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第78章:白い炎

「だったら、まずはそっちから倒させてもらうよ!」

サシャは両腕が使い物にならなくなっているテネシーに斬りかかる。


「ガキ!その程度で俺の(タマ)をとれると思うなよ!」

顔を苦痛に歪ませながら魔法を唱える。


「酸化魔法-劣化した再生エイジングリジェネレイト-」

すると、貫手によってぽっかりと穴が空いていたテネシーの腕の傷が、皮膚が急速に再生するように回復する。

完全には塞ぎ切っていないが、何かを握れるくらいには回復していた。


「傷が塞がった!?」

サシャはテネシーの状況に警戒しつつ双剣で攻撃をしかける。


「へっ…人間ってのは時間が経過すれば細胞が生まれ変わるんだよ。酸化によって物質が劣化するように、俺は自らの細胞を酸化させて「老い」を意図的に引き起こすことができる。そうやって細胞の劣化を強制的に引き起こし、新たな細胞を呼び覚ますことで、こうやって肉体を再生させることもできるんだよ!」

すると、テネシーは拳に刺々しい黄金のメリケンサックを装着する。


「じゃあ、何回も斬りつければ済む話だよね!」

サシャは素早い連撃をテネシーにお見舞いする。


「キン!キン!キィン!」

双剣がメリケンサックに当たる音が響く。

テネシーはメリケンサックで双剣を着実にガードしていた。


「さて、姉ちゃんは俺と踊ってくれるかい?」

そう呟くとバランタインは大剣を構えシャロンに向かって走り出す。


「あら、ダンスのお誘い?嬉しいわ…」

シャロンが答えた。

その顔は笑みに満ちていたが、目は冷たい。


「ガキン!」

大剣とナイフがぶつかる音が響く。

そして、二人は鍔迫り合いになだれ込む。


「だけど、悪党とは踊れないわ。加速魔法-旋風脚-!」

シャロンはバランタインに静かに呟く。

そして、大剣をナイフで受けたまま体勢を低くし下段蹴りを放つ。


「おおっと、そいつは残念だ」

バランタインは余裕そうな表情を崩さない。

シャロンの下段蹴りに対して回避するそぶりは見せなかった。


「パキン!」

バランタインの足で何かが割れる音が響く。

そして、ズボンの裾から何かが落ちてくる。


「…なるほど。さっき、お嬢ちゃんの矢が刺さらなかったのは、それのせいね」

シャロンが落ちてきたものを見ながら頷く。


「あーあ、ばれちまったか…」

バランタインは頭をかきむしりながら残念そうに呟いた。


バランタインの足元には真っ二つにへし折れた分厚い木製の脛当(すねあ)てが転がっていた。


「ま、カラクリがバレたところで…痛くもかゆくもない…がな!」

バランタインが大剣に力を込め強引に振るう。


「うっ…!(大剣相手じゃ分が悪いわね)」

シャロンはガードを続けるが、バランタインの怪力に耐えきれず、後方に吹き飛ばされる。

そして、追い打ちと言わんばかりにバランタインが魔法を唱える。


「珊瑚魔法-鋭桃珊瑚(えいとうさんご)-!」

バランタインの大剣が地面に突き刺さる。

すると、シャロンをめがけて地面から桃色の鋭い珊瑚礁が生えてくる。


「はっ!」

シャロンは加速魔法で素早く動き、迫りくる珊瑚礁を避ける。

だが、鋭い珊瑚礁がシャロンの脇腹を捉える。


「うっ…」

脇腹に珊瑚礁が突き刺さる。

突き刺された箇所から血が溢れる。


「邪魔よ!加速魔法-旋風脚-」

シャロンは痛みに耐えながら、付近に生えた珊瑚を加速魔法による回し蹴りで粉々に砕いた。


「俺からのプレゼントは気に入ってくれたか?」

