獣人の里.1
「待たせてすみませんねぇ」
「いえいえ」
ギギギと門を開いた私は、始めに門の正面に立っていたミナさんに言った。
ミナさんは、笑いながら言い返してくれた。
ありがたい。
「主人と二人は、先に行っていますので着いてきてください」
「はい」
言うなり、ミナさんは歩いていく。
私は、それを追いかけた。
「[獣人の里]にようこそ」
すれ違い様にミナさんよりも後ろにいて若干空気だった門番らしき人の呟きが耳に届いた。
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私が歩いている[獣人の里]は、文字どおり獣人の住む里だ。
猫に犬に狐に鼬や狸といった様々な動物の耳や尻尾が特徴的な人々が里のなかを闊歩している。
「これでも、少ない方なんですよ?
明日、明後日で出稼ぎにいっていた私達、若者勢が帰ってきますからね」
「そうなんですか」
周りを軽く見回しているといつの間にか並んでいたミナさんが私にいった。
「それより、着きましたよ」
どうやら、目的地に着いたらしい。
「「あ!」」
一階建てのその窓からミミリリ姉妹が顔を出していて此方に気が付く。
二人は、直ぐに顔を引っ込めるとパタパタという音が聞こえた。
そして、玄関の戸が開き
「「お帰り(ニャ)!あと、ようこそ(ニャ)!」」
片方は元気に、もう片方は凛々しく迎えてくれた。
「ただいま」
「お邪魔しますね」
ミナさんと私も各々、返事を返した。
入った家のなかは、意外と質素で素朴な作りをしていて安心できる場所だった。
「御父さんは?」
「爺ちゃんと一緒にソーチョーに挨拶にいったニャ!」
「何時も通りです」
「そう。なら、もう少し掛かるわね。
主人がいたら先にご飯をと、思ったのですけど、居ませんし依頼の報酬を先に渡しておきますね。
バトラーさん。この家の向かいの店に行っていてくれませんか?」
「先程、見たときは閉店と掛けてあった所ですか?」
「はい。実は、あの店も私達が経営するお店なんですよ」
「へぇ」
戸を開けて向かいの店を見ると丁度よさそうな椅子が表に置いてあるのが見えた。
彼処で座って待っていれば良いのだろう。
「分かりました」
「すみません。此方の用事が終わり次第、そちらに行きますので」
「はい。待ってます」
持ってきた荷物を整理している背中にそういって私は、表に出てから向かいの椅子に腰を掛ける。
「そういえば、メッセージが来ていましたねぇ」
そうしたら、先程のbossとの戦いが終わって直ぐに届いたメッセージがあったことを思い出した。
ステータスを開いてメッセージを開くと三件み未読のメッセージがある。
『単独大会のお知らせ』
『[東の樹海]初攻略のお知らせ』
『《暗器》がLv15になりました。
修得ツールを選択してください』
「ふむ。上から見てきますか」
『単独大会のお知らせ
単独大会の受付を開始しました。
出場予定の方は、王都のギルドより登録してください。
(この連絡は、ギルドカードを持っている人のみにお送りしております)』
「大会ですか。まあ、気乗りしませんしスルーですかねぇ」
はっきりいって目立つのは、苦手だ。
あの滅茶苦茶な逃走劇の後では、言っても意味のない事だが。
「なんだか、思い出したら気が重くなってきましたねぇ。
次の見ましょう、次の」
『[東の樹海]初攻略のお知らせ
本日、[東の樹海]の初攻略が確認されました。
現在、攻略されたステージは順に
[始まりの草原][北の浜辺][南の坑道][東の樹海]
の四ステージになりました。
[西の砂漠]を攻略された時に全プレイヤーに新たな機能を追加します。
(次のステージへの門を開けないと攻略とはならないのでご注意ください)』
「うーん?
時期的に、この初攻略のプレイヤーって私ですよねぇ?
変に、探られたりしなければ良いのですが・・・」
どうやら、厄介が増えたようだ。
面倒な事である。
そして、最後のメッセージを開く。
『《暗器》がLv15になりました。
修得ツールを五つ選択してください。
【毒(微)】
投擲した小型の武器に毒の効果をつける
【神経毒(微)】
投擲した小型の武器に麻痺の効果をつける
【炎症毒(微)】
投擲した小型の武器に火傷の効果をつける
【石化(微)】
投擲した小型の武器に石化の効果をつける
【氷化(微)】
投擲した小型の武器に凍結の効果をつける
【麻酔(微)】
投擲した小型の武器に睡眠の効果をつける
【貫通(微)】
投擲した小型の武器に貫通の効果をつける
【爆破(微)】
投擲した小型の武器に爆破の効果をつける
【炸裂(微)】
投擲した小型の武器に炸裂の効果をつける
【衝撃(微)】
投擲した小型の武器に衝撃の効果をつける』
「十の内、五ですか。
まあ、まず迷ったのは必要なさそうな【神経毒】と【炎症毒】と【氷化】は要りませんね。
麻痺は《雷魔法》で起こせますし、火傷も凍結もフルーがいれば出来ますからねぇ。
あと、【麻酔】と【衝撃】も要りませんか。
睡眠は〔夢魔の片眼鏡〕がありますし、衝撃も《風魔法》がありますからねぇ。
となると、この先で起こせるものを手にする機会があるか分からない【石化】は取っておきますか。
それと、小型の武器にない威力を増やせそうな【爆破】と【炸裂】を取っておきましょうかねぇ。
あとは、【毒】と【貫通】ですか。
迷いますねぇ。どうしましょうか」
あと、一つの所で止まってしまった。
はっきり言えば、どちらも魅力的だ。
【毒】ならば、一度でも相手に掛けることができればそれだけでかなりの有利を手にできる。
【貫通】ならば、固い守りを突破できるかもしれない。
暫く考えて私は、閃いた。
「そうだ。【毒】にしましょう」
理由は、簡単だ。
メインとの相性。
それに尽きる。
相手を【毒】にしたあと、拘束する。
これは、楽だし安全だ。
というわけで四つを選択する。
『もうひとつ選択できます』
「おや?もうひとつ選択できましたか」
どうやら、四つしか選択していなかったようだ。
なら、もうひとつは【貫通(微)】だろう。
「迷ったのは、無駄だったようですねぇ」
『【毒(微)】【石化(微)】【爆破(微)】【炸裂(微)】【貫通(微)】で宜しいですか?YES/NO』
YESを押す。
『【毒(微)】を修得しました
【石化(微)】を修得しました
【貫通(微)】を修得しました
【爆破(微)】を修得しました
【炸裂(微)】を修得しました』
連続で修得の連絡がでるのを満足げに見ているとミナさんが家から出てきた。
「お待たせしました」
「いえいえ」
少し前にした事を逆の立場でするというのは、なかなか面白い。
「ふふふ。それでは、どうぞ」
ミナさんは、そういって店のなかに私を呼んだ。
それに答えて店のなかに入る。
店に入ってすぐ目の前には、巨大なガラス張りの壁があった。
そして、ガラスの向こう側には
「おお。凄いですねぇ」
「驚きましたか?」
「ええ」
視界を埋め尽くすほどの大小各々色数多の卵が並んでいた。
スキル
ロープマイスターLv48 暗器v15 脚技Lv35 雷魔法Lv64 風魔法Lv64 空間認識Lv35 看破Lv21 テイマーL37 身体強化Lv9 装備制限解除(数〈Lv変化なし〉
控え
酒職人Lv3 付加職人Lv3 縄職人Lv6 道具職人Lv17 大声Lv30




