第81章:遺跡の噂
「また何かあったら来てくれよ!お客さんなら大歓迎だ!」
ポルチーニは元気に手を振りながら、遠ざかるサシャたちを見送った。
「いい買い物できたね!」
サシャは、自分のことのように嬉しそうな表情で、リュウの背中を見つめながら喜びを口にした。
「これでリュウもパワーアップだね!」
アリアは、キラキラと目を輝かせ、小さく跳ねるようにぐっと拳を握りしめながら言い放った。
「パワーアップかどうかは分からない。師匠が『剣が名刀かそうじゃないかは大事ではない。自分が握って、振ってみて、しっくりと来たものこそ、自分の愛刀とするべきなのだ』と。俺はあの刀を握ってしっくり来たから選んだ。それだけだ」
リュウは、微かに笑みを浮かべると、冷静にそう述べた。
彼の言葉には、師の教えに対する深い理解と、自身の剣術に対する揺るぎない信念が込められている。
「なるほど…強い剣を手に入れれば勝手に強くなるわけじゃないんだね」
サシャ達はリュウの話を聞きながら、街の北側にある埠頭へと向かった。
そして、20分ほど歩いた先に、目的の埠頭が視界に飛び込んできた。
埠頭は人々の活気で溢れかえっていた。
巨大な帆船がその大きな帆を揺らし、豪華な客船らしき船は優雅に停泊している。
小型の魔導船から、漁を終えたばかりの漁船まで、多種多様な船が行き交い、それぞれの役割を果たしている。
潮の香りと、船乗りたちの威勢のいい声が混じり合い、独特の賑わいを醸し出していた。
サシャたちは埠頭内にある事務所へと向かった。
次の目的地であるブロッケスへは、当然だが船を使う必要があるのだ。
「…」
事務所に入ると、受付に座る神経質そうな男性職員が、細い目でサシャたちをじっと見つめていた。
「あの…ブロッケス行きの船ってありますか?」
サシャは、職員の視線に少し気圧されながらも、意を決して尋ねた。
「ブロッケスですね。ちょうど5分後に出航予定です。一人2000ゴールドになります」
職員は、感情の読めない声で淀みなく答えた。
「これで!」
サシャは銀貨1枚と銅貨1枚を職員に手渡す。
「はい。確かに。では、こちらがチケットです。2番乗り場の水色の船になります」
職員は、差し出された硬貨を受け取ると、無駄のない動きでチケットを渡し、丁寧に乗り場を案内した。
「ありがとうございます!」
サシャたちはチケットを手にすると、急ぎ足で乗り場へと向かった。
「あそこが2番乗り場だ」
リュウは「2」と書かれた大きな旗が掲げられている場所を指差した。
その先には、水色の巨大な魔導船が、堂々とした姿で静かに停泊している。
「すみません!3名で!」
サシャたちは、息を切らしながら乗り場に着くと、そこに立っていた職員にチケットを提示した。
「確認しました。船はもうすぐ出航しますのでお急ぎください」
職員は、少し急かすような口調でサシャたちに乗船を促した。
こうしてサシャ達はブロッケス行きの船へと乗り込んだ。
「間に合ってよかった…」
サシャは、額に滲んだ汗を手の甲で拭いながら、安堵の息を漏らした。
「また、のんびりと船旅だね!」
アリアはサイドデッキに駆け寄り、船旅を心から楽しみにしてそうな表情を浮かべた。
「では、出航いたします。ブロッケスまで3時間半を予定しております。到着までの間、ごゆっくりとおくつろぎください」
蒼霧列車の時と同じように、何かしらの魔法が使われたのだろう、船内にクリアなアナウンスが響き渡る。
その直後、船体がゆっくりと揺れ、水面を滑り始めた。
「わ!動き出したよぉ!」
アリアがサイドデッキから、船が埠頭を離れ、海へと進んでいく様子を興奮した声で眺めた。