バランタインはシャロンに笑みを浮かべる。


「最悪のプレゼントよ…それに私は珊瑚より真珠の方が好みよ…」

シャロンは痛みに耐えながらポーチから回復薬を取り出す。

そして、それを傷口にかける。


「嘘?…どうして…」

しかし、回復薬をかけても傷口が塞がらず、むしろ出血がひどくなっている。

緑色の液体と血がボトボトと地面に落ちるだけだった。


「そんなことをしても無駄さ。この珊瑚礁は出血毒をもっている。触れたら最後、血がドバドバ出てきて…出血多量でお陀仏だ」

バランタインが魔法で生成する珊瑚礁。

それには強力な出血毒が含まれていたのだ。


「海賊らしい卑劣な魔法ね…」

それでも、シャロンは顔色を変えなかった。

だが、わき腹からは血がボトボトと落ちている。


「ワハハハ!どうしたガキ、剣筋がゆっくりになっているぞ?」

テネシーの体中は先ほどのシャロンとの戦いによる傷と、アリアの爆発魔法による火傷だらけだった。

それでも、先ほど使った再生魔法の存在があるからか、そしてサシャの攻撃が弱まっているからか、余裕の表情を浮かべていた。


「ぐっ…(もっと魔力を集中させないと)」

サシャは刀に魔力を送り込み連撃を放つ。

双剣は赤いオーラを纏っていた。


「筋は悪くはないが…経験不足だな!だから、こうやって…」

次の瞬間、テネシーの力がこもった前蹴りがサシャの腹部に炸裂する。


「ガフッ…」

サシャの体を衝撃が襲い、体勢が「くの字に」なる。

胃袋が揺さぶられ、胃酸が逆流してくる感覚を覚える。


「ドサッ…」

そのまま地面に転がる。


「簡単にダウンをとれるというわけだな」

テネシーがサシャを冷酷に見下ろす。

そして、ゆっくりとサシャに歩いていく。


「ぐっ…」

サシャは痛みに動けずにいた。


「小僧…何をしておるのじゃ!早く起きて戦わぬか!」

その時、精神世界のトルティヤがサシャに発破をかける。


「分かってるよ…」

サシャはゆっくりと起き上がる。

しかし、その直後、テネシーの拳が顔面に飛んでくる。


「ぐあっ…」

メリケンサックの棘部分が頬に突き刺さる。

頬から血がほとばしり、のけぞり、視界が揺れる。


「ガキというのはいいよな。身の丈のない理想や夢を語っても馬鹿にされなくてよ…」

立て続けに腹部にボディブローが飛んでくる。


「ごあっ…がはっ…」

サシャの腹部に棘が刺さる。

自身の骨が砕ける音を感じた。


「俺のような大人になるとよぉ。夢を語ったらどいつもこいつも馬鹿にしやがる。だから、そういう奴らから「宝という夢」をよ…」

テネシーはサシャの襟をつかむ。

そして、サシャの顔を引き寄せ、力を込めた拳を顔面に放つ。


「奪ってやることにしたんだ…よっ!!!」

テネシーのパンチがサシャの顔面にめり込む。

その一撃は強烈なものだった。


「ぐ…ぐぁっ…」

サシャの鼻はひん曲がり、歯が折れて、額は割れて血が溢れる。

顔面は血と傷でぐしゃぐしゃになる。

そして、そのままサシャは力なく後方に倒れ込んだ。


「坊や!!…うっ!」

シャロンが駆け寄ろうとするが出血毒のせいで体がうまく動かせずにいた。


「ガハハハハ!俺の勝ちだな!」

テネシーは高笑いしながら勝利を宣言する。


「ごめん…トルティヤ。やっぱり僕じゃ無理だったよ」

精神世界でサシャは、ボロボロで大の字になって倒れていた。


「まったく…弱い、弱すぎて呆れるほどじゃ」

トルティヤはため息をつく。


「僕が馬鹿だったのかな?こんなに弱いのに簡単に魔具を集められると思っているあたりさ…」

サシャは自身の無力さを痛感し、目から熱い悔し涙を流す。


