西の砂漠.5
「助けて下さってありがとうございます」
咳き込みも止まり、【エアヒール】でHPを半分ほど回復させた少年、タズマが頭を下げる。
見た目よりも、しっかりとしているようだ。
「此方も依頼ですから、気にしないで下さい。
タズマさん、で合ってますね?」
「はい。
大丈夫です。
それで、依頼って何ですか?」
「捜索依頼ですよ。
貴方の他に、三人が捜索対象になっているものの、ですけどね」
そういったあと、分かりやすく、簡単に説明する。
それを聞いて、納得したようにタズマが頷いた。
「その三人の捜索対象は、僕と一緒に行動していますから、安心してください」
「おや、それは吉報ですねぇ」
「ありがとうございます。
それで、居場所なんですけど、此処から少し歩かないといけない所で」
そういって、自らの足を見るタズマ。
見ると、少なからず火傷をおっていた。
あの鮟鱇の口の中に、酸性の胃液でも溜まっていたのだろう。
僅かながら、そのせいで私もHPが減っている。
と、そんな事ではなくて、彼が心配しているのは、今の自分の足で普通に行動ができるのか、ですかね。
まあ、別に
「構いませんよ。
道案内して頂けるなら、私が貴方を運びますから」
「すみません」
再び謝りながら、タズマは頭を下げた。
自分の現状をきちんと把握している。
それは、生き残るにはとても大切なことだ。
そして同時に、意固地にならず、礼儀を払う。
何処かの夫婦も、こんな対応をとってくれたら、こんな時でも一緒に笑っていられただろうか。
「どうかしました?」
「いえ、なんでも」
感傷に浸るとは、弱々しい事だ。
過去とは、振り返らずに覚えていくものであるというのに。
「それでは、行きましょうか。
フルー、ノウン。
警戒を頼みますよ」
「コン!」
「チュウ!」
「はい。
方向は、あっちです」
私は、タズマを背負い、指示された方向へ走り出した。
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「あ、見えました!」
二十分ほどだろうか。
タズマの指示に従って、走っていった先で、タズマが声をあげた。
確かに、何者かが居るのは分かる。
分かるが、それ以上に、その背後にあるものに私の意識は向いていた。
「見えましたって、どうみてもあれは」
「はい。
ボスの扉です」
「ですよねぇ」
厳かで重厚感溢れる巨大な門。
間違いなく、ボスの扉だ。
「地下にあったんですか。
それでは、見付からない訳ですねぇ。
にしても、何故、ボスの扉の前で休んでいるのですか?」
普通に考えれば、このステージで一番強いモンスターの直ぐ側で休んでいるのだ。
私が疑問に思うのも不思議ではない。
「ボスの扉の前は、あまりモンスターも近付いてこないのです。
それで、偶然見つけて安息の場所として活用させてもらってます」
「なるほど」
いっている間に、かなり扉に近づいた。
同時に、休憩している者達にも近付く。
私は、そのなかに見知った顔を見つけた。
見つけてしまった。
「陸、空」
「えっ?」
「いえ、何でもありませんよ」
とりあえず、顔を隠すように外套のフードを深く被る。
一応此方は追われている身で、相手は追っている身だ。
幸い、二人とも誰かの防具を修復中らしく、忙しそうにしている。
今のうちに、いろいろと済ませておこう。
「《空間把握》《看破》」
陸と空に私達を除いて、この場に居るのは三人。
その三人は、確かに捜索対象のようだ。
「皆さーん!
ただいま戻りましたよー!」
背後からタズマが大声を出した。
同時に、陸と空とその他三人が一斉に此方を向く。
そして、陸と空を抜いた三人が、かなり損傷したタズマに驚き、此方へ走ってくる。
陸と空の二人は、装備の修復を優先するようだ。
正直ありがたい。
タズマが大声を出して此方を向いたときは、心臓が止まるかと思った。
「タズマ!大丈夫!?」
「なんとかね。
この人に助けてもらって無かったら、今頃どうなってたか」
「ええ!?そうなの!?
タズマを救ってくれてありがとうございます!」
背中のタズマと会話しながら、頭を下げてくる少女。
だが、些か声がうるさい。
「カザリ!あまり大声を出すな!
モンスター共が寄ってくる!」
「あう」
案の定、注意されてしまった。
至極もっともな事を言われてしまい、少女、カザリも黙るしかない。
カザリを怒った人物は、此方を向いてその手を伸ばしてタズマの頭を撫でる。
どうやら、此処でのリーダーは、この男のようだ。
「タズマ、無事で何よりだ。
アンタもタズマを救ってくれて感謝する」
「依頼ですから」
正面から感謝の気持ちを伝えられて、少しぶっきらぼうに答えてしまった。
「依頼?」
「捜索依頼だって。
僕とカザリ、ミサリさんとトノクラさんのね」
それを聞いて、納得したように頷く男、トノクラ。
「そうか。
なら、依頼はほぼ達成されたことになるな。
問題は、どうやって此処にいる面々を地上につれていくかだが」
そういって、トノクラは上を向く。
かなり高いところに、僅かに侵入する光が見える。
それを見て、悲しそうな顔で此方を見た。
「アンタもわかると思うが、現状その方法が無いんだ」
一種の諦めに近い絶望、といってもいい顔をしたトノクラに、私は気安く言った。
「そちらについては、既に考え付いていますよ。
少々、面倒ではありますがね」
「なんだと!」
「トノクラ、うるさい!」
「うぐ」
仕返しとばかりにされた、先程おこられたカザリの指摘にトノクラが黙る。
なかなかの鋭さだった。
「その前に、一度タズマを診ましょう。
行動は、それからです」
今まで見ていた最後の一人、ミサリが私の背からゆっくりとタズマを下ろしながら、そう言った。
スキル
ロープマイスターLv50 暗器Lv29 踏技Lv6 雷魔法Lv65 風魔法Lv65 空間認識Lv44 テイマーLv48 身体強化Lv29 看破Lv39 装備制限解除(数〈Lv変化なし〉
控え
酒職人Lv3 付加職人Lv3 縄職人Lv6 道具職人Lv17 採掘Lv5 大声Lv32




