめないという。


 その子は、カカラによって魔蔦の全てを払われ、生き延びることが出来た。魔法使いの素質のあるのは明らかで、すぐにカカラに引き取られた。慣習通りである。


 その子の名前は、ヤール。男の子だった。


 彼女よりひとつ下のヤールは、燃えるような赤いクセ毛と赤の混じった黒っぽい目を持っていた。最初の頃は幼いせいもあって鈍臭く、弟分として家の中の仕事を教えるのはミシイの役目だった。


 しかし、その赤毛の男の子はすくすくと成長していった。魔法の面に然り、雑事に然り──身長にしかり。彼女が10歳になる前にヤールに追い抜かれてしまった。


「何だよ、鈍クセェな」


 教えていた仕事のほとんどは、ヤールの方がうまくなってしまい、逆にミシィが彼に使われることもしばしばだった。


 そんな生意気なおとうと弟子でしにも欠点がある。掃除や整頓だけは、非常に苦手だった。放っておくと、周囲をゴミためにしてしまうので、ぶつぶついいながらミシィは彼の周囲の片づけをする羽目になる。


 本人にさせればいいのだが、ヤールが「集中」を始めると、周囲の音はまったく耳に入らないのだ。肩に触った位では、現実に戻ってくることがないほど。魔法の本を読んでいたかと思ったら、謎の文字列を紙や地面に書き殴っている。場合によっては、息をしているかも怪しいほど固まったまま、何時間も思考だけしている時もある。


 年を追うごとに、ヤールの「集中」は長い時間に及ぶようになった。カカラは「あの子は、とても村魔ではおさまらないだろう」と言っていた。


 それがどういう意味か、ミシィはよく分かっていなかった。


 村魔の弟子が村魔になるのは、実はそう難しいことではない。師匠の推薦状があれば、地域の検査官がやってきて簡単な能力検査を通れば、それだけでなれる。


 ヤールが村魔以上の能力を持っていたとしても、村魔になるんじゃないだろうかとミシィは思っていた。いや、信じていたと言っていいだろう。


「おい、ミシィ。おまえ、ババァが死んだらどうすんだ?」


 ミシィは、11歳の時にヤールにそう聞かれた。カカラが死んだ時のことを考えるだけで恐ろしいのだが、それでも魔女はもう十分に老いていて、いつその時が来てもおかしくない。


「お師匠様って言えって言ってるでしょ……そんなの分かんないよ。私は魔法の才能がないから、村魔になれるわけじゃないし。薬売りの行商人にでも、なるしかないのかな」


「はっ、鈍クセェお前が行商人になったって、すぐ盗賊に身包みはがされるくらいがオチだろ? しょうがねぇな、オレが何とかしてやっから、ありがたく思えよ?」


「はぁ? 何でわたしがヤールをありがたがらなきゃいけないの!」


 その時は、そんな風にミシィも彼の言葉を取り合わなかったが、彼の言う「何とかする」とは、ヤールが村魔になることを意味していると思っていたのだ。


 もしものことがあっても、ヤールがいるから何とかなる。


 心のどこかで、ずっとそう信じていたミシィは、ある日やってきた村長によって、それが打ち砕かれたことを知った。ヤールは、都にもっと上の魔法使いになる認定試験を受けに行く気で、カカラにも村長にも伝えていたのである。


 村魔より上の魔法使いになる認定試験を受けるためには、3年間は魔法学院に通わなければならないという。そこに行くための能力があるかどうか、能力確認のために地域の検査官が来るというのである。


