拠点.2
「当店でお客様の要望に該当する家は、二つございました」
そう言いながら受付は二枚の用紙を出して見せてくる。
「此方はまだ新しいですが、工房が小さめです。変わって此方は当店が元の家主から買ったもので、古いのですが工房が大きめです」
最初に右を、次に左を指差しながら受付が言った。
「ふむ。両方とも良いのぉ」
「直接見ることは可能ですか?」
写真で見ても分からないことも多いので直接見ることは出来るか聞く。
「はい。御案内しますか?」
「お願いします」
店の外へと歩きだした受付に連れ立たれ私達は、まずここから近いらしい古い方の家に向かった。
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「此方になります」
「なるほど」
「大きい、というか広いのですね」
受付が指を指す先にある建物は、確かに古くなっていたが直ぐに倒壊するかと言われれば否と答えられるくらいにはしっかりとした作りをしていた。
構造は二階建てで、一階が丸ごと工房に、横の階段から二階の生活空間へ行けるようになっているようだ。
いい感じだ。
しかし、この古い建物に幾つか違和感を感じた。
「サガさん。ここって」
「うむ。そうじゃな」
「どうかしましたか?」
不思議そうな受付は気が付いて無いのだろう。
実は、この建物
「最近、それこそ昨日あたりに誰かが入りましたね」
「ええっ!?」
「それに、盗賊等の輩じゃな。鍵の外し方が手馴れておるし、人目につきにくい横の窓からの侵入のようじゃ」
「そ、それじゃ」
「というか」
《看破》した結果、中に数人いる上に相手が此方にすでに気づいて武器を構えている。
「今現在、中に居ますね」
言葉と同時に無数の矢が一階の扉を貫いて飛んで来た。
「伏せい!」
サガさんの大声に反応した受付を含めた近所の住人が一斉に体を地面に倒した。
「アハハ」
その中で一人だけ立って、私は片手で飛んできた矢の一つを掴む。
御丁寧に矢の先端には紫に光る毒が塗られているようだ。
「殺意十分、結構結構。
自身の毒矢で死んでくれ」
それを体を回して扉に投げ返す。
「【貫通】!」
失速せずに、更に力を加えられた毒矢は、容易に扉を抜けて敵をとらえる。
《空間把握》により、敵の居場所は筒抜けで面白いくらい容易く三人の敵を貫通した。
「ここを買いましょう。いくらです?」
「えっ、えっと百二十万になります!」
「はい、一括の現金です。
それじゃあ、行きますか。
サガさんは、逃げようとした盗賊の捕縛をお願いします」
「ホッホ。了解じゃ。
受付。客が儂らで良かったのぉ」
コクコクと頷く受付にサガさんは笑った。
そして、周りの住人たちに向かって再び怒鳴る。
「お主らは、さっさと隠れておれ!
そして、そこのお主!警備隊とギルドに連絡を頼む!」
「頼みました、よ!」
扉の向こうにいる盗賊の人数は、約三十人。
その内三人が毒矢で動けなくなっている。
そこの扉に向かって、私は激突した。
穴だらけとなった扉が吹き飛び、何人かの盗賊にぶつかる。
静かな新しい我が家の招かれざる客人たちは、一斉に此方に武器を向けた。
弓、剣、杖、銃。
なんだか、少し前にもこんな風に囲まれた気がする。
まあ、その時よりも人数は四分の一にも満たないが。
「さて、我が家の侵入者諸君。
出ていってもらいましょうかねぇ?」
片手に持った鉄扇を広げて、口の端を吊り上げながら私は言った。
補足
盗賊などのNPCやそういう行動をとるPCが持つ称号《無法者》の効果
町中などでもPvP以外での戦闘が可能になる(敵の攻撃も食らうようになる)
代わりにバレれば手配書が張られて街に入れなくなる
スキル
ロープマイスターLv50 暗器v24 脚技Lv38 雷魔法Lv64 風魔法Lv64 空間認識Lv39 テイマーL42 身体強化Lv16 看破Lv34 装備制限解除(数〈Lv変化なし〉
控え
酒職人Lv3 付加職人Lv3 縄職人Lv6 道具職人Lv17 大声Lv32 採掘Lv5