こうして、船は白い波をかき分けて、ゆっくりと海を進んでいった。
空は雲一つない晴天に恵まれ、頬を撫でる潮風は、どこか懐かしい海の香りを運んでくる。
船上からは、遠ざかるボルジア島の街並みが徐々に小さくなっていくのが見えた。
そして、3時間半後。
水平線の彼方に、ブロッケスの街並みが遠目に見えてきた。
見慣れた光景が、徐々にその輪郭をはっきりとさせていく。
「ブロッケスに帰ってきたな…」
リュウは、船のデッキからブロッケスの街並みを静かに眺めた。
「あれから3日経ったのか…なんだかあっという間だったね」
サシャは、マクレン諸島での数々の思い出を振り返った。
海賊に襲撃されたこと、パリオネ島での贅沢なリゾート宿泊、シャロンとの出会いと、彼女に翻弄された日々。
ナルガタガン島での海兵基地の緊張、パニュパニュプレートの味、そして手に入れた熾天使の腕輪。
クロウリーとの遭遇、そしてシャロンが自分に覆いかぶさって寝ていた時の驚きと戸惑い。
サイテン島でのカジノの熱狂、海賊討伐、そしてボルジア島でリュウが新たな刀を得たこと。
本当に様々な冒険や出会いが、このわずか数日の間に凝縮されていた。
そんな風にサシャが感傷に浸っていると、船はブロッケスの埠頭へとゆっくりと接岸した。
「この荷物を3番倉庫に頼む」
「パパ!リゾート楽しみだよ!」
「今日はマクレンイサキが大漁だったな」
ブロッケスの埠頭は、相変わらずの活気に満ち溢れていた。
魚を運ぶ漁師たちの威勢のいい声、荷物を運び出す商人たちの足音、船を待っているであろう観光客たちの賑やかな話し声など、様々な人々の営みがそこにはあった。
「ご乗船お待たせいたしました。ブロッケスに到着いたしました。皆さま、お忘れ物のないようお降りくださいませ。本日もマクレン連絡船をご利用くださり誠にありがとうございました」
船内には、穏やかで丁寧なアナウンスが流れる。
「ふぅ…ようやくたどり着いた…」
リュウは、安堵の息をついた。
「ん、んーっ!!」
すると、精神世界でトルティヤがあくびをしながら起き上がる。
「あ、おはようトルティヤ!」
サシャはいつもの調子で挨拶をする。
「うむ…首尾はどうじゃ?」
「実は…」
サシャはブロッケスの近くに遺跡があることをトルティヤに話す。
「なるほどのぉ…とりあえず行ってみるのじゃ」
トルティヤも目的地に向かうことを同意した。
そして、サシャたちはゆっくりと船を降りた。
三人は3時間半ぶりの大地に、しっかりと足を踏みしめる。
陸の安定感が、心地よく体に伝わってきた。
「んー!海もいいけど、やっぱり陸の方が落ち着くよぉ」
アリアは、大きく両腕を広げて思いっきり深呼吸をした。
潮風とは違う、街の匂いを胸いっぱいに吸い込んでいる。
「とりあえず、前に行った宿に行こう。新しい遺跡ならば何かしらの情報が出回っているかもしれない」
サシャの言葉に、リュウとアリアは迷わず首を縦に振った。
そして、三人はブロッケスの街中を進み、かつて休憩に寄った一軒の趣のある木造の宿にたどり着いた。
年季の入った木製の看板には、力強い文字で「水夫の宿」と刻まれている。
「なんか実家に帰ってきた気分だね…」
サシャは、宿屋の入り口を見つめながら、しみじみとそう口にした。
「ふっ…数日前のことだろう」
リュウは、サシャの言葉に小さく鼻で笑い、冷静に指摘した。
「また、マクレンサイダーを飲もうよ!」
アリアは、以前この店で飲んだマクレンサイダーの味が忘れられないようで、目を輝かせてそう言った。
そして、サシャ達は宿の重い木の扉を開けた。
「らっしゃい!…って、あんたらはこの前の!!」
店内に足を踏み入れると、上半身を裸にし、日に焼けた肌が逞しい店主が、サシャたちを見て目を丸くした。
