飛び級依頼.4
「【猪月】!」
二本の木刀の先を合わせたフタハが、突っ込んでくる。
大袈裟なエフェクトからすると、かなりの突貫力がありそうだ。
なら、此方にたどり着く前に勢いを削いでおこう。
「【風刃」【風刃】【風刃】」
三つの【風刃】が【猪月】に向かう。
そして、予想通りに弾かれた。
だが、十分に勢いは削いだ。
これなら驚異になりはしない。
「【馬月】!」
「ッ!?【空絶】!」
目の前で【猪月】が急に勢いを取り戻した。
恐らく、今のツールで勢いを取り戻したのだろう。
咄嗟に【空絶】を張るが、一気にヒビが入る。
これは、かわす前に破られるな。
「なら、肉を切らせて骨を断つとしましょうかねぇ!
【閃雷缶】!」
頭ほどの球体が、私とフタハの間に生まれた。
中で弾ける雷がきれいだ、等と思う暇もなく、フタハの木刀が球の表面を貫いた。
内側の雷が膨張する。
「《雷魔法》!?」
フタハの驚きが聞こえた瞬間、爆音と雷鳴が鳴り響く。
視界が一瞬真っ白になり、平衡感覚まで可笑しくなる有り様だ。
そして、そんなときにこそ《空間把握》は真価を発揮する。
「【雷放電】!」
すぐそばにいたフタハに片手が触れる。
黄色の雷を発している手に触れた時、フタハのHPが一気に四割を切る。
もう一押しいるのは確実だが、良い成果だ。
「うああ!!」
攻撃で此方の位置を大体把握したのか、木刀が振るわれる。
だが、ツールは発動していない。
慌てた事がはっきりとわかる、未熟な攻撃。
「ここら辺は、子供ですねぇ」
そんなものは、簡単に弾ける。
短刀で木刀を絡めとる様にして奪い、高く飛ばした。
「あと4つなのにッ!」
手元から木刀の感触が無くなったフタハが、唸るようにそう言った。
「4つ?
羊・猿・鶏・犬ですか?」
「ッ!」
まだ視界が回復していないはずだが、声をたよりに、もう一本の木刀が振るわれる。
だが《空間把握》は、視界を奪われても、耳が聞こえなくなっても、鼻が効かなくなっても、感触が麻痺していても、私の周囲を教えてくれる。
だから、その攻撃は届かない。
「あっ!?」
先程と同様にして、木刀を飛ばす。
そして、フタハの首元に短刀が延びた。
「そこまで!」
そこへ、今の今まで忘れていた審判が私を止めた。
「ん?」
止められた理由が分からず、やっと治った目でルネさんを見やる。
落ち込んだ様子のフタハもだ。
「ここまでで、十分に実力を見ることが出来ました。
よって、バトラー様への一つ目の依頼は完了とさせていただきます」
此方に歩きながら、ルネさんが言葉を繋げる。
「宜しいですね?」
スルリと私の手から短刀を盗ったルネさんが、私とフタハに言った。
「まあ、依頼者が終わりと言えば終わりです。
これと言った文句もありませんよ」
「私もです。
負けたのは残念ですけど、これからの教訓にするので、っと」
「おとと」
落ちてきた木刀を危うく取りこぼしそうになるが、なんとか掴む。
そして、二人でルネさんに返した。
「ありがとうございます。
それでは、二人とも少し休憩をしましょう。
そのあと、バトラー様には次の依頼をしてもらいますので」
「了解です」
「はい!」
手を合わせて笑い、歩いていくルネさんの後を、私とフタハの二人はゆっくりと追った。
スキル
ロープマイスターLv50 暗器Lv29 踏技Lv3 雷魔法Lv64 風魔法Lv64 空間認識Lv43 テイマーLv46 身体強化Lv26 看破Lv38 装備制限解除(数〈Lv変化なし〉
控え
酒職人Lv3 付加職人Lv3 縄職人Lv6 道具職人Lv17 採掘Lv5 大声Lv32




