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VRMMOで拘束使い  作者: 因幡の灰兎
肆章 武器と生産と毒蠍
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西の砂漠.5

「助けて下さってありがとうございます」


咳き込みも止まり、【エアヒール】でHPを半分ほど回復させた少年、タズマが頭を下げる。

見た目よりも、しっかりとしているようだ。


「此方も依頼ですから、気にしないで下さい。

タズマさん、で合ってますね?」


「はい。

大丈夫です。

それで、依頼って何ですか?」


「捜索依頼ですよ。

貴方の他に、三人が捜索対象になっているものの、ですけどね」


そういったあと、分かりやすく、簡単に説明する。

それを聞いて、納得したようにタズマが頷いた。


「その三人の捜索対象は、僕と一緒に行動していますから、安心してください」


「おや、それは吉報ですねぇ」


「ありがとうございます。

それで、居場所なんですけど、此処から少し歩かないといけない所で」


そういって、自らの足を見るタズマ。

見ると、少なからず火傷をおっていた。

あの鮟鱇の口の中に、酸性の胃液でも溜まっていたのだろう。

僅かながら、そのせいで私もHPが減っている。


と、そんな事ではなくて、彼が心配しているのは、今の自分の足で普通に行動ができるのか、ですかね。

まあ、別に


「構いませんよ。

道案内して頂けるなら、私が貴方を運びますから」


「すみません」


再び謝りながら、タズマは頭を下げた。

自分の現状をきちんと把握している。

それは、生き残るにはとても大切なことだ。

そして同時に、意固地にならず、礼儀を払う。


何処かの夫婦も、こんな対応をとってくれたら、こんな時でも一緒に笑っていられただろうか。


「どうかしました?」


「いえ、なんでも」


感傷に浸るとは、弱々しい事だ。

過去とは、振り返らずに覚えていくものであるというのに。


「それでは、行きましょうか。

フルー、ノウン。

警戒を頼みますよ」


「コン!」


「チュウ!」


「はい。

方向は、あっちです」


私は、タズマを背負い、指示された方向へ走り出した。


───────────────────────────


「あ、見えました!」


二十分ほどだろうか。

タズマの指示に従って、走っていった先で、タズマが声をあげた。


確かに、何者かが居るのは分かる。

分かるが、それ以上に、その背後にあるものに私の意識は向いていた。


「見えましたって、どうみてもあれは」


「はい。

ボスの扉です」


「ですよねぇ」


厳かで重厚感溢れる巨大な門。

間違いなく、ボスの扉だ。


「地下にあったんですか。

それでは、見付からない訳ですねぇ。

にしても、何故、ボスの扉の前で休んでいるのですか?」


普通に考えれば、このステージで一番強いモンスターの直ぐ側で休んでいるのだ。

私が疑問に思うのも不思議ではない。


「ボスの扉の前は、あまりモンスターも近付いてこないのです。

それで、偶然見つけて安息の場所として活用させてもらってます」


「なるほど」


いっている間に、かなり扉に近づいた。

同時に、休憩している者達にも近付く。


私は、そのなかに見知った顔を見つけた。

見つけてしまった。


「陸、空」


「えっ?」


「いえ、何でもありませんよ」


とりあえず、顔を隠すように外套のフードを深く被る。

一応此方は追われている身で、相手は追っている身だ。


幸い、二人とも誰かの防具を修復中らしく、忙しそうにしている。

今のうちに、いろいろと済ませておこう。


「《空間把握》《看破》」


陸と空に私達を除いて、この場に居るのは三人。

その三人は、確かに捜索対象のようだ。


「皆さーん!

ただいま戻りましたよー!」


背後からタズマが大声を出した。

同時に、陸と空とその他三人が一斉に此方を向く。

そして、陸と空を抜いた三人が、かなり損傷したタズマに驚き、此方へ走ってくる。

陸と空の二人は、装備の修復を優先するようだ。


正直ありがたい。

タズマが大声を出して此方を向いたときは、心臓が止まるかと思った。


「タズマ!大丈夫!?」


「なんとかね。

この人に助けてもらって無かったら、今頃どうなってたか」


「ええ!?そうなの!?

タズマを救ってくれてありがとうございます!」


背中のタズマと会話しながら、頭を下げてくる少女。

だが、些か声がうるさい。


「カザリ!あまり大声を出すな!

モンスター共が寄ってくる!」


「あう」


案の定、注意されてしまった。

至極もっともな事を言われてしまい、少女、カザリも黙るしかない。

カザリを怒った人物は、此方を向いてその手を伸ばしてタズマの頭を撫でる。

どうやら、此処でのリーダーは、この男のようだ。


「タズマ、無事で何よりだ。

アンタもタズマを救ってくれて感謝する」


「依頼ですから」


正面から感謝の気持ちを伝えられて、少しぶっきらぼうに答えてしまった。


「依頼?」


「捜索依頼だって。

僕とカザリ、ミサリさんとトノクラさんのね」


それを聞いて、納得したように頷く男、トノクラ。


「そうか。

なら、依頼はほぼ達成されたことになるな。

問題は、どうやって此処にいる面々を地上につれていくかだが」


そういって、トノクラは上を向く。

かなり高いところに、僅かに侵入する光が見える。

それを見て、悲しそうな顔で此方を見た。


「アンタもわかると思うが、現状その方法が無いんだ」


一種の諦めに近い絶望、といってもいい顔をしたトノクラに、私は気安く言った。


「そちらについては、既に考え付いていますよ。

少々、面倒ではありますがね」


「なんだと!」


「トノクラ、うるさい!」


「うぐ」


仕返しとばかりにされた、先程おこられたカザリの指摘にトノクラが黙る。

なかなかの鋭さだった。


「その前に、一度タズマを診ましょう。

行動は、それからです」


今まで見ていた最後の一人、ミサリが私の背からゆっくりとタズマを下ろしながら、そう言った。

スキル

ロープマイスターLv50 暗器Lv29 踏技Lv6 雷魔法Lv65 風魔法Lv65 空間認識Lv44 テイマーLv48 身体強化Lv29 看破Lv39 装備制限解除(数〈Lv変化なし〉


控え

酒職人Lv3 付加職人Lv3 縄職人Lv6 道具職人Lv17 採掘Lv5 大声Lv32

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