 ミシィは、混乱した。ヤールが村魔にならないということは、この村に残らないということだ。この家を出て行くということである。


「ヤールのウソつき!」


「うっせぇな、何の話だよ」


「村魔になるって言ったくせに!」


「ハァ? 言ってねぇよ! 何勝手に人の言葉、捏造してんだよ」


 それからというもの、ミシィはヤールと顔を突き合わせればケンカもしたし、逆に黙り込んで話もしなくなった。


 彼女も必死だったのだ。子供なりに、何とかヤールをここに留めようと、つたないやり方であの手この手を繰り出したが、どれもうまくはいかなかった。


「これなら町魔どころか、都魔までいくかもしれませんよ。この村の栄誉ですな。学院には報告書を送っておきますので、勉学に励んでよい魔法使いになってください」


 ヤールの検査をした検査官の言葉を、彼女は木陰からこっそりと聞いて涙した。嬉しかったのではない。悲しかったのだ。


 これで、完全に彼は行ってしまうことが決まったのだから。


 そして本当に、ヤールは都へ行ってしまった。


 ※


 ヤールの来る前の生活に戻っただけ。


 ミシィは、彼の不在をそう自分に言い聞かせて過ごした。しかし、7年も一緒に暮らしたのだ。彼を忘れることは出来なかったし、もはや彼がいなかった昔のこともよく思い出せなかった。


 そんな悲しい時間も、確実に一日一日過ぎていく。春が来て、夏秋冬と越えても、ヤールからは手紙一通届かなかった。勿論、ミシィも送っていない。魔法学院にいることは分かっているのだから、書こうと思えば書けないことはなかった。少なくとも、師匠のカカラは何度か手紙を送っていたので、それと一緒に封入してもらうことくらい、簡単だったろう。


 けれど、そうしなかった。あんな出て行き方をした弟弟子に、どうしてこちらから手紙を送らなければならないのかと意固地になってしまったのだ。


 ヤールが出て行って、3年たった。ミシィも16歳になり、やっぱり余り身長は伸びなかったが、それでも日々穏やかに暮らしていた。


 そんな生活は、カカラがついに老いに勝てずに倒れたことにより、次第に終焉に向かっていく。何の病気でもないため、ミシィが用意した薬はどれも効果を示すことなく、日々弱っていく師匠をただ必死で看護した。


 心細く、悲しく、彼女は何度もいまここにいないヤールを恨んだ。けれど、もはや手紙を書く余裕はなかった。他の町や村との手紙のやりとりも、村魔の能力のひとつなのだ。その村魔のカカラは、もはや魔法を使うどころの話ではなかった。


 16歳の冬に、ついにカカラは息を引き取った。彼女の師匠が、村人により手厚く葬られる。神妙な顔をしたカラスが、近くの木にとまったままずっと葬儀を見ていて、カァと一声鳴いた。


 葬儀の後、ミシィは村の長に今後のことを語られた。次の村魔が来るまでは、いまの家に住んでいていいと。彼女は薬を作ることが出来、魔法こそ使えないものの、村魔に似た仕事が出来たからだ。カカラに教わった技術が、首をつなげてくれた。


 それから、ミシィは一人暮らしとなった。


 冬の寒い間は、多くの薬草は育たない。それでも、楠の葉は生い茂っている。それらを集めて樟脳を蒸留している間に冬が終わる。


 春になれば忙しい。彼女は、ひっそりと落葉し新しい葉と入れ替わってゆく楠の下を駆け抜けて、毎日薬草集めに奔走する。干し、煎じ、蒸留し、彼女は次々と薬の在庫を作っていく。


 村に薬を売りに行き、食料やお金と交換してもらう。冬物をしまい始める頃には、樟脳の入った防虫剤がよく売れる。冬の間にたくさん作っておいたそれを売って、ミシィはいつもよりは懐があたたかくなっていた。


 ヤールが出て行って、カカラと二人の生活に戻ってそれが当たり前になったように、このままミシィが一人の生活を当たり前にしようとした頃──家の扉が叩かれた。


 ヤール!?


 ミシィは、その予感に心臓が大きく跳ねた。彼が帰ってきたに違いない、と。罵詈雑言をぶつけ、ひどい言葉でなじってやろうと、彼女は勢いよくその扉を開けると。


「やぁ……君がミシィ……さん?」


 二十代くらいの青年が、そこに立っていた。ヤールのように赤い髪でもなく、ヤールのように生意気な顔でもない。静かで穏やかそうな男性だった。


「今日からこの村の村魔になった、オルガだよ。村長が、ここに住むようにって」


 扉の外を、オルガと名乗った男が視線で指す。そこには、村の長が少し離れて立っていた。ミシィに、言葉をかけづらそうにしている姿を見て、彼女は全てを理解した。


 ここを、出て行かなければならない日が、来たということだ。


 女の村魔であったならば、まだ助手としておいてもらうという可能性もあるかと考えていたが、そんな望みも断たれてしまった。


 しかし、オルガという男は、一応こうは言ってくれたのだ。


「僕には決めた相手はいないから、その、もし君にその気があるなら、結婚という形で円満に残ることも考えられるよ」と。村長に頼まれたのか、結婚というものに乾いた思考を持っているのか、それとも同情した挙句の苦肉の策なのかは、ミシィには分からない。


