サガさんの頼み事
「頼みたい事ですか?」
「うむ」
持ってこられた飲み物を飲みながら話を聞く。
「先程の言葉から察するに《看破》が必用になりそうな感じでしたが・・・」
「最近、モンスターが活性化しているのは、知っておるか?
そして、それに伴って盗賊等の犯罪者が都に侵入してきていることも」
いきなり話が飛んだが、とりあえず、ついていく。
「ええ。存じておりますが、それが?」
「うむ。実は、去年もこれが起きたんじゃが、その時に一人、捕まえ損ねてのぉ。
まあ、何人か、捕まえ損ねるのは、仕方がないとするが、其奴は、」
突如、話が止まる。
「其奴は?」
好奇心で、話の続きを催促する。
「其奴は、儂の孫の顔に斜め一線の傷をつけよった!」
バン!
サガさんが、テーブルを力任せに叩いた。
叩いた衝撃で、グラスが倒れ中の液体が溢れる。
周りの客が、何事かと、こちらを見る。
「あの、御客様?」
「ああ、すまんのぉ。手拭きと同じのをもう一本頼む」
「は、はい」
駆け寄ってきた店員にそういってサガさんは、周りに何でもないとばかりにぷらぷらと手を振る。
「すまんのぉ。つい、やってしまった」
「お気に為さらず。手で持って飲んでいるので」
「そうか。
それで話を戻すが、其奴はかなりのレベルの隠密を持っていてのぉ」
「なるほど。見つけるのに手伝って欲しいと?」
「そういうことじゃ」
此処で、一つの疑問が浮かんだ。
「サガさんは、《慧眼》という《看破》の上位スキルをもう持っているのでしょう?
なら、私が手伝う必要があるのですか?」
「ある」
はっきりと、サガさんは、言った。
「些か、失礼だが《慧眼》でバトラーのスキルは、既に知っている。
控えスキルまでは、知らないがな。
そこで、《空間認識》のスキルをバトラーは、持っている事を知った。
《空間認識》は、儂も持っているものを二人しか知らない程、珍しくまた、強力なスキルでな。
《看破》との相性がとても良いのじゃ。
実を言うと、鎖の事を教えるつもりになったのは、その事が大半じゃ。
鎖の事を教える代わりとして協力して貰う。
そのつもりじゃったのじゃが、バトラーは、全く来ないのでな」
「それは、すみません」
「良いんじゃよ。
此方の都合にバトラーを無理矢理組み込んだ儂が悪い。
で、今日あったからこうして話の場を持たせてもらったのじゃ。
それで、改めて聞くのじゃが《看破》を取って儂に協力してくれんかのぉ?」
窺うように、また不安そうにサガさんは、聞いてきた。
「………良いでしょう」
「おお!そうか!」
「ただし!」
喜んでいるサガさんに私は、言う。
「私が手伝うのは、目標を見つけるまでです。
目標を見つけたら後は、サガさんにお願いします。
良いですね?」
「勿論じゃ。元々、そのつもりじゃしのぉ」
「なら、良いです。《看破》、修得しましょう」
一つの〔技巧石〕を出して砕く。
そして、《看破》を修得した。
「そういえば、《看破》のレベル上げで言いたいことがあったんじゃ」
まだ、修得したばかりで控えスキルにある《看破》をスキルの何と交換するか考えながら話を聞く。
「《看破》のレベルの上げ方は、簡単でのぉ。
使用したときに認識している範囲の全部に《看破》が掛かるのじゃ。
また、知りたいところに注目することで、そこにより強く《看破》が掛かるのじゃ」
「それは、確かに《空間認識》との相性がとても良いですね。
《空間認識》は、全方位の認識が出来ますから」
とりあえず、【震脚】である程度なら代用できる《大声》と《看破》を交換する。
「それでは、早速やってみましょうかねぇ。
《看破》」
使った瞬間、認識範囲に莫大な量の名前が上がった。
サガさんを始め、先程の店員、後ろの席でご飯を食べている男性、道を歩いていった女性の名前が頭に浮かぶ。
視界の中に居る人達に対しては、頭上に浮かぶ感じで名前がある。
「なるほど。これは、凄いですねぇ」
「バトラーに今、何処まで認識できているのかは、分からんが《看破》のレベルが上がれば対象の事がより深く分かるようになるはずじゃ。
隠密を持っている者のことのスキルまで分かるようになれば、《看破》も《慧眼》になるじゃろう」
「ご親切にどうも」
私の《看破》の効果では、まだ名前しかわからないし、たまにだが、なにもわからない人も居る。
《隠密》持ちなのだろう。
「さて、話はこれで終わりじゃ。
《採掘》と《錬金術》を取るか決めるのは、儂の所に来てからでいい。
なにか、話すことはあるかのぉ?」
「いえ、無いですよ」
「そうか。それでは、これでお開きと使用かのぉ」
「はい。それでは、」
「じゃあ、の」
話が終わったサガさんと別れて私は、時々《看破》を使いながら宿に向かった。
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~夜~
「ふふふ。
前々から思っていましたが皆様、NPCとは思えないほどの方たちですねぇ。
家があり、家族があり、願いがあり、恨みがあり、習慣があり。
ああ、明日は早いんでした。
早く寝ますか」
夜は、人の言葉を容易く呑み込んでいった。
偽装効果は、全てのモノに対してあるもので、《看破》はモンスターや人に対して名前等の触ればなくなる程度の偽装効果は、Lv1の時点で無視できます。(隠密関係のスキル持ちの場合は、偽装効果も通常状態で上がる)
そして、Lvが上がれば所有スキルや装備品等の事まで見ることができます。
スキル
ロープマイスターLv47 暗器v10 脚技Lv33 雷魔法Lv62 風魔法Lv62 空間認識Lv32 看破Lv10 テイマーL34 身体強化Lv1 装備制限解除(数〈Lv変化なし〉
控え
酒職人Lv3 付加職人Lv3 縄職人Lv6 道具職人Lv17 大声Lv30
P,S,
お爺さんやお婆さんの孫への愛着って目を見張るものがありますよね。
戦争を生き抜いたからこその物なのかと思う心です。