行方不明になった叔父であるロイを探すため。

そんな単純な理由で始めた旅。

そして、トルティヤに肉体を共有され、リュウとアリアと出会った。

魔具を三つも手に入れた。


だけど、肝心の自分自身は何も強くなっていない。

その事実にサシャは押しつぶされそうになっていた。


「もうよい…あとはワシがなんとかする…お主は黙って休んでおれ」

トルティヤがサシャの前にしゃがみこみ肩に手を伸ばす。

その時、サシャの体が白く輝きだす。


「なんだこれ?」

サシャは突然のことに困惑する。

すると、テネシーから受けた傷が回復していく。


「む!」

その様子にトルティヤは手を伸ばしていた引っ込める。


「なんだこれ…」

サシャが起き上がった次の瞬間。

脳内に何かのイメージが流れる。


『面白い!お主、気に入ったぞ!ワシと来るがよい!』

声の主は精神世界のトルティヤの声と重なる。

だが、その視線はサシャではなく、別の方向、おそらくトルティヤ自身が見ていた過去に向けられていた。


『いいのか?俺はお尋ね者だぞ?』

そして、トルティヤの目の前には若い黒髪のエルフ族がきょとんとした顔でこちらを見つめていた。


『いいから来いよ。奪った刀は街の広場にでもこっそり置いておけばいい』

トルティヤの隣には赤いローブの魔導師が静かな視線をこちらに向けていた。


『このインチキ魔導師の言う通りじゃ。ほれ、バレる前に行動するのじゃ』

トルティヤは二人と共にどこかへ走って行った。


「トルティヤの過去?」

そして、プツンと記憶が途切れる。

同時に脳内に一つの魔法名が浮かび上がる。


「無限魔法…アグニの滅焔(めつえん)?」

サシャがボソリと魔法の名前を呟く。


その瞬間、現実のサシャの意識が覚醒する。

薄れかけていた意識が鮮明になる。


「これで終わりだガキ!死ね!!!」

目の前には、勝利を確信し、足を大きく振り上げ、今にもサシャを踏み抜こうとしているテネシーの姿があった。


「はっ!」

サシャ咄嗟に横へと転がり回避する。

サシャの真横にテネシーの足が踏み下ろされる。


「まだだよ!」

そして、その勢いのまま立ち上がる。

体に傷はついているが、不思議と体の痛みは全くなくなっていた。


「ちっ…しぶといな」

テネシーは不機嫌そうな表情を見せる。

次の瞬間、サシャの体に受けていた傷が、まるで時間が巻き戻るかのように白煙をたてて修復されていくのがテネシーの目にも見えた。


「傷が治っていく…!?夢じゃなかった?」

サシャは現実世界の肉体も回復したことに驚きを隠せない。


「おいおい、回復魔法まで使うなんて聞いてないぜ…こうなりゃ、さっさと片付けてやるか」

すると、テネシーが懐から酒瓶を取り出す。

そして酒の蓋を開けると一気に口に含む。


「小僧!何かくるぞ!気を引き締めるのじゃ!」

精神世界でトルティヤがサシャに叫ぶ。


「(喰らえ!酸化魔法-酒炎吉原(しゅえんよしわら)-!!)」

テネシーが口に含んだ酒を霧状にサシャに向かって勢いよく吐き出した。

同時に手に持っていたマッチを霧状の酒に放り込む。


「ゴゴゴゴゴゴゴ!!」

次の瞬間、マッチの火が霧状の酒に引火し、爆発的な業火となってサシャに向かって放たれた。

更にテネシーの酸化魔法により、酒がより強力な燃焼を促す触媒となったのだ。


「(火?そうだ…さっきの魔法…)」

サシャは目の前に迫る炎を見ながら、先ほど自身の脳内に浮かび上がった魔法を思い出す。


「小僧!避けるのじゃ!焼け死ぬぞ!!」

トルティヤが必死に叫ぶ。

その時、サシャが口を開いた。


