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生きてゐるタワーマンション  作者: 葉方萌生
第二話 エレベーター

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「あ、まただ」


 エントランスに不思議な貼り紙が貼られているのを見たのは、これで三度目だ。「調整完了のお知らせ」という謎のタイトルのもと、“〇〇号室で調整が完了しました”と綴られている。前回までは1403号室の“調整”についてのお知らせだったが、今回は1402号室になっている。十四階で一体何が起きているのか——二十五階に住む私こと藤村美雪(ふじむらみゆき)には見当もつかなかった。


 じっと新しいお知らせに目を凝らしてみると、「住民を学習し」という文言が気になった。前回も同じ文言を見たような気がする。


「住民を学習って、どういうことなの」


 日本語がおかしすぎて、引っかかる。

 そもそもこのお知らせからは何か得体の知れない気味の悪さを感じていた。「調整完了のお知らせ」というタイトルもそうだし、なんとなく、人の血が通っていない文章という気がするのだ。


「AIにでもつくらせたのかしら」


 今年四十五歳を迎える私は、世間で流行っているAIを使いこなせたことがない。同年代の友達でも、会社勤めの人たちは仕事でよく使うらしく、「美雪もプライベートで使えばいいのに」と軽くアドバイスをされる。なんでも、彼女たちはお出かけ中におすすめのご飯屋さんを探したり、交通費を計算したりするときに使用するらしい。他にも、調べ物をする際にはネット検索じゃなくて、AIに聞くのだとか。

『だってそのほうが早いし、楽』

 というのが彼女たちの証言である。 

 私も、時代に置いていかれないようにAIを使ってみようと思ったことはある。 

 でも、専業主婦で基本的に自宅に引きこもっている私に、AIなど必要ないのだと気づいた。

 日常の中で調べたいことなんてほとんどないしね。

 と、言い訳めいたことを考えつつ、私は「調整完了のお知らせ」から隣の「エレベーター点検工事のお知らせ」のほうに視線を移した。

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