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妄想人の『恋愛妄想(泥)』

作者: ゆっくん

人の妄想って尽きることがない。妄想・想像の世界ってすごいな、と思いつつ久しぶりに投稿です。

なんというか、中学校のときぐらいから、「こういうことどうなんだろ」と思いつつ文章にしてみた結果です。

 軋む声。

 なんで僕はここにいるんだろう?

 弾む声。

 なんで僕はじっとしているのだろう?

 浮つく声。

 なんで僕はこんなものを聞いているんだろう?

 「――――――!!」

 声にならない声。

 僕は――この現実を、受け入れることができるのだろうか?


 …


 とある日曜日のことだった。

 僕は仕事も休みで、最近はなかなか会えていない彼女に会おうと思って一つ電話をしてみた。

 しかし、彼女はそれにでない。

 急ぎというわけでもないから、僕は会えないかどうかメールをしておくことにした。

 しばらくしてから返ってきた返事は、仕事だから会えない、という返信だった。

 仕方ないか、と思いつつがっかりしながら僕は外出することにした。

 ここ最近、彼女とは会えていない。メールも付き合い始めた時よりかは少なくなった。

 そう珍しくないことだし、たぶんコレが普通なんだろうな、と僕は思っていた。まわりの友達だって、やっぱり最初は浮ついているせいか、お互いに会えるときは会い、メールできるときはする、という関係。

 それもある程度時間が経てば、お互いの中でそれが普通になりつつあり、いつか少しずつ薄れていく。だからだろう。そうさ、こんなものなんだと僕は思う。

 ……それでもだ。やっぱり不安になることはある。

 僕は元から不安症で、もしかしたら今この時だって彼女は違う男の人といるんじゃないか、とか、実は別の彼氏がいるんじゃないか、とか思ってしまう。

 信用してないのか、といわれるとどっちとも言えない。

 僕自身は彼女を信用しているつもりなのだけれど、やっぱりそうやって疑う時点で信用なんてしていないのかもしれない。

 そんなことを考えながら、僕は外にでる。

 行く宛なんてない。ただ今日はぶらぶらしてみようと思った。

 けど、思ってみればこの考えが間違いだったのかもしれない。いや、そうに違いない。

 何もすることないから、家でだらだらしてればよかったんだ。そうすれば僕はそれを見ることはなかったに違いない。

 でも、それを知らなければ、きっと僕はもっと苦しむことになるわけで……何が正しかったのか、わからない。少なくともこの時の僕は。そして、事後の僕も。


 …


 なんとなく、よく彼女といく店へといってみることにした。

 いつも彼女と店の中をぶらぶらしては、何も買うことなくでる店だが、もしかしたら新発見があるかもしれない。もし見つけたら彼女に教えてやろう、と僕の心は少し踊っていた。

 あまりいかない方向へと歩いて行く。いや、歩いて行ってしまった。

 いつもいくところなら、もしかしたら僕はよかったのかもしれない。

 少し先にある角を曲がったところに何かあるかもしれない、と思って僕はそこを意気揚々と曲がった。

 そこに――彼女がいた。

 いや、そんなはずはない。彼女は今、仕事中のはずだ。いるはずがない。

 きっと僕が今見ているのは、そっくりさんかなにかだろう。ほら、世界には顔がよく似た人が三人はいるって、いつか見たテレビでもいってたじゃないか。

 だから、その内の一人なんだ……僕はそう自分に言い聞かせていた。

 けど、僕の身体は知らずうちに隠れていた。そう、僕は信じれなかった。

 「なんで……」

 思わず口から漏れる言葉。

 しばらく壁に身を隠しながら彼女の様子を伺ってみた。

 ここで僕が普通に彼女のもとへ行ったらいいのだろうか? そんなのはわからないし、何より本当にその人が僕の彼女である、という可能性を消したかった。

 だって、もしそうだったら――彼女は嘘をついていることになるじゃないか。

 しばらくしてから、男がやってきた。

 見た目はかっこよくて、どっかのモデルにでもなりそうな感じの男だ。

 

 いや、まさかまさかまさかまさか……そんなわけない。


 反芻(はんすう)する。

 やがて二人は手をとりあって移動をし始めた。それを僕は後ろからつけることにした。


 いやいや、よく考えてみろ。

 あれが本当に僕の彼女である、という可能性は? 彼女は本当に今は仕事中で、偶然にもよく似た人がいるだけかもしれない。

 可能性としては低いけど、それでもゼロパーセントじゃないだろ。

 だったら、僕は今、なんの関係もないカップルの後をつけてる不審者、といったところだ。

 生憎と、こういう行動には慣れてない。いつボロを出さないとも限らない。

 それがあの女の人が僕の彼女でない、という可能性。

 だけど、もう一つ真反対の可能性もある。

 それは、あれが本当に僕の彼女である、ということだ。それだけはあってほしくない。付き合って随分と経つ。そりゃ確かに最近は会う回数が減ってきたけど、それだってお互いの予定がなかなか合わないからだ。

 でも、もしもアレが僕の彼女だというのなら、横にいる男は? 誰? 誰? 誰? 誰々誰々誰?