 ただ彼女は、「いいえ」と答えた。


 家の引渡しを明日ということでお願いし、ミシィは荷造りを始める。薬品をより分け、持っていけるだけ背嚢はいのうに詰め込む。とりあえずは、この荷を売りながら村を回って、女性の村魔を探して助手の職を得ようと思ったのだ。それくらいしか、ミシィには考えつけなかった。


 あらかた荷造りが終わり、彼女はさして変わらぬ古い家の中を眺める。ここに三人で住んでいた時が、一番幸せな時期だったと、今なら痛いほど分かる。ヤールが去り、カカラが亡くなり、そしてついにはミシィもここを出て行くこととなった。


 彼女が別れを言う相手は、家だけではない。荷物を置いて立ち上がり、彼女は家の外に出た。


 森へ入り、彼女の目の色と同じ葉を繁らせる楠の前へと行く。


「あなたで樟脳を作るのも、もうおしまいね」


 巨木の固いひび割れた皮に触れ、真下から首が痛いほど見上げる。葉の隙間からチラチラと日差しが入ってくるこの景色が、本当にミシィは好きだった。


 ヤールに言わせれば、「そんなデカブツに抱きついて、何が楽しいんだ」だったようだが。そんな弟弟子の声が頭の中で再生され、彼女は家やこの楠、そしてこの森のあちらこちらにカカラとヤールの記憶が溢れていることを思い知る。


「年下のクセに生意気でさぁ、本当に参ったわ」


 楠にくっついたまま、ミシィはヤールのことを楠にぼやいた。


「魔法が使えるからって偉そうに。お師匠様に手を貸すのは、最後まですっごいヘタクソなままで」


 しわがれて細い枯れ木のような手を、ミシィはいつも支えたものだった。それでもカカラの手は温かく、彼女は好きだった。


 そんなことを思い出していると涙が出そうになって、ミシィは楠から離れた。泣いたところで、思い出したところで、明日からの彼女の生活が楽になるわけではないのだ。


 感傷的な気持ちを振り払い、彼女が楠に背を向けて家に戻ろうとした瞬間、とても強い風が目の前で渦を巻いた。


 埃が舞い上がり、ミシィは強く目を閉じる。


「ぺぺっ……もう、口に入っちゃったじゃない」


 顔についた埃を手で拭って、彼女はようやくにして楠の葉と同じ色の目を開いた。


 そんな彼女の目の前には──先ほどと何ら変わらぬのどかな森の景色が広がっているに過ぎず、何故かミシィは笑ってしまう。


 ただ狐が一匹、遠くを走り去って森へと消えて行った。


 ※


 ミシィは、旅に出た。


 これまでの人生で、一度も旅なんてものはしたことはない。生まれて初めてのそれは、最初の半日でもう十分おなかいっぱいだった。


 街道をひたすら都から離れた方向に歩いているため、村と村の間の距離がとても長い。村人に、女の足では丸一日歩いても到着出来るかどうか分からないと言われたが、どうしても都の方角には行きたくなかった。


 村に住めなくなって出て来たと、ヤールに言いたくなかった。そこは姉弟子の自尊心である。弟弟子を頼りたくなかったし、もし頼って断られたら、きっともうミシィは立ち直れないだろう。