「…無限魔法-アグニの滅焔(めつえん)-」

その声を聞きながら、サシャは口を開き、先ほど脳内に浮かんだ魔法の名前を唱える。

次の瞬間、サシャの目の前に巨大な赤い魔法陣が高速で展開される。


「なんじゃと!?」

その光景にトルティヤは目を丸くする。

サシャが自身の固有魔法である「無限魔法」を使ったのだ。


「なに?魔法陣だと?」

テネシーも自身の炎が進まないことに異変に気が付く。

その次の瞬間だった。


「キュピーン…」

魔法陣の中央が白く点滅する。

そして、魔法陣から巨大な白い炎を纏った火柱が現れる。

それはテネシーが放つ業火を逆に吸い込み、燃やし尽くしながらテネシー自身に猛烈な勢いで迫る。


「なんだと!?俺の魔法が!!」

白い炎の柱がテネシーに直撃する。


「ボボン!!ドコン!!」

白い炎の柱がテネシーの体を包み込み、その周囲で小さな爆発が連続して起こる。


「うがあぁぁぁぁぁぁ!!!」

テネシーは白い炎、そしてそれに伴う爆炎を全身に受ける。


「…本当に発動した」

サシャは突然の出来事にただ茫然としていた。

自身の放った魔法の威力に驚きを隠せない。


「小僧…まさか…」

精神世界からトルティヤが、信じられないといった様子でサシャを見ていた。

サシャが自身の固有魔法を使ったことに驚愕している。


「坊や…どこからそんな力が…」

シャロンも目の前の光景に、ただ驚くばかりだった。


「テネシーのやつ…こりゃ死んだな」

バランタインはどこか冷めた目でその光景を見ていた。


「ゴゴゴゴゴゴゴ!!」

魔法陣からは白い炎が未だに出続けていた。


「もういいよ!止まって!」

サシャは魔法を制御しようとする。

しかし、なぜか魔法が止まらなかった。


「どうして…止まってくれよ!魔法解除!」

サシャが魔法陣に触れ魔法解除を試みる。


「これでもダメなのか…」

それでも魔法は止まることがなかった。

むしろ、先ほどより威力が増しているようにも思えた。


そして、炎は砦の壁に引火し周囲は瞬く間に火の海になる。

その炎の近くには、気絶しているアリアがもたれかかっていた。


「アリア!!待ってて!」

サシャは魔法の制御を諦め、アリアの方へ飛び込もうとした。


「(これは…魔力が暴走しておる…このままでは小僧の魔力が尽きてしまうのぉ)」

トルティヤは精神世界で状況を見て一考する。


「やむを得ぬか…小僧!替わるぞ!」

そう呟くと、精神世界で茫然と立ち尽くしているサシャの肩を叩く。

サシャの外見がトルティヤのものへと変化する。


「…破っ!!」

そして、トルティヤは魔法陣に手を触れる。

すると魔法陣は小さくなり、白い炎は徐々に小さくなって消えた。

同時に周囲を覆っていた炎は小さくなり、やがて鎮火した。


「…これでよい。あとはなんとかするんじゃな」

魔法陣がなくなったのを見てトルティヤは安堵し精神世界にいるサシャの肩を叩く。

外見が再びサシャのものへと変化する。


「はっ!…炎と魔法陣が消えた?」

サシャは炎と魔法陣が消えたことに驚いている。


「一体…なんだったの?すごい魔法…ごはっ…」

シャロンは火が消えたことに安堵した。

しかし、その直後、出血毒の回りが早かったのか、激しい咳と共に口から吐血し始める。


「ちっ。これ以上の戦いはリスクがあるな。俺はいち抜けたぜ」

するとその様子を見たバランタインが大剣を背中に戻す。


「ど、どこに?…待ちなさい!」

シャロンは立ち上がろうとするが体がふらつく。

出血毒のせいで体が痺れていたのだ。


「その毒は少しずつ内臓に影響を及ぼす。あと1時間もすればお前は死ぬだろう…美女が死ぬのは心が痛む」