「以前はどうもお世話になりました」
サシャは店主を見ると、軽く頭を下げて挨拶した。
「おお!戻ってきたんだな!リゾートは楽しめたか?」
店主は、屈託のない笑顔を浮かべながら、サシャに問いかけた。
「うん!とっても楽しかったよぉ!」
アリアは、元気よく答えた。
「そいつはよかった!そこの席に座ってくれ!」
店主は、豪快な笑みを浮かべると、サシャたちを近くの空いた席へと案内した。
「ふぅ…少し休憩だね」
サシャは、ゆっくりと椅子に腰を下ろし、一息ついた。
「注文を聞くぜ」
店主はサシャ達に視線を向ける。
「マクレンサイダーで!」
サシャが迷わず注文した。
「僕も!もう一回飲みたいよぉ」
アリアも、その言葉に続けて声を上げた。
「俺は天然水にする…」
リュウは、静かに天然水の注文を告げた。
「あいよ!キンキンに冷えたやつを持ってくるぜ」
店主は、そう言い残すと、厨房の奥へと姿を消した。
「それにしても相変わらずここは涼しいな…」
サシャは、店の心地よい涼しさに、思わずそう漏らした。
「そうだね…心地いいよぉ」
こうして、サシャたちがくつろいでいると、店主がマクレンサイダーと天然水が乗ったトレイを手に、こちらに向かってくるのが見えた。
「へい、お待ち!」
店主はマクレンサイダーと天然水が入ったグラスをテーブルに置いた。
そして、それらと共に、台形型の鮮やかなオレンジ色をした、ぷるんとしたデザートらしき食べ物を静かに置いた。
「あの…これは?」
サシャは、見たこともないデザートを指差し、店主に尋ねた。
「これは今度メニューとして出そうかなと思っている試作品だ。そうだな…「ルギド・デル・ソル」とでも名付けようかな。お代はいらんから、よかったら食べてみてくれ」
店主は、にこやかにそう説明した。
「では…いただきます」
サシャがスプーンを手に取った。
「じーっ」
精神世界からトルティヤがじっと見つめる。
「た、食べる?」
サシャはニコニコしながらトルティヤに尋ねる。
「遺跡の情報を手にいれた褒美じゃ。お主が食べるとよい」
トルティヤはそう呟くと後ろを振り向く。
「…」
リュウは、その独特な見た目に興味を抱き、じっとデザートを見つめた。
「美味しそうだよぉ!」
アリアは、目を輝かせ、待ちきれない様子でスプーンを構えた。
三人は、それぞれのスプーンでルギド・デル・ソルを掬い、口へと運んだ。
「うーん!甘酸っぱくてプルプルしている…なんだか不思議な食感だ」
サシャは、ルギド・デル・ソルを咀嚼した。
口に入れた瞬間、ひんやりとした甘酸っぱさが広がり、舌の上でぷるんと弾けるような、不思議な食感だった。
噛むたびに柑橘系の爽やかな味わいが口の中にほとばしる。
「…まるで、寒天のようだな」
リュウは魏膳のお菓子である寒天を思い出しながら、その食感に驚きを隠せずに食べ進めた。
「んー!!この食感…クセになりそうだよぉ」
アリアの表情は、デザートの美味しさにトロトロにとろけていた。
「ワハハハハハ!気に入ってくれて何よりだ」
店主は、三人の反応を見て、豪快に笑い飛ばした。
「あ、そういえば一つお聞きしたいことが」
サシャは、何かを思い出したかのように、店主に問いかけた。
「お!どうした?」
店主は、サシャの言葉に興味を示し、問い返した。
「最近、ブロッケスの北側で遺跡が発見されたという話を聞きませんでしたか?」
サシャは、店主に遺跡について何か知らないかを探るように尋ねた。
「遺跡…そういえば、昨日泊まった冒険者がそんなことを言っていたような気がするな。ただ、恐ろしい体験をしたから奥には入らなかったと話していたぞ」