 そんな無様な自分は見たくなかった。重い背嚢が肩に食い込み、足も疲れて痛くなってきたけれども、それでもミシィはヤールから、より離れる道を進もうとしていた。


 寒くない季節で良かったと、いまは心底この初夏という季節に感謝した。しかし、やはり日暮れまでに次の村に辿りつくことが出来ず、ミシィは野宿をすることになる。


 もう足がパンパンで、これ以上とても歩けそうになかった。荷物から固形の樟脳をひとつ取り出し足に塗ると、すぅっとして心地いい。樟脳は熱に非常に強いため、初夏の温かさくらいでは溶けることはない。携帯用の鎮痛・消炎剤としても有能だった。


 野宿も初めてだったため、火を炊くという発想もなく、彼女はただ街道側の林の木に背中を預けて、固いパンをひとかけらかじって夜を越そうとした。


 昼間の暑さが嘘のようにひんやりとした風が吹きぬけ、地面が夜露でしっとりとして冷たくなっていく。冬用の外套を引っ張り出して、前から毛布のように着せ掛けて、ミシィはそれらを追い払おうとした。


 遠くで獣の遠吠えが聞こえ、風が草や木の葉をガサガサと揺らす。心細いなんてものじゃなかった。家という壁で仕切られた屋根のある空間が、どれほどありがたいものなのか、ミシィは全身全霊でいま味わっていた。


 不運なことに曇り空のせいで、月明かりも期待出来ない暗闇の中、ミシィはただ縮こまっていた。大丈夫、大丈夫、こんな生活にも慣れると、自分に言い聞かせる。


 そんな彼女の耳に、幻聴と間違えようのない人の声が聞こえてくる。誰かがこんな暗い中を、たいまつ片手に背後の街道を歩いているのだ。


 一瞬、ミシィは火種を分けてもらおうかと思った。声の主がどこへ行くかは分からないが、いまの彼女の足では同行することは出来ない。しかし、火さえもらえれば少しはこの心細さがなくなるのではないかと考えた。


「今日の実入りはシケてたな。商人一人たぁ」


「まったくだ。しかも、おっさんじゃあ、アッチの相手にもなりゃしねぇ」


 しかし、木陰から出しかけた首を、即座に彼女は引っ込めた。話の内容が、あまりに物騒過ぎたのだ。こうなると、火を炊いていなかったのは、かえって運が良かったということになる。こんな暗闇の林の木陰に、誰かが潜んでいるなんて思いもしないだろうから。


 自分の口から、心臓が飛び出しそうになるのを両手で押さえたまま、ミシィは街道の男たちをやり過ごそうとした。


 そして、やりすごせるはずだった。


 木の枝を踏んで音を立てるなんて、愚かなな真似もしなかったのだ。既に座っているので、踏むのも難しい状況だったが。


 計算違いだったのは、ミシィが視線を前に向けた時、林の奥に、二つの目が爛々と輝いていたことだ。目の高さからして、四足の獣であることは十分にミシィにも理解出来た。森や林の中で怖い獣と言えば、狼や熊である。この場合は、前者のように思えた。


 ヤバイッ!


 前方の狼、後方の不審者。


 突然、ミシィは絶体絶命の危機に追い込まれた。それでもまだ、獣が去って行ってくれるのではないかと必死に期待した。


 だが、その目がのそりと一歩こちらに近づいてくる。もう一歩。臆病な草食動物が、人に近づいてくるはずがない。


 ミシィは、金色の目を見つめたままゆっくりと木を支えに立ち上がった。手にある外套を盾のように前に突き出したまま、身体をじりっと木を迂回するように後方に下がらせた時。


 ついに彼女は木の枝を踏むという、愚かな真似をしてしまった。


「何だ?」


 後方から鋭い声が上がった瞬間、獣は彼女に向かって駆け出す。


 反射的に外套を前へと放り投げ、ミシィは街道へと飛び出していた。幸い、まだどこもかじられてはいなかった。


「何だぁ、おねぇちゃんじゃないか?」


「おおっ、ついてるなオレたち」


 暗がりの中、決して味方にはならない火のあかりが向けられる。彼女の腕は、一人の男にがっちり掴まれてしまった。もう片方の男は、林から飛び出してきた獣を、無造作に剣で追い払う。