バランタインは冷たい視線でシャロンを見つめる。

そして、そのまま砦の反対側に向かった。

その先には洞窟に沿って船着き場と小型の魔導船があった。


「待ちなさい…!まだ終わって」

シャロンはしびれと痛みに耐え、立ち上がる。


「待つかよ…珊瑚魔法-礁々平壁(しょうしょうへいへき)-」

だが、冷静にバランタインは魔法を唱える。

地面から珊瑚礁が生えてくる。

そして、船着き場への道が桃色の珊瑚の壁によって阻まれてしまった。


「うっ…」

それを見たシャロンは力が尽きたかのようにその場に倒れ込む。

同時に、砦の入口から声が響く。


「おーい!!無事か!!?」

それはイワンの声だった。

イワンは部下を従え堂々と砦の中へ入ってくる。


「サシャ、アリア、大丈夫か?」

更に、リュウも汗を浮かべながらこちらに走ってきていた。


「僕は大丈夫…だけど…」

サシャはアリアとシャロンの方を見つめる。


「アリア…大丈夫なのか?」

リュウはサシャに尋ねる。


「敵の爆発を受けて…今は気絶しているよ。あとはシャロンさんが…」

サシャはリュウにアリアの状況を説明し、シャロンの方に視線を向ける。

シャロンの方には既にイワンと部下が向かっていた。


「出血毒か…随分とこっぴどくやられたな」

イワンは腕組みをしながら冷静に呟く。


「すみません…イワン隊長。バランタインを逃がしました」

シャロンは苦痛に顔を歪めながら報告する。


「しゃべらんでよい。先にシャロンを魔導船に運べ。衛生兵に治療させろ」

イワンは部下に指示しシャロンを運び出すように命じる。


「了解しました」

そうして、部下はシャロンの肩を担ぎ上げ、砦を出ていく。


「して…これは一体何があったんだ?」

イワンは燃えて焦げた砦の壁や地面、岸壁を見つめる。


「実は僕の魔法で…あと、そこの海賊も僕が…殺しました」

サシャは茫然とした顔つきで、真っ黒こげになっているテネシーの死体を指さす。


「…この黄金で装飾された武器とガッチリとした体型。もしや、キャプテンテネシーか?」

イワンは真剣な眼差しをサシャに向ける。


「サシャ…お前がやったのか!?」

テネシーの死体を見つめリュウは目を丸くする。

二人の言葉に対して、サシャは顔を伏せ、小さく首を縦に振る。


「はい…」

サシャはどこかバツが悪そうに呟く。

罪悪感が顔に浮かぶ。


「…そうか。まぁ、正当防衛だ。これは仕方ないな」

イワンは納得したように頷く。

状況を考慮し、正当防衛だと判断した。


「あと、もう一人の海賊…バランタインは…あそこから逃げました」

サシャは珊瑚礁の壁を指さす。


「あそこにも船着き場があったとは…今から船を回しても間に合わんか…」

イワンはそう呟くと舌打ちをした。

バランタインの逃走に苛立ちを見せていた。


「とにかく、今日の任務はお終いだ。捜索チームを島に残して、いったん、魔導船に戻るぞ」

イワンはサシャとリュウに指示する。


「…リュウ。僕…人を…ただ、なんとかして捕まえようとしただけなのに…」

サシャはアリアの肩をリュウに預け、リュウに何か言いたげな表情を見せる。

その顔には人を殺してしまったが故の深い罪悪感が現れていた。


「気にするな、サシャ…。これは戦いだった…予期せぬことだってある」

リュウもアリアの肩を抱えながら、サシャの言葉を聞き、優しく答える。

そして、サシャ達は重い空気の中、イワンに続いて砦を後にした。

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