 あの女性の存在を確認する方法……それは……。

 「ありえないよね……ははっ」

 僕はふるえる手で携帯を取り出した。

 もしも、今彼女に電話をしたら、彼女は携帯にでる。女性の行動がそれと合わさったときが……。

 僕はふるえる指先で携帯に入ってる電話帳から彼女の電話番号を選ぶ。そして、通話ボタンを押した――。


 ――


 ――――


 ――――――あっ、出た。


 ――――――


 ――――


 ――プツン。


 きれた。

 電話は虚しく着られた。

 もう一度電話してみる。


 『おかけになった電話は、現在電波の届かないところにあるか、電源を』


 あ……れ?

 「ははっ……はっ?」

 乾いた笑いから疑問へ。いや、もう答えはわかっていた。わかっていたけど、わかりたくなかった。

 携帯のディスプレイから頭を上げ、前を見ると……彼女の姿は消えていた。


 その日、僕は彼女の浮気現場を目撃しました。


 …


 問い詰めることができなかった。その勇気がなかった。情けなかった。

 僕はその日の晩、泣いた。

 涙で枕を濡らす、とはこのことだろう。涙が枯れるほど泣いた。

 家に帰ってから、偶然にもネットで知ったが、あの男は本当にモデルらしい。

 まだ売れ始めみたいで、これからの注目モデルらしい。

 僕なんて、確かにださい。むしろ、なんで僕なんかが彼女と付き合うことができたのだろうか、と思うほどだ。

 何かに比べられるたびに劣等感を感じて、それでも見た目なんてそうそう変えれるものじゃないから、と諦めていた。

 でも、結局見た目なんだろうか。

 どこのどいつだろう。人間は見た目じゃなくて中身だ、なんてほざいたやつは。

 人間なんて、誰でも第一印象は見た目で決まるも同然じゃないか。それで決まった印象が故に、中身なんて見ようともしない。

 もう何もヤル気が起こらなかった。その次の日はショックが大きすぎて、風邪ということで会社を休ませてもらった。

 塞ぎこむ一日だろう。そう思っていた。

 しかし、その塞ぎこもうとする僕を邪魔するようにして一本の電話がかかってきた。

 それは、なんと彼女からだった。

 正直、少し怖かった。「別れよう」だなんて告げられたら僕は確実に崩れる。

 けど、今の状態なら別れれる気がしないでもない。このままの関係で僕が耐えられるわけがないのだから。

 だから僕は、その電話にでることにした。

 「もしもし……」

 『あっ、もしもし? ん……ごめんっ! ね、いきなり電話して……っ!』

 喋り方がおかしかった。

 何かに耐えるような喋り方。

 「別にいいよ……」

 『とくに、用件はぁ……ないんだけ、どっ、あっ、あっ、あっ』

 明らかにおかしかった。

 喘ぎ声に変わっていた。わけがわからない。けど、その理由が僕の頭の中をよぎる。けど、気づかないふりをする。自分に嘘なんてつけやしないのに。

 「ねえ、今何を」

 『ちょ、まって、激しいってば! あんっ、やっ、ちょっと、はぁ、あっ、あっ、あっ』

 手が震えだした。

 『ほら、罰ゲームなんだからちゃんと電話しろって!』

 誰か男の声が聞こえてきた。

 身体が震えだした。

 『無理だって、気持よすぎて、あっ、んっ』

 もはや僕との会話をしていない。

 目から光が失われていく。

 「――――――!!」

 声にならない声。

 僕は――この現実を受け入れることができるのだろうか?


 ◇


 なんていうストーリーを夢想することが誰にだってあると思う。

 僕にはあります。

 彼女なんていない僕だけど、なんとなく彼女ができたらこんな展開があるのではないだろうか、なんていう妄想。

 寝取られというのは基本的に、というか生理的に無理なのですが、想像だといともたやすくこうなっちゃう。

 だいたい、自分の大切な人が、愛する人が他のやつに嬲られてる、なんて想像するだけで吐き気がします。

 うん、これは僕の自己満足な妄想なんです。


妄想人の『恋愛妄想(泥)』――終

今作では「僕」と「彼女」と「男」。

それぞれ名前は入れず、会話もなるべく少なめ、というようにしてみました。

自分がいつか妄想した話をここに書いてみただけの話なのですが、なんともぱっとしない終わり方。

意外と妄想人、というのは作者である私自身のことだったりするのかもしれません。

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