 前方の狼は去った。


「離してっ!」


「それは無理な相談だぜ」


 しかし、後方の不審者は見事に残り、ミシィは拘束されてしまったのだった。


「俺らで食った後、売っちまうか?」


「馬鹿、この辺じゃ女は売れないだろ。すぐ足がつく……食って殺すのが、一番後腐れないだろ。こんなガキ、その程度だろ?」


 大きな男たちが、頭の上で恐ろしい会話を交わす。ニヤニヤと笑うその声は、ミシィにぞっと鳥肌を立てさせた。


 食われるのも殺されるのも御免だと、ミシィは必死で暴れ、抵抗した。とにかくこの腕を振りほどければ、闇に乗じて逃げられる可能性があるに違いないと信じたのだ。


「大人しくしろ!」


 しかし、自由に暴れさせてくれるはずがない。狼を追い払った男が、彼女めがけて剣の柄を振り下ろそうとした。その硬そうな柄が、自分の顔にぶつけられる寸前で、ミシィは強く目を閉じた。


 音は、何もしなかった。


 柄が顔をぶつ音も、それこそ空を切る音さえもなくなったのだ。えっと思い、おそるおそる目を開けると、本当に目の前に剣の柄が見えて、心底彼女は驚いた。本当に髪の毛一本分くらいの距離に、それがあるのだから。


 しかし、その剣は完全に動きを止めていた。石のように固まっていたと言っていいだろう。それを持つ男の腕も身体も、ミシイの腕をつかんでいる男も同じように止まっていたのだから。


 そしてその剣の先には──フクロウがとまっていた。金色の目を瞬きもせず、ただじっとミシイを見ている。


 何が起きたのか、彼女が理解するより早く。


「ったくあのババァ、あと5年はおっぬなっつったのに」


 フクロウがそのくちばしを開いて、信じられないことに人の言葉を紡いだ。


 しかも、その言葉はイヤというほど聞き覚えのあるものだった。ただし、声は違う。フクロウのくちばしから出たのは、男の声。甲高い少年の声ではない。


「おーい、ミシイ。お前には石の魔法はかけてないから動けるだろ? いつまでも突っ立ってねぇで離れろよ」


 しかし、フクロウは当たり前のように彼女の名を呼ぶ。慌てて固まったままの男から離れて、ミシイはきちんとフクロウの方へと顔を向けなおした。


「もしかして……ヤール?」


 疑いながら恐る恐る、彼女は禁断のその名を口にした。声は違う。姿なんて、人間でさえない。しかし、それ以外の誰も思いつかなかったのだ。


「おっせ、相変わらず鈍くせぇな」


 フクロウが、まるで肩をそびやかすようにその翼を軽く上下させる。


「意識だけ飛ばすのは、わりと簡単に出来るんだけどよ……おれの生身をそこまで飛ばすと帰りがまた面倒だから、そっちに門を作る。くぐれ」


 剣の上に乗っているフクロウが、一回りむくりと大きくなった。何が起きているのか、ただ見つめるしか出来ないミシイの前で、むくむくとフクロウがふくらんでいく。


 剣の上から飛び降りたフクロウが、その足を地面に下ろした時には、ゆうに人間よりも大きくなっていた。爛々と光る金色の目が、巨大化したことにより更に迫力を増す。


「ミシイ……こいつの口に入れ」


 くぱあっと開かれたくちばしの中に見えるのは、ただの闇。洞穴にようなその開いたくちばしが近づいて来るのを恐れて、ミシイは後ずさった。


「何で逃げる、俺を信じろ」


 険しい表情のフクロウに、彼女はぶるぶると首を横に振った。


「裏切って都に行ったヤールなんて、どうして信じられるの!?」


 恐怖から逃れたかと思ったらワケの分からない事態に発展し、またしても恐怖が目の前にある。こんなすごい技をヤールが使えるかどうかが問題ではない。大きな生き物への純粋な怖さと、弟弟子を許しきれていない複雑な感情が、ミシイの判断を狂わせる。


