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6.あのジブリの名作が国歌になるかもしれません。


 それから私達は広い庭園内を歩いて、お城に向かう。

 その合間、私達はお喋りをしたり歌を歌ったり。

 歌はあのジブリの名作だったり。

 何気に「あるこーあるこー♪」と歌い出したら彼らも興味を示してきたんだよね。そんでもって教えてあげたら物凄い悦んでいました。



「なんて心に染み入る歌だぎゃ!」

「すばらしいぅにょ! ぜひとも皆にも教えて国歌にするにょ!」

「えぇ!?」



 うん、変な感じで悦んじゃったな。本当にこのまま国歌になっちゃったらどうしよう。

 私は大勢のコロボックルたちが厳粛な場でジブリ名作を歌っている様を思い浮かべた。


 ………。


 うん、どうしよう。すっげお似合い。更に皆で足踏みしながらだったら尚いい……。



「あ、またプルプルしてる!」

「どうしたぅにょ?」

「ぜ、ぜひともこの歌を国歌にしてくだしゃい!」



 私がそういうと、レオンとニール(青いぷにの名前。さっき教えてもらった。ついでに言うと、彼は蛇だそうだ)二匹のコロボックルはびっくりした顔をしていたけど、「じゃあ王様にお願いしよう」と言ってくれました。

 王様かぁ~。コロボックルの王様ってどんなだろうなぁ~。

 王様ってなくらいだから、頬っぺたのぷにぷに具合も頂点に立つんだろうか。


 やっべ! どうしよう、出会い頭に王様に突進しちゃったら!


 あー、それにしてもどんだけ広いんだこの庭! まだお城につかんのかい! とか思ってたら漸くお城の中に入りました。

 すげー、意外にちゃんとしてるー……って言うか荘厳ですねー。メルヘンでファンシーなのかと思ってたらすっごい裏切られた感が否めません。まぁ、ここの庭も洗練された感じだったけど……。


 ………。


 ハッ! ま、まさかぁっ!!

 お城がこんなだったらそれを統治していると言う王様って王様って……。

 髭面のがっしりしたおっさんだったらどうしよう。おまけにムキムキマッチョだったら……。

 ぬぅぉぉぉおおん!! 私そんなんだったら軽く泣けるよ?

 だって想像してみてよ。

 ころころプリティーなコロボックル達が戯れる中に埋もれるムキムキマッチョな髭面のむさいおっさん……。


 ………。


 うん、すぐさま吐血しそう。



「ん? どうしたぎゃ? 顔が真っ青だじょ?」

「ぅにょ? 気分が悪いにょ?」

「だ、だいじょぶ。そ、それより王しゃまってどんな人――じゃなかくてどんなぷににゃの?」



 思わず真面目に想像してしまい本気で吐血しそうな私を見て、心配してくれるライオンぷにのレオンと青いぷにのニール。何とか誤魔化しつつ、それとなく王様の事を訊ねてみることに。

 すると、彼らの顔が見るからに、パァァァと明るくなった。



「それはもうすっごいぷになんだぎゃ!」

「素晴らしいおぷになにょろ!」

「へ、へぇ……(おぷに!? お人って言いたいのかな?)」



 ええっと、全然わかりません。ただ彼らがすっごい尊敬していることだけは確かです。



「王様はご馳走を前にしてもよだれを流さないんだぎゃ!」

「お昼寝しなくても平気なにょろよ! 凄いにょ!」

「………」



 何だその尊敬する理由。基準低くね?

 つまり、レオンはご馳走を前にすると涎を流さずにはおられず、二ールはお昼寝をしないといられないと……。


 ………。


 幼児や! コロボックル、この子らの生態は幼児と一緒や!

 ここで、人参とかピーマン食べれるよ的な事を言ったら尊敬されるんだろうか?

 それだったら夜一人で寝れるとかシャンプーハット無くても頭を一人で洗えるんだぜとか言ったら崇められんでなかろうか?


 ………。


 うん、いいかもしんない。

 だって、コロボックルたちにきらきらした目で見つめられるんだぜ? それはもうやばいっしょ。


 と、ここまで考えた私ははたとある事に気付く。

 彼らが言ってる尊敬する事柄って、ある程度成長した人間にとっては至って普通の事である。ますますもって、王様おっさん説が高まってきた。




― あのジブリの名作が国歌になるかもしれません ―

《突如浮上した王様おっさん説でそれどころじゃなくなりました》

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