店主は何かを思い出すように顎に手をやり、サシャたちに語りかけた。
「大方の場所とかって何か話してました?」
サシャは身を乗り出すようにして、店主に立て続けに尋ねた。
「確か、ここから北西にある、ボッカス村の近くだということだけは言っていたような。それ以上のことはすまないが分からない」
店主は、眉を下げて申し訳なさそうな表情を見せた。
「いいえ。十分すぎます。ありがとうございます」
サシャは、得られた情報に満足し、店主に軽く頭を下げて感謝の言葉を述べた。
そして、サシャは注文したドリンクを飲み干し、デザートである、ルギド・デル・ソルを全て平らげた。
「お会計は500ゴールドだ」
店主が、明るい声で金額を告げた。
「はい!」
サシャは、迷うことなく白貨を5枚手渡した。
「まいどあり!」
店主は、明るい笑顔を見せて白貨を受け取った。
「美味しいデザートと情報ありがとうございました」
サシャは、改めて店主にお礼を言った。
「いいってことよ!またブロッケスに来たら寄ってくれよ!」
店主は、豪快な笑顔と共に手を振り、サシャたちを明るく見送った。
「…さて、まずはボッカス村に行ってみよう」
サシャが、次の目的地への行動を促した。
「そうだな…村に行けば、より詳細な情報を聞き出せるだろう」
リュウも、その意見に同意を示した。
「うん!行こう行こう!」
アリアは、次の冒険に胸を躍らせるように、元気よく応じた。
こうしてサシャたちは、ボッカス村に向かって歩き始めた。
柔らかな日差しが降り注ぐ中、彼らは綺麗な砂浜の側に作られた遊歩道を歩いた。
波が穏やかに打ち寄せる音が心地よく響き、時折、潮風が頬を撫で、どこか懐かしい海の香りを運んでくる。
ここは、サシャたちが以前、ドラゴニア渓谷からブロッケスに向かって歩いてきた、記憶に新しい道だった。
「あの時と違って今日は涼しいね!」
アリアは、大きく伸びをしながら軽快な足取りで進んだ。
初めてここに来たときは、暑さと疲労で汗だくになり、ふらふらだったアリアだが、マクレンの気候に慣れたのか、あるいはたまたま今日が心地よい涼しさなのか、今は汗一つかいていないようだった。
「マクレンの方が暑かったからね」
サシャは、過去の暑さを思い出しながら言葉を返した。
こうしてサシャたちは、ドラゴニア渓谷方面とブロッケス方面の分岐点に到着した。
「右側に進めばドラゴニア渓谷…ドラゴニアに戻ることになる。ということは、真っすぐ進めばボッカス村ということになるのか?」
リュウは、辺りを見回し、持っていた地図を広げて確認した。
看板などがないため、彼も方向が合っているのか、僅かに心配している様子だった。
「ま、行ってみようよ。北西なら多分こっちで合っているよ」
サシャは、楽観的な口調でリュウの不安を打ち消すように言い、そのまま、道を真っすぐと進んだ。
分岐点から歩いて30分ほど。
視界が開け、田んぼに囲まれた数件の家々が目に入った。
それは、のどかな雰囲気を持つ、小さい集落らしき場所だった。
風に揺れる稲穂の音が、静かに響いてくる。
「あれがボッカス村…か?」
サシャは首をかしげる。
なぜなら街の入口などに看板などがなかったからだ。
「とりあえず、行ってみるとしよう」
リュウが、その場に立ち止まることなく、集落へと足を踏み入れることを促した。
「わぁ!タプタプトンボだよぉ!」
集落の中、アリアが田んぼの上をひらひらと飛ぶトンボを指差し、歓声を上げた。
「タプタプトンボ?」
サシャが、聞き慣れない名前に首を傾げ、アリアに尋ねた。
「うん!あのぷよぷよしたお腹が特徴的なんだ。お腹には強力な消化液が蓄えられていて自分より大きい昆虫でも食べちゃうんだよ!だから、農家にとってはありがたがられるってオババ様が言ってた!」