「まーだ言ってんのか、ミシイ!」


 イラっとした声をフクロウが発するが、彼女は後ずさり続ける。


「ったく、面倒くせぇんだぞ!」


 舌打ちの後の男の声が、後半ぐにゃりと歪んだ。


 大きく開かれたフクロウの口。その暗がりの中から──赤毛の頭がにゅっと出てきた。細い管から滑り出るように、赤毛の頭と黒い布が空中で一回転して着地する。


 クセだらけの赤毛を大きく後方に振りながら、男は立ち上がる。闇夜にまぎれるような真っ黒なローブのせいで、固まった男たちの火があるにも関わらず、まるで首から上だけがそこにあるようにミシイには見えた。


 直後、彼を吐き出したフクロウは元の大きさに一瞬で縮むと、バサバサと飛び去って行く。


「よぉ、ミシイ」


 後ろに追いやったはずの長めの前髪がひと房、片目に落ちてくる。赤みがかった黒の目は、ミシイの目の前にいる男が何者か、いやというほど思い知らせてくれた。


「……何しに来たの?」


 3年の間に、憎らしいことにまたもヤールは背が伸びている。


「何って……危なかっただろ?」


 フクロウがしたように、彼は肩をそびやかす。


 救いの手を差し伸べに来たというのか、とミシイは呆れて笑いそうになってしまった。本当にヤールに救いの手を差し伸べて欲しかったのは、この時じゃなかったのだ。


「……お師匠様は死んだわ」


 この時だ。カカラとの記憶を共有出来る、たったひとりの少年に、同じ場所にいて欲しかった。一緒に嘆き悲しみたかった。


 そんなミシイへの返事は、「知ってる」という残酷なもの。


「知ってる!? 知ってるですって!? 知ってて来なかったの?」


 瞬間的に跳ね上がった頭の熱を、そのまま彼女は沸騰した湯気のように口から吐き出した。


「ああそうさ。俺だってやらなきゃいけないことがあった。ババァは死ぬのが早すぎた。俺の計画は台無しになった!」


「お師匠様って言えって言ったでしょ! そしてお師匠様を悪く言うな! この恩知らず!」


「恩なら山ほど知ってるさ! けど俺は急いでやらなきゃいけなかった! それが今日出来た。ババァの葬式に行く時間も削って出来たのが今日だ!」


 一瞬で間合いを詰めてきたヤールが、その真っ黒のローブの中から両手を伸ばす。そして低い位置にあるミシイの両肩を痛いくらいにつかんだ。


 離してよと、暴れようとした彼女より先に。


 ヤールが。


 こう言った。


「今日、俺は……国魔になった」


 ミシイは。


 彼を睨みつけて。


 こう言った。


「馬鹿! そんなことより先に、一緒に悲しんでよ! お師匠様が死んだのよ! 私たちのお師匠様が! あなたとしか悲しめないのよ、お師匠様のことは!」


 ヤールは、目を伏せて寂しげにこう答えた。


「一緒に悲しんださ……喪服と同じ色の奴が、葬式にいただろ?」


 ミシイの記憶に甦ったのは── 一羽のカラスだった。


 ※


「国魔じゃなきゃ駄目だった。だから、死にもの狂いで勉強した。ズルも使った。一番てっとり早く国全体のことを知るために、動物たちを操って情報を得られるようにした……禁じ手だったけどな」


「何でよ、都魔だって十分じゃない」


 夜の道を、二人で歩いた。男たちから奪ったたいまつを片手に、ミシイの重い背嚢をヤールが背負う。最初にそれを背負った時、「何が入ってる? 石でも詰めたか?」と彼に嫌味を言われた。浮世離れした黒いローブ姿には、似合わない俗っぽい背嚢の背中。


 それを見ながら、ミシイはまるでカカラの元にいた時間に戻っていく気がした。図体が大きくなってもすごい魔法使いになっていても、ヤールはヤールのままだった。


「駄目だ、都魔は都から出られない。村魔が、勝手にその村から出られないのと一緒だ。けど、国魔は違う。国魔は、国のどこに行ってもいい。召集をかけられた時に、すぐに都へ飛べるからだ」


