親友(&嫁)との出会い.5
「ん?なんかいったか?」
「いえ、なんでも」
「そうか」
口許が少し緩んでいたようだ。
思ったことを口に出してしまった。
そう思いながら、再び《錬金術》の【合成】を使う。
すでに、手元に〔帰魂の欠片〕は四つ揃っている。
これを使えば、トノクラ達は帰すことが出来るだろう。
「そういえば、トノクラさん。
防具はどうしました?」
《空間把握》の中。
ピクリと後ろで反応があった。
それを見て、少し笑ってしまう。
なんだか、意地悪をしているような気分だ。
「防具は、あの二人に預けてる。
ついさっき落ちてきた二人だが、防具の整備ができるらしいから、してもらってるんだよ。
武器の手入れは出来るんだが、防具はあんまりできなくてよ」
まあ、防具の整備はそれこそ職人でなければ完全にできるものではない。
私は、《道具職人》を持っていたから少しは出来たが、それでも劣化するのを少し遅くする程度にしか整備は出来なかった。
「そうなんですか。
なら、一度見てきては?
もしかしたら終わっているかもしれませんし」
後ろの反応が慌ただしくなった。
焦っているのがよくわかる。
気分ではなくて、ホントにしているな。
意地悪。
「んー、それもそうだな。
あんたの考えとやらも成功してるみたいだし、此処に居てもすることは無いからな」
「付け加えると、ここはステージの中ですからね。
いつまでも無防備でいてもらっては、依頼を受けている私が困ります」
「違いねぇ」
そういって、トノクラが陸と大空のを見て、再び反応を伺うと、此方に歩いてきている。
どうやら、修理がギリギリで終わったらしい。
「トノクラさん。
修理が終わりましたよ」
「あんまり、設備がしっかりある訳じゃないから、所詮付け焼き刃な整備だ。
無茶すると、また壊れる寸前になるから、気を付けてくれ」
明らかに此方を意識しているが、それを悟られないようにしている様が、少し面白い。
まるで、恋愛経験の無い小学生を見ている大人のような気分だ。
「おう、すまねぇな」
そういって、受け取った防具を装備していくトノクラ。
だが、私の目は、その横でジリジリと此方によってくる二人を見る。
「「!」」
固まった。
達磨さん転んだみたいに固まった。
そして、視線を再び手元に戻す。
再びジリジリと此方によってくる二人。
本当に達磨さん転んだみたいだ。
あれ、地方によっては呼び方が違うらしいですよ。
まあ、そんなことをしている間に〔悔恨の欠片〕が底をついた。
出来上がった〔帰魂の欠片〕は、さっきより一つ増えた五つ。
こんなものだろう。
「トノクラさん」
「ん?」
「どうぞ」
此方を向いたトノクラに、〔帰魂の欠片〕を放る。
慌てて掴んだトノクラを確認した私は、タズマ達三人にもそれぞれ放る。
全員きちんと受け取った。
「〔帰魂の欠片〕?
なんだこれ?」
「使用者一人を一度だけ、[始まりの町]に移動させるアイテムです。
それを使って、貴方達は先に戻って下さい」
「!?」
摘まむようにして持っていた〔帰魂の欠片〕を慌てて確りと掴むトノクラ。
そして、僅かな不安と大きな期待を含んだ顔で、ゆっくりこちらへ顔を向けた。
「本当に帰れるんだな!?」
「不安になるのは、まあ、わかりますけど」
確かに、いきなり渡された物を信用するのは難しい。
それは普通の事で、それを疑うことを小心者と罵るのは間違っている。
だが、
「僕は、助けてくれた人の事を信じます」
「まあ、タズマを助けてくれた人だしね。
信じるわ」
「子供だけを先にいかせるのは、大人としてどうかと思いますしね」
他の三人が我先にと使った現状を見ると、疑った者が小心者に見えるのもまた、普通の事だ。
「置いてかれましたね。
ああ、ギルドには顔を出しておいてください。
四人一緒に、お願いしますね」
「あ、ああ。世話になったな」
少し呆然としていたトノクラが頭を下げる。
それを見て、私は小さく頷いて、それからもう一度口を開く。
「他の三人に、助けてもらったら御礼をするのが正しいと、いっておいてくださいね」
「おう。そうだよな!」
最後に、そう言ったトノクラもアイテムを使い、消えていく。
それを見送ってから、改めて背後の二人に顔を向ける。
「フルー、ノウン。
もういいですよ」
固まっていた陸と大空の後ろから、黒い狐と紫の針鼠が現れる。
そして、陸と大空の足元から何が砕けた音がした。
スキル
ロープマイスターLv50 暗器Lv29 雷魔法Lv65 風魔法Lv65 空間認識Lv44 テイマーLv48 身体強化Lv29 看破Lv39 錬金術Lv8 装備制限解除(数〈Lv変化なし〉
控え
酒職人Lv3 付加職人Lv3 縄職人Lv6 道具職人Lv17 採掘Lv5 大声Lv32 踏技Lv6