アリアは、オババ様から聞いた知識を披露するように、タプタプトンボについて熱心に説明した。
「なるほど…田んぼには害虫がつきものだ。そのトンボは害虫を捕食してくれるってわけだ」
リュウは、アリアの説明に深く納得したように頷いた。
「なるほどね!」
サシャも、アリアの解説に感心し、理解を示すように言葉を発した。
そして三人は、集落の中へとさらに足を進めた。
集落では、住民らが農作業に勤しんでおり、土の匂いと、農具の擦れる音がかすかに聞こえてくる。
「あの!すみません!」
サシャが、近くで稲を植えていた壮年の男性に声をかけた。
「あれま。客人だべか…おーい!村長!客人がきたべ」
壮年の男性は、作業の手を止め、サシャたちの方を振り返った。
そして、別の人物に声をかけるように、大きな声で呼びかけた。
「なんだね。最近えらい客人が増えてるだな」
呼びかけられた住民が、泥だらけの手で顔の汗を拭いながら、サシャの方に向かってきた。
「あ、あの…すみません。お忙しいところお邪魔してしまって…一つ尋ねたいことがあって…」
サシャは、どこか申し訳なさそうな口調で、村長に問いかけた。
「あんたらも例の遺跡さ行くだが?」
すると、村長がサシャの目の前にやってくる。
村長は編笠をかぶり手足は泥だらけだった。
村長は、サシャの目の前までやってきて、質問を遮るように切り出した。
彼女は編笠をかぶり、手足は泥だらけだが、その鋭い眼差しと堂々とした佇まいからは、村をまとめる者の風格が感じられた。
そして、意外にもその声は女性のものだった。
「は、はい…遺跡がこの付近にあると聞いて」
サシャは、目的地が遺跡であることを正直に話した。
「…まったく、あんたらもか」
すると村長は、深くため息をついた。
「なにかまずいの?」
アリアが、村長の態度に不安を感じたのか、問いかけるように尋ねた。
「あの遺跡には幽姫様がいると昔から言われておる。昔、噂じゃと馬鹿にした村の若い者らが度胸試しで何人か行ったが、誰一人として帰ってこなかった…先日、冒険者が何組か行ったけども…どうなっているだか」
村長は、怯えたような表情でサシャたちに告げた。
その言葉には、遺跡にまつわる恐ろしい言い伝えが重くのしかかっている。
「その幽姫様というのは?」
リュウは、村長の言葉に真剣な面持ちで耳を傾け、幽姫様の正体について尋ねた。
「その遺跡に住んでおる怪物じゃ。言い伝えでは獲物の魂を奪い氷の牢獄に囚えるとかなんとかと聞いてるべ。ひゃぁ、おっかねぇおっかねぇ」
村長は、幽姫様の話をすると、両腕で体を抱きしめるように怯える仕草を見せた。
「(幽姫様…一体なんなのじゃ)」
トルティヤも幽姫様の正体が分からず首をかしげる。
「(この人めっちゃ大げさだ…)」
サシャは、村長の大げさな反応に、心の中でそうツッコミを入れ、少し呆れた表情で彼女を見つめた。
「ま、行くなとは言わねぇべ。ただ、行くなら本気で命をかけた方がいいってことだべ」
村長は、真剣な表情でそう頷くと、村の北側を指差した。
「遺跡はあっちの方向だべ。洞窟の中は凍り付いていると言われておるから火魔法か何かがあった方がええかもしれんべ。小さな祭壇があるから一目で分かるはずだべ」
村長は、さらに詳細な情報を提供した。
「詳細な情報ありがとうございます」
サシャは、村長に頭を下げてお礼を言った。
そして、サシャたちは村の北側へ歩みを進めた。
「気を付けて行くだよ!」
そんなサシャたちを、村長は心配そうな眼差しで見送っていた。
こうして、サシャ達は村の北側にある遺跡を目指した。