「と言いながら、何で私たちは歩いてるの?」


 偉そうに語るヤールに、ずばっと彼女は突っ込んだ。


「だから禁じ手を使って国魔になったって言っただろ? 俺のいまの実力は、都魔と国魔の間くらいだ。けど、あと1年半もあれば国魔の実力くらい手に入れてた」


「だからヤールは、いま都に帰れないってわけ?」


「帰れる。ただし、少し時間がかかる」


 彼は、遠距離魔法を飛ばすズルとして、動物たちを中継に使っているという。人間の魔法に対し非常に感応力の高い動物を魔法の届く範囲に置き、そこから更に離れた次の動物へとつなぐ。そんな中継が必要だったため、彼はミシイを見つけるのに時間がかかった。そしてついに、1頭2羽の動物を経て彼女の元へとたどり着き、中継して魔法の力を送った。


 この魔法で大事なのは、ヤールの位置。彼の位置が固定されていて動物を使う分には、その動物はある程度の範囲を自由に移動出来る。しかし、動物を操作している間、ヤール自身が動くことは出来ない。


 ミシイがあのままフクロウの口に食われていたら、すんなり都のヤールのところへと飛ばされた。彼の位置は固定されたままだからだ。


 しかし、彼女がそれを拒んだため、ヤールが飛んでこなければならなかった。彼の位置が変わったことにより、せっかく出来ていた中継点はすべて解除され、帰り道を失ったというわけだ。


 いまこうして歩いているのは、いつまでもあの男たちの前で話し続けたくなかったのと、落ち着いて動物の中継点を作る準備をする必要があるため。一度中継動物を操作し始めたら、彼はその場から動けない。だから彼は、「少し時間がかかる」と言ったのだ。


 都魔の実力があるなら、何回かに分けて飛べばいいじゃないというミシイの突っ込みに、ヤールは顔を顰めた。


「ババァだって村への移動には魔法陣使ってただろ? あれがあればいくらでも簡単に飛べる。俺は、魔法陣の代わりに動物を使ってる。確かに3回動物を経由すれば飛べるさ。けど、飛ぶ度に次の動物の中継点作りに時間がかかるんだ。また自分の位置を定めて、次の動物を目標に操作して……効率が悪い。そんなことをするより、最初の定点から一気に道を作ってからやった方が早いし無駄な魔力消費がない」


 猛烈な速度で言葉を回すヤール。魔法の概念はミシイにはよく分からないが、彼がこの三年間、物凄い勉強をしてその能力を手に入れたのだけは分かった。


 そろそろいいかと足を止めた彼が、その場に立ち尽くして動かなくなった。おそらく中継の動物を作り始めたのだろう。まずは、彼の側に一頭の山犬が現れて座った。


「そういえば、国を自由に動きまわれるために国魔になったって言ったわね。何で? わざわざズルまでして」


 手持ち無沙汰だったのと、解けていない疑問があったため、ミシイは山犬の前に立ったままの彼に向かって問いかける。


「……」


 しかし、ヤールはそれには答えなかった。動物の操作で忙しくて、ミシイの話には付き合えないのかと思った。


 一分ほど待った後、「行くぞ」とヤールが言った。目の前の山犬がむくむくと大きくなり、その牙を並べた口を大きく開く。嘘でしょと、ミシイは顔を顰めた。本当に食われるわけじゃないと分かっていても、そのぽっかりとあいた真っ黒い世界は、進んで飛び込みたい場所ではない。


「俺が動くと、俺の位置が変わる。ミシイ、先に行け」


 さっきまでの説明で、その順番しか駄目なことはよく分かったが、ミシイは躊躇した。とりあえず、山犬とヤールの間に立ちはするが、自分でも分かるほど腰が引けていた。


「さっきの話」


 そんな彼女の背中で、ヤールがぼそりと言葉をこぼした。


「あー……ミシイは、これから行商人になるんだろ? だからさ。国中どこにでも行くような奴を助けるには……国魔になるしかねぇじゃねぇか」


 えっ、と。


 背中から聞こえた声に、彼女が驚いて振り返ろうとした時──山犬の大きな口が、容赦なく彼女にばくりと噛み付いたのだった。


 次の瞬間。


 ずるりと彼女は、別の空間に転げ落ちていた。燭台の火が燃える、小さな部屋の真ん中に、巨大なネズミがいた。ミシイはたったいま、そのネズミの口から吐き出されたのだ。


 うえぇと思いつつ周囲を見回すと。


 ミシイは思わず笑い出した。一目でここが、ヤールの個室だと分かったせいである。散乱した本と紙。寝巻きに服。汚い汚い、ヤールの部屋。背や声は変わっても、3年前と変わらない彼の悪癖。


 ミシイに続いてネズミの口からずるっと吐き出された男は、フクロウの口から出てきた時のように華麗に一回転しようとして、背嚢の重さを計算に入れていなかったのか背中から床へと落ちた。蝋燭の明かりに舞い上がる埃。


 元の大きさになって逃げ去るネズミを目で追うこともせず、散らかし放題の駄目な弟弟子に向かって、ミシイは上から見下ろしながらこう言った。


「よくも私を、こんな汚い部屋に連れてきたわね」


 ニヤっと笑った彼女に、ヤールは転がったまま額を全開にしてこう言った。


「ようこそ、国魔様の部屋へ」



 ※



 彼女は町外れの大きな楠の木のある森の近くに、小さな家を借りて暮らしながら、薬品を作っては行商に出る生活を始めた。


 村魔のいない村の情報を手に入れては、薬を背負って渡り歩く。足も随分強くなり、長い距離を歩くことに泣き言も言わなくなった。


「よぉ、ねぇちゃん」と、たまに悪い男たちに囲まれる時もある。


 でも、心配はいらない。


「日暮れ前にちゃんとどっかの町にたどり着けよ! 俺が見てなかったらどうすんだ!」


 と、クマだったりオオカミだったり、時にはヘビが生意気な声で彼女を助けてくれるからだ。


「国魔様だもの。見てるわよね?」と笑うと、チッと舌打ちをして動物は去っていく。たまに、本人が飛んでくることがあって、そうなれば毎度おなじみ口論が始まる。


 そんな生活をミシイがするようになって、二年がたった頃。


「よぉ、ねぇちゃん」と毎度おなじみの声から始まる悪党たちの登場に、ミシイが今日は何の動物が現れるかとキョロキョロしていたら。


 目の前に。


 突如として黒いローブが現れた。その上に乗っかっているのは、くしゃくしゃの赤毛。動物ではなく、本人がいきなり登場したのだ。


「ええっ、ちょ、ちょっとヤール! どういうこと!?」


「そういうこと。直接魔法陣から飛んできた」


 振り返りながらヤールが笑う。「もう、ズルはなしだぜ」と偉そうな顔をする魔法使いは、悪党どもに石の魔法をかけた後、ミシイに向かってこう言った。褒めろ称えろと言わんばかりの彼の様子にため息をつきながらも、ミシイはとりあえず「おめでと」だけは言っておいた。


 そんな男が。


「これで本当に、好きな場所に住めるようになったんだけど、ミシイの家、部屋空いてる?」


 こんなことをおどけた口調で言い出す。


「ひとつ空いてるけど……散らかす人はお断りよ」


 ミシイもまた、口ではそう言いながらも心の中でわくわくしていた。お師匠様はもういないけれども、弟弟子と一緒に暮らすという、最初の理想が叶う姿がついそこまできていたからだ。


「そこんとこはまあ、多目に見ろよ」


 ヤールもまた、嬉しさがこみ上げるようなニヤニヤ笑いで、自分の悪癖を全然改善する気がないことを告げる。



 そして彼らは。


 姉弟のようにずっと一緒に暮らしましたとさ──というわけにはいかず、ケンカをしたり仲直りしながら、少しずつ関係の色を変えていくこととなる。楠が、春に葉を落とす時に、赤く色づくものがあるように。


 しかし、彼らが一生同じ家で暮らすことになったことだけは、間違いなかった。




『終』



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― 新着の感想 ―
[一言] 楽しく読ませていただきました。 魔法の世界観が独特で、でも童話風の雰囲気もあり、恋愛もありで、自分の好みにどストライクでした。 機会があれば、また別の二人のお話を読んでみたいです。 楽しい時…
[一言] 未熟同士のケンカップルに幸あれ。
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